2023年11月18日(土)17時開演
京都劇場

キャスト:天海祐希、アダム・クーパー、鈴木保奈美、要潤、宮下今日子、栗原英雄
演出:ウィル・タケット
作:ジュード・クリスチャン
翻訳:土器屋利行


とてもシンプルなセット、そこはいろんな場所を表現します。
柱が立っていて、ベンチがあって、天井が上下に動き、少しずつ表情を変える。
時には会議室のような場所、時には庭先、時には城の中、そして戦場か。
照明がとても効果的。
全体的に暗く、物々しい雰囲気、そして印象に残る赤味。
物語の本質を邪魔しない、観客の想像力を試すようなセットが、少し挑戦的に見えたりもする。

ストーリーは・・・、実は観ただけでは今一つストーリーを掴み切れませんでした。
正直、難しく感じ、今一つよくわからないまま終わってしまった印象でした。

ということで、ほぼパンフレットからの引用で。
戦場で恋に落ち結ばれたマクベスとレディマクベスの夫妻。
そう、レディマクベスは元軍人で、出産後の復帰を考えていたが、難産がもとで体を壊し元のようには動けない。
仕方なく夫のマクベスを支えることとなった…。
娘が16歳になった今も戦争は続いており、マクベスは国王ダンカンの右腕となり国の中心人物に上り詰めた。
かつてレディマクベスが描いた「夫と共に国を治める」夢が、国王の後継者を血縁以外から選ぶという宣言により俄然現実味を帯びる。誰もが次期後継者をマクベスだと確信している。
幼馴染のバンクォーやダンカンの従姉妹のマクダフの言葉に心を揺らがされながらもレディマクベスは大きな夢の実現を信じて夫を鼓舞する。
しかし・・・、マクベスは長きに渡る殺戮の日々やレディマクベスからのプレッシャーに耐えられる精神状態ではなくなっていた…。

なるほどですね。
そういうことだったのか、と後で思う。
先にパンフレットを読んでおけばよかったわ。(笑)
席は中央だったのですが、最後尾列ということもあり、声がとても聴きとりづらかった。
そういう演出なのでしょうけれど、密談の様相を呈した場面では、ほとんど囁き声にしか聞こえず、それもよくわからなくなった原因のひとつかもしれません。
そんな中でもレディマクベスの強い意志と決意はヒシヒシと伝わってきたように思います。
天海祐希さんの存在感は相変わらず健在ですね。

英語の台詞に字幕はなく、意訳の日本語で追いかける方式ですが、途中訳したセリフの無い場面もあり、英語がわかればもっと面白かったのかもしれない、とも思いました。
心優しきマクベスが、殺戮の日々に耐えられなくなっている雰囲気はよく伝わりました。
それでも上を目指せと夫を無理にでも戦場に向かわせようとするレディマクベス…。
結構酷いじゃん、と思ってしまい、その本当の気持ちが見えづらいと思いました。
これは、ストーリーを確認せずに臨んだため、内容を正確に理解しづらかった結果のようにも。

ちょっと長めのお芝居だったこともあり、途中で意識が少し飛んだりもしましたが…。
少ない人数でのお芝居にも関わらずとても質量を感じるお芝居で、誰もが個別に輝いて見えて、役者さんの力量がよくわかりました。
正直、鑑賞後にスッキリ感はイマイチありませんでしたが、濃密なお芝居を観た、という満足感はありました。
あぁ、難しいなぁ。