平井純子は、ダメだった。
それでも―
三沢の中では、何かが少し変わっていた。
女子に電話をかけられた。
それだけで、ステージが上がった気がした。
次に目に入ったのは、山本さんの名前だった。
席が近いこともあり、少しは会話したことがある。
三沢は、間を置かずに電話をかけた。
「もしもし、山本です」
受話器の向こうから、聞き慣れた声がした。
「あ、もしもし。I高校の三沢です。山本…」
「あ、三沢くんどうしたの?」
電話口は山本さんであった。
「山本さん、夜にごめんなさい」
そう前置きをして、三沢は植樹祭の話をした。
少しの沈黙。
「今度の日曜日でしょ?
ごめん、その日は家族と出かけることになってる」
「あー…」
思わず声が漏れた。
「本当にごめんね!」
何度も謝る山本に、
「いや、こっちこそ夜にごめんね」
と返し、
電話を切ろうとした、その時だった。
「ちょっと待って!」
受話器の向こうで、山本の声が少し強くなる。
「E公園でしょ?
あそこってヨウコちゃんや、リホちゃんの家の近くだと思ったよ」
「え?そんな子がいるの?」
「うん、1組のヨウコちゃんと8組のリホちゃん。
確か、その公園の目の前だよ。電話番号教えようか?」
三沢は、少しだけ迷ったが―
「うん、お願い」と答えた。
「名前は、
タカハシヨウコと、ナカサワリホ。
電話番号は…」
三沢は、慌ててメモを取る。
メモにはこう書いた。
タカハシヨウコ
ナガサワリホ
「一回電話してみな!」
「ありがとう」
三沢はそう言って、電話を切った。
受話器を置いたあと、
三沢はしばらくそのメモを見つめていた。
女子に電話をかけることには、少し慣れてきた。
だが―
知らない女子の家に電話をかける。
それだけは、どうしても踏み出せなかった。
イメージ図
その時だった。
電話が鳴る。
先ほど電話した、4組の男子からだった。
どうやら、他のY中の生徒に連絡してくれたらしい。
残りの4人が、決まった。
三沢は―
生徒会のミッションをクリアした。
静かな部屋の中で、
ようやく肩の力が抜けた。
──────────
📖 初めての方はこちら
『恋心』目次・第1話から読む
https://ameblo.jp/mamizuo/entry-12962872533.html
この恋の行方が気になる方は、応援クリックしていただけると嬉しいです ⬇️
にほんブログ村
