平成29年11月13日、中央大学駿河台記念館で開催された日本成年後見法学会 ダグマール・ブロサイ先生 講演会に参加しました。
講師のダグマール・ブロサイ先生(ケルン工業大学教授)は、障害者権利条約の研究で著名な女性研究者で、ベルリンで開催された第4回成年後見法世界会議の実行委員長を務めた方だそうです。
講演のテーマは「法的世話の質」に関する調査研究の結果です。
「法的世話」というのは、日本の「法定後見」にあたる制度です。
この調査研究は、ドイツ連邦司法・消費者保護省が行ったもので、その最終報告書は数週間のうちに発表されるそうです。
ちなみに中間報告書はすでに発表されています。⇒コチラ
この調査研究は、「法的世話」において、
・実務上どの程度の質が保たれているか
・構造上の欠陥があるか、あるとすればどのような欠陥か
・どのような理由があるか
を明らかにすることを目的に行われました。
アンケート調査や事例研究などを行い、51の行動指針を示したそうです。
この講演会の詳しい内容は、おそらく雑誌「実践成年後見」に掲載されるでしょうから、ここでは私の感想を述べたいと思います。
講演を聴いて感じたのは、ドイツの世話人も、意思決定支援において日本の成年後見人と同じような問題を抱えているということです。
支援の質に欠陥があるケースというのは、日本の成年後見にも該当するケースばかりでした。
この調査研究結果では、より高い支援の質を確保するために、世話人がどのように行動すればいいかについて総括されていて、それがとても参考になりました。
ドイツの学者の方の講演会だったので、あまり実務に役立たないかしら…と思いつつ参加しましたが、今後の後見実務に活かせるヒントがたくさんあって、参加した甲斐がありました。
51の行動指針は、この講演会では紹介されませんでしたが、最終報告書で発表されるのでしょうか?
ぜひ読んで参考にしたいと思います。
こうした外部の講座に参加すると、自分の成年後見業務を広い視野で客観的に見つめ直すことができるように感じます。
今後も機会があれば積極的に参加したいと思います。
(東京ジェイ法律事務所 司法書士 野村真美)
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