喫茶店を出たあと、二人は自転車で里穂の家へ向かった。


最初は横に並んで走っていた。


けれど知らない道へ入るにつれて、里穂が前を走り、三沢がその後を追う形になっていった。


少し上り坂が続く。


慣れない道と緊張もあって、三沢はいつの間にか立ち漕ぎになっていた。


二十分ほどして、一軒家の前に着いた。


「ちょっと待ってて!」


里穂はそう言って家の中へ入っていく。


玄関先で待っていると、沢田のお母さんが顔を出した。


「あら、お兄ちゃんどうしたの?」


三沢は笑顔で頭を下げた。


「あ、この前はありがとうございました。つい最近、退院しました」


すると中から里穂と恵美が出てきた。


「お母さん、ちょっとあっち行ってて!」


里穂が笑いながら母親を家の中へ戻す。


恵美も嬉しそうだった。


「この前退院したんだ! 本当に三沢さんのおかげ」


「良かったね。こっちも嬉しいよ」


すると中から里穂が出てきた。


「ほら、恵美見て。三沢さんからもらったの」


恵美は目を丸くした。


「え、いいな。三沢さん、私のは? 退院プレゼント」


三沢は苦笑いする。


「それ言ったら、自分にもプレゼントちょうだいよ」


三人は笑った。


やがて里穂が少し申し訳なさそうに言った。


「本当は家に上がってもらいたいんだけど、ちょっと今日は家が立て込んでて。本当にここまで来てもらって、ごめんね」


「大丈夫だよ。また来るね」


三沢はそう答えた。


里穂、恵美、そして玄関先の沢田のお母さんに見送られながら、三沢は家路についた。


とても新鮮で、すごく嬉しかった。


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『恋心』目次-プロローグ、第1話から読む  

https://ameblo.jp/mamizuo/entry-12965862020.html


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