前回更新から1ヶ月近くと、相変わらず不定期更新の当ブログ。まぁ、ここ最近は真面目に仕事でちょっと忙しかったもので(笑)。

 

さて、今日は珍しくうちの授業について少し紹介というか話をしてみようかな、と。体育教室のブログだというのに、運動や授業についての話を滅多にしないという意味不明なブログですからね、ここ(苦笑) 

 

うちは1回の授業の基本パターンが「柔軟体操→基礎トレ→メイン種目(マット・跳び箱・鉄棒・陸上)→ボール」となっていますが、今回紹介するのはボールの時間のメニューについてです。基本的には野球・サッカー・バスケ・ドッヂボールの各動作をレベルに合わせて分解して練習し(上のクラスに行くと統合されてきたりゲーム的に行ったりもしますが)、たまに卓球なんかも入ってきたりします。

 

で、ちょうど先週のボールの時間に行ったのがこちら↓。

 

  

全然ボールじゃないじゃん!?ww

 

はい、ボール使ってません。見たまんま「チャンバラ」です。うちは体操種目だけでなく陸上や球技も同列で教えるという点でもともと全国でも珍しいタイプの教室ですが、授業カリキュラムにチャンバラが入っているのは全国でもうちくらいなんじゃないかと(笑) まぁ、他のボール種目の練習もあるのでチャンバラできるのは年に1,2回しかないのですが。

 

とはいえ、これだけ見ると「え?何?授業外の遊び?レク的メニュー?」と思われるかもしれませんが、うちとしては至って真面目に「ボール関連の練習メニュー」として扱っています。

 

このメニュー、いくら私が趣味で剣術をやっているとはいえ、チャンバラそれ自体を子どもたちに教えるためではありません。うちはスポーツチャンバラ教室ではありませんし。確かに子どもたちはチャンバラ大好きですが、息抜き的なレクレーション系メニューとして組んでいるわけでもありません。

 

実はこのメニューの目的は「相手との距離感・リズム・駆け引き」を経験することにあります。自分の動きの再現性だけが問題になる体操・陸上系種目ではあまり必要ありませんが、球技系、特にサッカーやバスケのような「混戦型」の種目や、格闘技種目などではこの能力や感覚が非常に大事になります。

 

自分が攻めるとき、逆に相手に攻められて守るとき、個々の技自体ももちろん重要ですが、それ以上にいかに相手との距離を測り、リズムを見抜き、それをもとに駆け引きを駆使して自分の目的を達成するかが重要になるわけです。

 

しかし、そうした練習を普通にボールを使って行おうとすれば、サッカーであれバスケであれ、互いにそれなりの技術力が必要になります。格闘技系種目でこれを行おうとしたら、それこそスパーリングや乱取り稽古になってしまいます。どちらもその専門種目の練習を日々行っている子でなくては、ましてやうちが対象としている幼児~小学生では難しい注文です。

 

そこで、「特別な専門種目技術が要らず、なおかつ楽しみながら、自然に相手との距離感・リズム・駆け引きを経験できる練習方法」として考え出したのがこの「チャンバラメニュー」なわけです。これなら当たっても痛くないので幼児や女子でも怖がらずに楽しむことができ、誰も専門技術なんて持ってないので上手/下手の差も出にくく、本人の性格と思考をメインに使った自由度の高い「攻防」によって距離感・リズム・駆け引きを経験できる、というわけです。なので、チャンバラなのにボールメニューの一つに入っているわけです。

 

もちろん子ども同士だと変にエスカレートする可能性があるので、あくまで子どもvsコーチとして行うのですが、実際やってみると面白いです。ただ単にチャンバラが面白いというだけでなく、コーチの視点として見るとそれぞれの子どもの個性がよく見えてきます。ひたすら攻めてくる子、防御に徹する子、隙を覗いながら慎重に戦う子、などなど。普段大人しい子が攻め重視できたり、逆に全然大人しくないタイプの子が守り重視だったりと、その子の素が垣間見れます。

 

そして、それらの子どもの個性=戦い方に合わせて、こちらも戦い方を変えます。たとえば、ひたすら攻めてくる子には攻撃直後やある程度打たせた後にカウンターを入れて、「迂闊に飛び込むとやられるぞ。相手がいる以上、必ずしも自分のやりたいようにできるとは限らないんだぞ」と暗に教えます。

 

防御に徹する子には、スローや寸止めの攻撃で「守っているだけでは勝てないし、状況が更に悪くなるぞ。隙を見て自分からも攻撃しろ」とまた暗に。たとえば上段を入れて防御させ、「ほら、今コーチのどこが空いてる?」と教えてわざとガラ空きにした胴を打たせる、といったことをしたり。

 

隙を覗いながら慎重に戦う子には、攻めと守りのバランスをとりながらわざと途中で隙を作って「ここで攻めるべきか?守るべきか?」という判断場面をその子に多く与えるようにしています。状況を見て、考え、判断し、状況に合わせて行動するという姿勢は運動以外でも重要なことですから、どんどん伸ばしてほしいので。

 

また、これを何年かやっていると、以前は防御一辺倒だった子が自分から攻めてくるようになったり、何も考えず突っ込んでくるだけだった子が隙を見出そうとするようになったりと、その子の性格や思考の成長を見ることもできたりして、そういう意味でやっているこちらも面白いです。

 

うちは「○○種目専門の教室」ではないので、子どもの成長のために良いと思うことなら何でもやります。「これは○○的ではないからやらない」というような足かせがありません。大手でもフランチャイズでもない、私個人のしがない小さな零細教室だからできることです(苦笑)。だから、こんな変わった練習も組めます。

 

今回は具体的な紹介はしませんが、中には運動しながら都道府県を覚えたり、簡単な算数をやったりする練習メニューさえあります。これも勉強というよりは一般常識として知識を身につけてほしいという考えと、何より「考えながら動く/動きながら判断する」ということがスポーツでも実生活でも大事だからという考えがあってやっています。そうした練習によって、こちらは子どもの性格や思考傾向とその成長具合といったものを見て把握することができますし、子どもたちもこういう変わった練習がかなり好きで楽しんでくれてたりします。

 

まぁ、こういった変わったことをするのは私が元心理カウンセラー志望だったから、というのもかなり影響しているのかもしれません。様々な場面を設定し、いろいろな角度から子どもの技量だけでなく、むしろ技量の土台となる性格や思考を見て、その状態や変化(成長)を見ようとする。個人的にはそれなくして指導などできないし、それがあるからこそこの仕事は面白いとも思ってます。

 

一応体育教室のコーチ兼社長としてこれを言っていいのか微妙な気もするのですが、正直なところ、私にとっては運動の練習そのものは手段や過程に過ぎないと思っています。それを通して子どもの内面を把握し、成長させることが私の仕事だ、と。極論言えば、逆に内面の成長に繋がらない技量の向上にはまったく価値がないとさえ思っています。

 

まぁ私自身、授業後に一人で剣術やキックボクシングの稽古をしているのは別に腕っ節を強くするためではなく、稽古を通して集中力を高めたり自己洞察を深めたりするためにやっているだけで、強くなるのはあくまで副産物的な結果であって目的的には「自分にとって剣術は哲学」と言ってるくらいなので。身体や運動とは、それ自体を目的とするのも悪くはないですが、それを通して自分や世界をより深く知るという可能性の方が遥かに価値として大きい、と。

 

ちょっと最後の方はチャンバラ練習そのものの紹介から少しズレてしまいましたが、まぁ、そんなことはこのブログではいつものことなので(開き直り・笑)。こんな感じで、マンモス体育教室は変わった練習をやる、変わった体育教室です、ということで。

 

それでは、また♪