2024年4月21日(日)12時開演
COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール


キャスト:花總まり、谷原章介、平埜生成、入山法子、栗原英雄、中山祐一朗、吉本菜穂子、幸田尚子、楢木和也、西山友貴、吉崎裕哉、山口将太朗、黒田勇、須崎汐理、山崎眞結
脚本・演出:G2
原作:アンドリュー・カウフマン

とても突飛なタイトル、タイトル通りに驚きの内容、そこそこ期待をして臨み、期待は裏切られない感じでした。
原作者の綴る大きなテーマは「愛」のようだ。
長く関係を保ち続けることの難しさを描く。
パンフレットに書かれていた、劇中の台詞で原作者が最も好きなものが印象的。
(強盗の台詞)「結婚生活は窓辺に忘れられた鉢植えのようなものだ。愛は無敵と思いがちだが放置すると一週間で死んでしまう。」
何となく、身につまされる想いもする。
人は時として、とても小さくならないと体協が見えなくなることがあるらしい。

ほぼファンタジーの世界ですが、あらすじはこんな感じ。
ある日の銀行に13人の客、突如天井に向けて銃を撃った銀行強盗の「要求」は、「今持っているもののうち、最も思い入れのあるものを出せ」だった。
それぞれの思い入れの品を手に強盗が残した捨て台詞は意味深、「皆の魂の51%を持ち去るため、それぞれに奇妙なことが起きるだろう。魂の51%を回復すれば助かるができなければ命を落とすことになる。」と。
その言葉通りに、それぞれの客に目を疑うような事象が襲う。
年老いた母が96人に分裂するとか、足首に彫ったライオンのタトゥーが体から抜け出し追いかけてくるとか、自宅の居間に神が降りてくるとか…。
13人のうちの一人の刑事はどうすれば助かるかを考えるために「被害者」たちを集めるが、解決の糸口は見つからない。
そんな中、ステイシーは自分が少しずつ縮み始めたことに気づく。
簡単に計算できたその答えは、このペースで縮むとすれば8日後には自分は消えてしまう…。
すれ違いが続き微妙な空気になっていた夫との関係は、このことにより形を変え始めるが、縮む速度は落ちない。
ステイシーの魂の51%はどうやって回復すればよいのか。本当にステイシーは消えてしまうのか。

本当に突拍子のない発想で、それだけでびっくりしますが、その後の展開もなかなかにスリリングというか、ファンキーというか。
13人に起こる不思議な事象が入れ替わり立ち代わり描かれて、皆が寄り合う場面などもあり、内容を把握することが精いっぱいな感じでした。
ちょっと内容量が多すぎる感じ。
しかもいろいろツッコみどころ満載な事象ばっかりやし、流石欧米人の原作だけあって大らかというかなんというか。
不思議すぎるいろいろな事象の表現に舞台セットは大活躍で、なかなか大変だなぁと思った次第。
メインの人が縮むことをどんな風に表現するんだろうと思いましたが、セットを大きくする感じでうまくできていました。
子供との関係とか、車に乗るシーンとか、うまく作り込んでいるなぁと感心しました。
とても大切なシーンですが、お笑いにもわざとらしくもならず、なるほど感があって良いと思いました。

どんどん縮んでいく自分、を想像するとゾッとしますが、現実味が無さ過ぎて戸惑います。
どんな風に消えてしまうのか、とか意識はどうなるんだとか、いろいろ気になっちゃって、結構感情移入しちゃいました。
ラストはどんでん返しのハッピーエンド、みたいな感じではありましたが、そもそもあの銀行強盗は何者やったの?みたいな謎はいくつか解明されないままでちょっと不完全燃焼しました。

ミュージカル要素もあり、歌って踊って、えっと?みたいな。
元タカラジェンヌの花總さんは当然とても上手いのですが、演者それぞれ歌や踊りのクオリティが高くて見応えがありました。
谷原さんは以前にもお芝居を拝見したことがありますが、存在感がありますね。
長身イケメンでイケボですし。

ストーリーが奇抜なだけに演出に注目しましたが、最初に書いたとおり、期待は裏切られませんでした。
むしろ、なるほど、そう描きますか~と感心しました。
面白いお芝居でした。