後見制度支援信託って実際のところどうなんだろう② | 成年後見日記

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「後見制度支援信託」って実際のところどうなんでしょう?

 

もし、あなたが親族の後見人になって、後見制度支援信託の利用を検討することになった場合、どういった点に注意すべきかについて、何回かに分けてシリーズで書いています。

 

今日は、前回に引き続き、

①信託がいいの?それとも後見監督人がいいの?

がテーマです。

 

本人の財産(流動資産)が一定額以上の場合(東京家庭裁判所では500万円以上)、親族後見人は家庭裁判所から「後見制度支援信託を利用しますか?利用しない場合は後見監督人が付きます。」と言われます。

 

つまり、あなたは、信託か監督人かを選ばなければならないのです。

 

信託と監督人にはそれぞれメリット・デメリットがあります。

それをしっかり理解したうえでどちらにするか検討した方がいいと思います。

 

前回は信託のメリット・デメリットについて述べました。→コチラ

デメリットをたくさん書いてしまいましたが、信託が後見人の横領防止に有効であることは否めません。

 

今回は監督人を付けることのメリット・デメリットについて述べます。

 

【監督人のメリット】

・疑問点があれば監督人に気軽に相談できる(裁判所よりも身近な相談相手)。

・裁判所とのやりとりは監督人がやってくれる。

・本人が行っていた財産の管理方法を継続することができ、本人の意思を尊重できる。後から遺言書が見つかって遺言書の内容に抵触するというおそれもない。

・本人のために多額の支出が必要な場合でも、監督人と相談のうえ迅速かつ柔軟に支出することができる。

・本人と後見人との間で利益相反する場合は、監督人が本人を代理するので、特別代理人の選任が不要。

・年2~4回監督人に会って報告するので、出納帳の作成・領収書の整理等の後見業務をためこんでしまうことがない。

 

【監督人のデメリット】

・監督人は裁判所が選任する専門職であり、本人の財産から毎年報酬を支払わなければならない。

※報酬額のめやす

通常の後見監督事務を行った場合の報酬(基本報酬)のめやすとなる額は,管理財産額が5000万円以下の場合には月額1万円~2万円,管理財産額が5000万円を超える場合には月額2万5000円~3万円

成年後見人等の報酬額のめやす→コチラ

 

私は、個人的には信託よりも監督人をおすすめしたいのですが(メリットもたくさんありますし)、なんといっても監督人には費用がかかるのがネックですよね…。

 

監督人はいわば裁判所に代わって後見人を監督するわけですから

監督人の報酬は国庫から支出できないものでしょうか…。

 

さて、以上のような信託と監督人のメリット・デメリットをしっかり理解したうえで、あなたが信託を選択したとします。

 

その場合、信託の手続においてどのような点に注意すれば良いのかについては、また後日。

 

(東京ジェイ法律事務所 司法書士 野村真美)

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