反派二姐姐 『廢土與安息』「(仮)廃土と安息」
留守番工作室2019年(全2巻)
ジャンル SF未来小説 核汚染後の地球 HE
中国語難解度 ★☆☆☆☆
虐文度 ★★☆☆☆☆
肉文度 ★★★★☆
萌度 ★★★☆☆
中華風味度 ☆☆☆☆☆
総合おすすめ度 ★★★★☆
タイトルについて![]()
“廃土と安息”は主役カップルの名前です。
廃土は、本名ではありませんが、彼が荒廃した地上(廃土)から地下にやって来たので、安息が勝手に“廃土”と名付けました。
対照的な意味合いを持つ二人の名前を並べる古典的なこのタイトルは、物語にもよく合っていてステキです。
未来SFなんて一番苦手なジャンルだと思っていました。
ちょうど同時期に手にした、ハードなSF物語、淮上の『不死者』がなじめずに、パラパラ読みで終わったという苦い経験から、“またダメかも”と思ったのですが、この作品は嬉しいサプライズでした!
核汚染の過酷な条件の地球を生き抜くなんて、考えただけでもめまいがしますし、暴力シーンも多少あります。
しかし、この作品は私でも楽しく読めました。
勝手に“マイルドSF”と名付けたい!
主役二人の主軸がしっかりしていて、絶妙に肉文(性描写)がちりばめられているので、ハードな世界に緊張しながらもサクサク読み進められます。
ふだんはSFを読まない人にもおススメです!
ざっくりあらすじ
核に汚染された地上(廃土)を逃げて、人々は、地下にコミュニティー(避難ステーション)を作っていた。そこで生まれ育ち16歳になった安息 ān xī は、もちろん地上の世界を知らない。
ある日、地下の避難ステーションに傷を負った地上人――廃土 fèi tǔ が捕らえられてきた。
彼の生殖機能を利用しようというのだ。
地上人を見たことのない安息は好奇心から、ひそかに廃土を見に行く。
安息は、初めて見るたくましい体をした廃土に一目で魅せられてしまう。
廃土も純真無垢な安息を誘惑し、彼を利用して避難ステーションからの脱出を計画する。
二人は無事、脱出を成功させる。
安息は生まれて初めてみる太陽や夕日に心を奪われる。
そして廃土に寄り添って美しい星空に酔いしれるが…。
核汚染された地上は、人から変異した様々な生物がはびこり、弱肉強食の過酷な世界です。
豊かとは言えなくても、地下で温室のような場所で育った純粋な少年と、地上で一人戦ってきた百戦錬磨の廃土が、互いに助け合いながら楽土“虛摩提” をめざす旅をします。
ちょこっと気になる![]()
廃土の地上での仕事は「賞金獵人」shǎng jīn lièrén。
賞金や報酬を目当てに、ならず者でも何でも始末する人です。
彼はとにかくお金をためて楽土“虚摩提”へ行くことを夢見ています。
だからお金にかなりシビア。
核汚染された世界でもお金がモノをいう世界なのね…という点が面白いです。
ちょこっと中国語![]()
二人が、必死に地下の避難ステーションを脱出した日、
安息にとっては、初めての地上の世界です。
安息目瞪口呆:“出來這一趟,能看見這個景色也算值了“
廢土翹了翹嘴角:“我早就想讓你看一次日落了,今天運氣不錯,還看見了星星,可能因為知道有第一次出門的小朋友,所以特地留下了晴天。”
安息有些害羞地笑了,張着嘴望着天:“好多星星啊,真好看,我第一次見到。”
――本文より
地上から見える太陽や星々。
この景色を見れただけでも出てきた意味がある、と興奮する安息に、
廃土は、“今日は天気がよくてラッキーだった、初めて出かける子どものために晴れてくれたのかな”
と上から目線です。
安息躺平盯着低矮的洞顶发呆,
犹如隔世——他刹时间觉得已经离家三月,但其实今天早上才在避难站醒来。
――本文より
安息にとって地上で初めて過ごす夜。ほんの朝まで避難ステーションにいたのに、そこを離れてすでに三月も経った気がするくらいの別世界でした。
しかし、安息は、避難ステーションの人々を裏切って、口の上手い廃土と逃げるのですが、
まさに“♪帰る場所さえとうに忘れた~♪の世界。安息、大丈夫~?!
次回は白雲詩詩詩『1930来的先生』「(仮)1930年からきた紳士」。
1930年、中華民国期の南京から現代にタイムトラベルした紳士のお話です。