柳滿坡『小笨蛋』 「(仮)お馬鹿さん」 | mamingtan-13  まいにち耽美で中国語

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柳滿坡『小笨蛋』 xiǎo bèndàn   

「(仮)お馬鹿さん」

     田文文創出版社 2020年(全2巻 )

 

 

 

 ジャンル  現代 HE

中国語難解度   ★★★☆☆

  虐文度     ★★★★☆

    肉文度      ★☆☆☆☆

      萌度     ★★☆☆☆            

中華風味度   ★☆☆☆☆ 

総合おすすめ度  ★★★☆☆

 

 

   もうじきクリスマス。クリスマスツリー

 クリスマスが出てくる耽美小説なかったかなあ~と考えました。お正月(旧正月)は、よく出てくるんですが、クリスマスってほとんど印象にありません。

 たしか、この作品にはクリスマスが出てきたよな、と思って、読み返したしだいです。

 

  ざっくりあらすじ。 指差し 

  子供の頃に遭った事故で脳に障害が残った曉果  xiǎo guǒ は、福祉施設に暮らす明るく素直な青年。積極的に障がいのある人を雇用しているエコロジーパーク(生態園)の農園に務めている。

 ある夏の暑い午後、生態園にある別荘で、曉果は、ごきげんで鼻歌を歌いながら、木々の剪定していた。その奇妙な歌声が気にかかった別荘の主人――羅域  luó yù は、彼に声をかける。羅域は、実は誰もが恐れる冷血な辣腕経営者。大病を患い、大手術を受けて休養をしている。羅域は、屈託のない少年のような笑顔の曉果に興味を抱いて、家でスイカを食べないかと誘う。こうして農園で働く曉果と人嫌いで孤独な経営者、羅域の交流が始まる。

 知的障害をもつ曉果は、何かといじめられたり、だまされたりしている。

 それを心配した羅域は、曉果を別荘に引き取り、ふたりは一緒に暮らすことになる。羅域の行動に周囲は驚くが、やがて、羅域のワンマンぶりに不満を持っていた者たちは、曉果を利用して羅域を陥れようとする。

 

  

  物語の後半では、羅域が、なぜこんなに曉果に魅かれるのか、曉果はどんな事故に遭って障害が残ったか、というのが明らかになります。

 

   立ち上がるちょこっと気になる立ち上がる

 

  耽美小説は、メルヘンだと思って読んでいるので、まじめにとらえる必要はないと思っていますが、それにしても、いろいろ考えてしまいます。

  知的障害を持つ青年を裕福な独身の会社社長が引き取って、一緒に暮らすとなると、社会はいろいろと疑ってかかるのは当然です。 

  弱い立場の曉果の行く末は、すべて、羅域にかかっています。だから、ずっと曉果 のことが心配になるんですよね。これまでは意地悪をされたり、だまされたりはありますが、それなりにいい人たちもいて守られていました。それが羅域に出逢ったものだから、静かな生活が一変してしまいます。

  羅域が、幼いころから病弱で、育った環境のせいもあって、人嫌いで気まぐれな人だから、なんとなく信じられないんですよね。 

 一応ハッピーエンドではありますが…。

 

 

   立ち上がるちょこっと中国語立ち上がる

 

  なんとなく信じられない羅域は、さておき、この物語は、曉果の可愛らしさがすべてです。名前もかわいいし。

 

 曉果的生活非常規律,每天早晨七點起床,從宿舍兩元錢的公車到園區,走上十五分鐘到達有機果園上班。忙上一上午,十二點準時吃午飯,然後再進行下午的工作,一直到五點半下班,再坐兩元的公車回家,日復一日。

 

――『小笨蛋』本文より

 

   

   曉果くんの一日は、規則正しい。毎日7時起床。2元使って宿舎から生態園行きのバスに乗って、歩いて15分で農園に到着。一日忙しく働いて、5時半にまたバスに乗って帰ります。   

 

  曉果くんの容姿もかわいい。

 

  曉果並不是聰明人的長相,不過看着倒也不傻,他有一雙圓圓的眼睛,臉也是圓圓的,鼻唇秀氣皮膚也白,整張臉都搭配得很柔和,唯一的缺點大概要算那對大耳朵了…難聽些就是招風耳,好聽些有些像是泰迪熊…。

 

――『小笨蛋』本文より

 

 大きな丸い目に、丸い輪郭。

特に特徴的なのがテディベアのような大きな耳だそうです。

 

  曉果看上去彷彿和之前所見過的無數花海都融到了一起,就好像…一朵小小的向日葵。 

                     ――『小笨蛋』本文より

 

  曉果くんは、花が好きで、農園の仕事が大好きです。いろいろな花が咲く花園の中の小さな一本のヒマワリのような青年。

 

 

  

  さてクリスマスシーンについてです。クリスマスベル 

  クリスマスを知らない曉果、羅域と一緒にいった大型ホテルで、迷子になります。 

  ふだんからから羅域のことを面白く思っていなかった男に出くわして、クリスマスパーティーの会場に連れて行かれます。そこで、からかわれてパニックに陥った曉果は、池に飛び込むのです。

  切なすぎるクリスマスでした…。

 

 

  でもこの物語は、曉果が主役。だから、真夏がぴったりの小説です!スイカ

 

 次回は、美少年皇太子と朴訥の家臣の恋、非天夜翔『鷹奴』です