呂天逸『大触』dà chù
(「大画伯(仮)」)
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葭霏文創出版社2019年(全2巻)
ジャンル ファンタジーコメディ HE
中国語難解度 ★★☆☆☆
虐文度 ★★☆☆☆
清水度 ★★★★☆
萌度 ★★★☆☆
中華風味度 ☆☆☆☆☆
総合おすすめ度 ★★★★☆
呂天逸の作品は、軽妙で痛快。少年コミックを見ているようで、全編にかけてユーモアと明るいお色気があります。![]()
明るくハッピーな気持ちになれるので,体調を崩して、少しの間入院することになった時にも、数多くの中国語耽美から呂天逸の本を選んで持参しました。
「大触」は、かなり前に声を出して笑いながら読みました。
以来、自分は妖怪モノ、動物モノが好きなんだと自覚いたしました(笑)…。
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中華BLの妖怪モノ、動物モノは、中国の歴史や文化が絡んだものが多く、そこが面白いのですが、この作品には中華風味はないです。
むしろ、浦島太郎の竜宮城の世界観があります。詳しいあらすじは優れたAIに任せて、ざっくり紹介します。
海洋生物界の頂点に立つ北海巨妖(見かけは巨大タコ
)――沈亦清 shěn yì qīngは、イケメンの有名画家に姿を変えて、幼いころにつらい境遇をともにした人間の子どもを捜しに人間界に来ます。
そして、やっと見つけたお相手は明るくて可愛い妖怪ハンターー沈曜 shěn yào になっていました。
しかし、彼には幼いころの記憶が全くありません。それでも沈亦清は、猛烈に沈曜にアプローチします。![]()
沈亦清は人間年齢26歳のイケメン紳士です。実は何百年も生きる北海巨妖としては、まだ赤ちゃんみたいなものなんです。
それもあってか、とにかく行動が可愛くて可笑しい。
夜に一人で自宅に帰ると、不意に服を脱ぎだします。あっという間に、3メートルほど(これでも赤ちゃんタコ。お父様は数百メートル)のタコ姿になり、プールにどぼん
。昼間に会った沈曜を思い出して、触手をゆらゆらさせて、顔を赤らめるのです…。 ![]()
沈亦清は、何でも食べる大食漢ですが、沈曜の大好きなたこ焼きには、かたくなに手を出しません。本人曰く、タコと自分は親戚でもないそうですが…。
他にも愉快な海水生物も登場して笑いに尽きません。
ちなみに沈亦清の継母(←雄ですけど)は、巨大イカです…。
でも二人の幼いころの思い出はとても悲しい。二人が同じ“沈”姓を持っている秘密が明らかになります。
そんな涙がポロリ
の場面もあって、とてもバランスがよい作品です。
ちょこっと気になる ![]()
ジャンル分けについて。
中国語耽美のジャンル分けは、きちんと決まってるわけではなさそうだけど、本当に面白い。
以前紹介した、登場人物が心身ともに痛めつけられる作品が「虐文」nüèwénだとしたら、その対称に位置する作品は、「甜文/小甜餅」 tián wén/xiǎo tián bǐng 、「スイーツ、甘いクッキー」と呼ばれます。
全編を通して,可愛くて甘い恋愛が描かれている作品です。一般的に「寝る前におススメ」と言われることが多いです。![]()
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私も最近、疲れているのが、もっぱら、「甜文」を読むことが増えてきました。健康のバロメーターみたい…。
「大触」も典型的な「甜文」です。![]()
ちょこっと中国語 ![]()
「大触」dà chù、ネット用語でアニメ、漫画などの二次元のイラストが上手な人。
もともとタコやイカなどが進化した触手を器用に動かすことから、手先を器用に動かせて各方面で高い技術を持つ人を指すようです。
この小説では、沈亦清が触手を使って、有名画家になり絵を描いたり、沈曜を優しくぐるぐる巻きにするのがたまりません。
楽しい海洋世界!
タイトルの日本語訳は、「大画伯」としましたが、日本では「画伯」は、逆に絵の下手な人をからかって使いますよね。
どうしよう困ったな…。
次回は『死亡万花筒』で有名な
西子緒xī zǐ xùの
『為了和諧而奮闘』wèile héxié ér fèndòu
「調和を目指して大奮闘」(仮)です。![]()
