mamingtan-13  まいにち耽美で中国語

mamingtan-13  まいにち耽美で中国語

中国語耽美小説を中心につぶやきます

 

 白雲詩『1930来的先生』「(仮)1930年からきた紳士」。

 

 

墨扉有限公司2021年(全2巻)

shíjiǔ 30 lái de xiānshēng 

ジャンル  タイムトラベル 芸能界 HE

中国語難解度   ★★☆☆☆

  虐文度     ★★★☆☆

    肉文度      ★★★☆☆

   萌度     ★★☆☆☆            

中華風味度   ★★★☆☆ 

総合おすすめ度  ★★★★☆

 

  

 

 ベスト・オブ・ロマンチック作品です。

 

『さらばわが愛――覇王別姫』や『君、花海棠の紅にあらず』等の中華民国期のドラマや演劇の世界が好きな人は絶対にハマります。

 

 

  ざっくりあらすじ 看板持ち

 

  1930年中華民国期の南京。

  名家の嫡子、金石安  jīn shí ānは、パトロンとして女形の役者、白露生 bái lù shēng を屋敷に囲っていたが、権力闘争に敗れ、家が傾き苦境に陥る。  

金石安は先に白露生を安全な場所、イギリスへ送り出して、あとから自分も会いに行こうと計画する。しかし、白露生は、金石安の縁談のうわさを聞いて、邪魔な自分を追い出そうとしていると思い込み、アヘンにおぼれる。   

アヘンで正気を失った白露生は、言い争いになった金石安を刺してしまう。

そのまま意識を失った金石安は、病院のベッドで目を覚ます。そこには、白露生とうり二つだが、金髪で不思議な姿(1930年代からみて)をした青年、白楊 bái yáng  がいた。

金石安は、80年後の南京にタイムスリップしたのだ。

 

 いっぽう、白楊は、南京で活動する三流芸能人。美しい容姿をしているが、秀でた才能もなく芸能活動もうまく行かない。恋人にも裏切られ、失意の時に、大企業の経営者、金石安(前掲とは別人物)と出会い、彼の会社で働くことになった。

しかし、ある日、金石安は酒に酔った勢いで、白楊を乱暴しようとする。白楊は、必死に抵抗して、金石安をベランダから突き落としてしまう。

意識を失った金石安は、病院に運ばれ、白楊も彼につきそう。だが、目を覚ました金石安の様子がおかしい。彼は1930年からタイムスリップした金石安だったのだ。

 

 

 違う時代の二人のカップルの一人が、タイムスリップして入れ替わるという、ベタな物語ですが、時代背景と、キャラクター設定がすばらしく、笑いあり、涙ありで最後まで楽しく読めます。

なんといっても、中華民国期からきた金石安が、とにかくロマンチストな大人の男性。書くことも話すことも教養があって、すてきです。白楊のほうは、それがあまり理解できませんけど…。

明るく素直で、ちゃらんぽらんなところもある白楊ですが、古風でユーモアもあり、紳士的な金石安にどんどん魅かれて行きます。

金石安のほうも、始めは白露生とうり二つの白楊の容姿に魅かれますが、しだいに、彼とはまったく違う個性の白楊にほれ込みます。現代においても金石安は、白楊の最大のパトロンになります。

 

 実は、この作品は、大きなストーリーの半分といえます。

中華民国期に残された白露生と現代からタイムスリップした金石安のカップルの話は、

玲瓏月 línglóng yuè 』という作品で描かれます。こちらは、ネットでは完結していますが、

紙書籍にまだなっていないので読んでいません。

 作者は民国期編のほうが、実は描きたかったのでは、と言われるくらい、よい作品みたいです。でも現代編のように、コメディー要素のあるハッピーエンドとは行かないようです。

 

  中華民国期を舞台にした作品は、やはり激動の時代だけあって、どうしても悲劇要素が強くなる傾向が強いです。だからこそロマンチックでもあるのですが。

 

  ほかにも中華民国期を舞台にした耽美小説の本が手元にあるのですが、バットエンディングと聞いて、いまだに読む勇気がありません…。

 

 

 

 立ち上がるちょこっと気になる立ち上がる

 そして、最大の魅力のひとつが、南京です。

この物語は終始南京を舞台にして描かれています。

 たくさんの美しい観光名所が出てきて、南京の絵葉書のような作品です。

 

  紅葉の名所――栖霞山 qīxiá shān。

 ここで、この作品一番の名セリフが出てきます。

 

 “誰要吻你,我只是吻一吻這秋色。”  

           ――本文より

 

 金石安が、“きみにではなくて、秋に口づけをしただけ” と言って白楊にキスします。

まるで、夏目漱石の“月が綺麗ですね” みたいな告白じゃないですか~。

 

 日本から気軽に観光へ行く人は少ないかもしれませんが、古都南京は、本当に風光明媚な場所で、私は大好きです。

 歴代の王朝の都がおかれ、多くの名刹があります。

そして何と言っても中華民国期の面影を色濃く残しています。

 オールド上海好きなら、上海から少し足を延ばして南京へ行くのもいいかと思います。

 

  どこまでも紳士的な1930年から来た金石安は、中国ドラマ『君、花海棠の紅にあらず』の程鳳台のホアン・シャオミン、

実らぬ恋にあえぎ、アヘン中毒になる白露生は、『さらばわが愛』の蝶衣のレスリーチャンをほうふつとさせます。

 

  

   

 書籍はまだ発売中みたいです。

https://morefate.com/

ラジオドラマもありますが、原書で読むのもおススメです。

 

金石安が白楊に送ったラブレター。

繁体字で文語的なので、白楊はさっぱり読めません…。

でもステキ。紙書籍ならではの付録です。

  

 

 

  次回は、腹黒、宦官と皇帝の物語

  ――花巻『不想了』をまとめます。