本場のイタリアンで満腹のお蔭で、
昨夜はぐっすり眠りについた。
美味しい食事にワインもついつい進んでしまった。
あんなにワインを飲んだのは、はじめてだったが、
二日酔いになるどころかぐっすり眠ったお蔭で
スッキリ起きることが出来た。
ラニエロさんのお蔭で美味しいイタリア料理をご馳走になり、
『今度はどんなものをたべさせて頂けるんだろう?!』
という楽しみまで出来て、本当にありがたい気持ちだった。
朝から幸福感たっぷりのこの日は、
【ヴィットリオ・エマヌエレ2世記念堂】の真裏にある
【カンピドリオの丘】を中心に観光することにした。
カンピドリオとは英語の首都Capital(キャピタル)
の語源で、この場所はかつて多くのジュピター神殿が建つ
ローマの中心だったそうだ。
ローマ帝国崩壊後に廃墟となったが、
16世紀にミケランジェロの設計により
現在は広場になっている。
両脇にエジプトのライオン像を配した階段を登ると
小さな広場がある。
階段といっても段は殆どなく坂の様になっていて、
広い間隔ごとに細く白い大理石で仕切られている。
登りきった両脇には、マルクス・アウレリウス帝の騎馬像が
来訪者を迎えるように建っている。
広場の右側には【コンセルヴァトリー宮殿美術館】
左側には【カピトリーノ美術館】がある。
そして、中央には時計のついた鐘楼が目をひく
市庁舎が建っている。
美しいファサード(正面)の2階の入口へ続く両脇の階段も
ミケランジェロのデザインだそうだ。
絵画や彫刻だけでなく、ヴァティカン宮殿の衛兵服の
デザインを手がけたり建築のデザインまで出来るなんて?!
ミケランジェロの才能の豊かさには驚かされるばかりだ。
市庁舎の内部は見学出来ないので
【コンセルヴァトリー宮殿美術館】を見学した。
宮殿美術館なので、床、壁、天井の装飾が素晴らしいのだが、
印象的だったのは、やはりローマ建国伝説に登場する
「青銅の狼像」
牝狼の足の間でお乳をむさぼるように飲む双子の赤ん坊の
ロムルスが、ローマ建国の父とされる。
牝狼はエトルリア人の作とされ、双子像は
後から付け加えられたそうだが、特別違和感はなかった。
『この牝狼が赤ん坊に乳を与えたお蔭で今のローマがあるんだ』
昔話では狼は悪役だけれど、この牝狼の顔は優しく見えた。
外へ出て階段を降りる途中にシスターたちが写真を撮っていた。
私はシャッターを押すポーズをとりながら
「撮りましょうか?」と声をかけた。
彼女達はとても喜んでくださって、話を聞くと何と?!
翌日から東京へ行くとのこと!
「私は東京から来ていて、2ヶ月の旅の途中なんです」
「素晴らしい!!」
何だか私も嬉しくなって彼女達と記念撮影をして頂いた。
ここでも不思議な縁を感じながら、すぐ隣の
【サンタ・マリア・ダラコエリ教会】を訪れた。
間隔の狭い長い階段を登ると、レンガ造りのファサード(正面)
で四角い瓶の様な形の教会が建っている。
【カピトリーノの丘】の上からもそうだが、
階段を登り振り返って見渡す街並みの景色はすばらしい。
フレスコ画の美しい内部で
「すてきな縁を沢山ありがとうございます」とお礼と、
これまでのの感謝、今後の無事をお祈りさせて頂いた。
その後は少しショッピングをして食事をしてから
再び【カンピドリオの丘】へ戻った。
実は【コンセルヴァトリー宮殿美術館】と
【カピトリーノ美術館】は共通の入場券になっていて、
通常は午後1時30分で閉館なのだが、
火曜日は夕方5時から夜8時まで開館しているのだ。
この日はこれを目当てにやって来た。
【カピトリーノ美術館】は歴代の法王達が集めた
古代彫刻のコレクションが素晴らしい。
中でも歴代皇帝の胸像群には圧倒された。
だがそれ以上に印象的だったのは、
ライトアップされた中庭に浮かび上がる彫刻の美しさだ。
昼間には見られない陰影と幻想的な光景にしばし酔いしれた。
この後の旅でもパリでは2回目のルーヴル美術館で、
朝から晩まで1日中館内で見学したことがある。
(それでも全部は見切れていないのだが・・・)
外に出た時のガラスのピラミッドが光に照らされた美しさは、
今でも心に残っている。
日本を含め各国の美術館では、週に1度程度
夜の時間まで開館してくれる日がある。
現地の人にとっては、仕事帰りに美術鑑賞というのは
なかなかいいと思う。
おしゃれだが、時間をたっぷりかけて見学する私には
2~3時間では見たりないので、日本では未経験だ。
だが、海外でこの仕組みは私にとってとても助かる。
夜は見学者が少なくゆったりと見学できるし、
何より夜景と共に味わうことのできる贅沢な時間だ。
ローマの【カンピドリオの丘】で過ごした夜の美術鑑賞・・・
これが贅沢な夜の観光のはじめてだった・・・・・