令和5年も終わろうとしています。
今年一年を振り返ってみたいと思います。
今年は「成年後見制度の在り方に関する研究会」を追いかけた一年だったと思います。
「成年後見制度の在り方に関する研究会」は、令和4年に公益社団法人商事法務研究会に設置され、成年後見制度の見直しに向けた検討を行っている研究会です。
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この研究会は、第1回(令和4年6月7日)から第19回(令和5年12月22日)まで開催されており、令和5年度中にとりまとめを行い、令和6年度から法制審議会で民法等の改正が審議される見込みとなっています。
現在、とりまとめに向けた議論が佳境に入っている状況かと思います。
成年後見制度は、どう変わるのでしょうか?
研究会の議事録を読んだ個人的な感想としては、必要性・補充性を考慮し、適切な時機に必要な範囲・期間で利用できる制度に改められるのだろうと思います。
当事者に近い団体の方が「カジュアル」な制度と言っていましたが、今のように一度使い始めたら能力が回復しない限りやめられない重い制度ではなくなるのでしょう。
また、障害者権利条約との関係から、行為能力制度、同意権・取消権についても一定の見直しがあるのではないでしょうか。
私は、現行の成年後見制度の一番の問題点は、本人のことをよく知らない人が本人の判断能力が低下してから後見人等になることだと思っています。
これを改善するためには、任意後見制度をより使いやすい制度にすることも大切ですが、もっと大切なのは、地域で普段から本人を見守り、本人の権利を擁護する体制を充実させることなんだろうと思います。
そういった体制が充実してこそ、本当に必要なときだけ成年後見制度を使うということも可能になるのでしょう。
「成年後見制度の在り方に関する研究会」において、今後どのようなとりまとめがされるのか、注目したいと思います。
さて、今年は、在宅の成年後見や保佐などの新規案件を受任しました。
成年後見の仕事は、本人がどういう方なのか、どういう状況にあるのかによって、一件一件まったく異なる仕事であるというのを改めて感じました。
これからも一人一人に寄り添って後見業務を行っていきたいものです。
(東京ジェイ法律事務所 司法書士 野村真美)
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