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ルビーのブログ

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「美味しいブルスゲッタ」と共に
ビールを飲み干してしまった私に
ラニエロさんがワインを勧めてくださった。
この当時の私はワインは飲み慣れていなかったが、
試してみることにした。

お店の隅にとても大きなボトルが逆さまになっていて、
そこからワイングラスに白ワインを注いでくださった。
私が目を丸くしてみていると、契約しているワイン農家が
直接補充してくれるのだと教えて下さった。

「ハウスワイン」とメニューに書かれているお店は、
大抵この仕組みを利用するらしいのだが、
大きなボトルに大量に入ったワインが
「ボコッ、ボコッ」といって注がれる光景を
この時はじめて見た。

少しだけ試飲させて頂いた白ワインは、
爽やかでさっぱりした飲み口なので、
クイクイいけちゃう感じ。

「ボォ~ノ」
と私が気に入ったことを確認したうえで、
ラニエロさんは小さめのデキャンタに注いで
テーブルに置いてくださった。

二品目のお皿は「スカンピ」と言って
テーブルに置かれた。

「スカンピ?」

お皿には数本の手長エビが乗っている。
『これは殻ごといってしまおう』と被りつくと・・・

「う~ん、ボォ~ノ!」(美味しい!)

これまた塩、コショウ、ガーリックとオリーブオイル
で焼かれただけのシンプルな味付け。
だからこそ、殻の香ばしさとプリッとしたエビの甘味を
引き立たせている。

「ホント素材の味が活きてて、美味しー!」

イタリア語では「ボォ~ノ!」しか言えないのが
すごくもどかしかった。

パスタを食べてから肉料理にするか聞いてくださったが、
「両方はとても食べられない」
ということで3品目のお肉料理が運ばれてきた。

柔らかいお肉にきのこがソテーされて、
バルサミコ(黒酢)も入っているのか?
バター風味のソースがまたまた
「ボォ~ノ!」

お皿に残ったソースがもったいなくって、
私が必死にフォークですくっていたら、
ラニエロさんが「スカルペータ」と言って
バゲッドを持って来てくださった。

「スカルペータ?」

意味は解らなかったが、すぐにバケットを
ちぎってお皿のソースを拭って食べた。
それを見たラニエロさんが「シー、スカルペータ!」
と仰った。

「あっ!これをスカルペータって言うんだ」

「ボンジョールノ」(こんにちは)

「ボナセーラ」(こんばんは)

「ボン・ナターレ」(メリー・クリスマス)

「グラッッエ」(ありがとう)

「プレーゴ」(どういたしまして)

「アルベデルチ」(さようなら)

挨拶以外で覚えたイタリア語は

「ブルスゲッタ」
「スカルペータ」
「スカンピ」

ラニエロさんに教えて頂いた
食べ物に関する言葉だ。

デザートは「ティラミスかジェラートか?」
聞いてくださった。
ここまでで結構お腹いっぱいだったが、
やっぱり甘いものは別腹ということで、
ティラミスを頂いた。

1991年になったばかりのこの頃、
丁度日本でもティラミスが流行っていたが、
「本場イタリアで食べたはじめてのティラミス」は
やっぱり美味しかった。

途中から店内にもお客さんが増えてきて、
赤いベストを来た小柄なイタリア人男性が
ウェイターとして出勤してきた。

ラニエロさんが紹介して下さり、
「ボナセーラ」(こんばんは)と挨拶を交わした。

周囲の人達のお皿のお料理の量を見ると、
明らかに私より多い。
ラニエロさんが少しづつにしてくださった
お蔭で、色々食べることが出来た。

思えばイタリアでもピザやパスタばかり注文していた。
日本の様に写真のメニューは無いので
よく解らないし、一人では量を食べきれれないので、
単品料理を注文するのはハードルが高かった。

ラニエロさんのお蔭で本場のイタリア料理を
堪能させて頂いて、本当にありがたかった。

「ごちそうさまでした!」

会計の為にクレジットカードを取り出すと、
「また食べに来て欲しい。会計は最後にまとめてでいい」
と仰ってくださった。

「えっ?!」
もちろん私は無銭飲食する気は毛頭なかったが、
もし私がこの後にお店に来なかったら、
今回の食事代はお店の負担になってしまう。

私のことを信用して下さるのは嬉しかったが、
色々サービスして頂いたうえに申し訳ないので、
「ノーノー」と支払いしようとしても、
首を横に振って応じてくださらない。
私はありがたくご厚意に甘えることにした。

「グラッッエ」(ありがとう)

「プレーゴ」(どういたしまして)

この日から何度もラニエロさんの
トラットリアで食事をさせて頂いた。

イタリアのローマに
行きつけのトラットリア(食堂)が
できたことはとてもありがたく、
心も胃袋も大満足の日々だった・・・・・