コロッセオから徒歩10分の距離にサン・クレメンテ教会がある。
これは私のローマのお気に入りの教会のひとつである。
どこがいいのかというと、
ズバリ
1つで3倍楽しめてしまう ところである。
  外観だけではどこにでもある中世スタイルの教会は、実は地下へと続く三層構造になっている。各層頃に時代も違う。
一番底辺(地下2階)は紀元後1-2世紀にミトラ教の神殿が、
中央の層(地下1階、下部教会とよばれている。)には
4世紀末に建立された初期キリスト教時代の教会があり、
そして最上階(地上1階)には12世紀に建てられた教会が今の外観の建物となっている。
教会正面部分
facciata
1階の教会内部
interno

地上1階のみどころは「十字架の勝利」と題された見事なフレスコ画。
vittoria della croce
手持ちの写真はこれだけなので下部教会やミトラ教の神殿の写真はこちら
地下1階にある”下部教会”は4世紀末に建てられたのだが、
1-2世紀のローマ帝国時代の大理石の像や文字が刻まれた碑のかけらが
壁に埋め込まれていたり、地面に転がっている。
ここのお勧めはフレスコ画。
イタリア語の歴史にとって大いに意味を持つという点で有名。
というのも一番下の4人の下郎が柱を運ぶシーンに
その時代庶民の卑しい言葉としか認められていなかったイタリア語が
フレスコ画上に書かれてる。
当時ラテン語が知識人階級の間で主流であり、神聖な教会のフレスコ画、
ましてやクレメンテ教皇が描かれているものに
”下賤”なイタリア語が書いてあるのはスキャンダラスなことだった。
地下2階、1-2世紀の旧ミトラ教神殿跡。
”雄牛を屠る神”が彫られた祭壇があり、
さらにその奥にはミトラ神の誕生を表現した像が置かれた台座もある。
地下2階、狭く入り組んだ迷宮のような通路をたどっていくうちに、
まるで秘境を行くインディ・ジョーンズになったような気分が味わえる。
サン・クレメンテ教会
住所:Piazza San Clemente
地下鉄B線コロッセオ駅下車 - 徒歩10分
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