「ミステリと言う勿れ」
キャスト:菅田将暉、柴咲コウ、町田啓太、萩原利久、原菜乃華、松下洸平、松嶋菜々子、鈴木保奈美、滝藤賢一、松坂慶子、段田安則、角野卓造ほか
監督:松山博昭
原作:田村由美

ドラマは観ていませんでした。
かなり話題になっていましたが…。
映画を見る少し前に原作コミックの、映画に該当する部分を読みました。
原作コミック、かなり面白かった。
絵柄も結構好きで、とても読みやすく、ハマりそう。
と、言うことで、予習の上でも鑑賞だったので、物語はとても分かりやすかった。
ドラマを観ていれば、もっと面白かったのかもしれませんね。

天然パーマでおしゃべりな大学生、久能整は東京で見逃した美術展が広島で開催されていることを知り、何故か新幹線の格安チケットを入手したことで広島に出かけた。
広島で偶然(ではなかったのだが…)出逢った女子高生の狩集汐路は、久能因縁の犬堂我路の知人だと言う。
彼女から唐突にバイトを持ち掛けられ断ろうとするも、まんまと巻き込まれてしまった。
狩集家の莫大な遺産相続に関わる会合に「彼氏」として参加させられ、遺言書の謎を知る。
遺言書の本当の意味は何か、先祖代々伝わる遺産相続の度に死人が出るというウワサの裏には何があるのか。
遺言書の謎を解く中で、相続人がケガをしたり監禁されたり、ついには整が襲われかけたり、謎が増えていく。
すべての謎はある真実に集約されていく。整はその謎を解けるのか。

映画の中の景色とか建物がとても趣があり、美しいと感じました。
安芸の宮島ほか観光地もいろいろと見ることができて、広島らしさが出ていました。
そしてお屋敷の中やセットなどもとても丁寧に作り込まれているように思いました。
こだわりを感じる映像作りのように思えます。

私のイメージした原作の整くんと菅田将暉さんは、外見はとても上手に寄せていると感じましたが、世間が言うほど「まさにピッタリ」とは感じませんでした。
とは言え、映画の主人公としての菅田将暉さんは満点以上の出来だったと思います。
キャラクターで言えば、原作と映画とは別物だと私は感じたけれど、作品の出来としては、原作を尊重して上手く作られた映画だと思いました。
で、先に原作を読んでいたので、謎は謎ではなく、犯人は最初に登場した時からわかっているという状況でしたが、それでも充分楽しめました。
他のキャストも、原作と似てると言えば似てる、そうでもないといえばそうでもない、という感じですが、役者さんが魅力的で演技力もしっかりしていて、原作を損ねる要素はどこにもありませんでした。
かなり原作に忠実な描写が多かったと思いますが、映画ならではの映像美のようなものもありました。

ちょっと何を考えているかわかりづらい整くんの、生来の生真面目さと優しさがいい感じで表現されているストーリーで、原作でも映画でもその部分はとても丁寧に描かれていました。
理屈っぽいように見えて、それほど難しいことは言ってなくて、割と正論をフツーに話しているのに、なんだかうざい感じが面白いと思います。
ドラマではレギュラーの刑事さんたちもちょこっと出演されていて、これはドラマファンへの敬意だろうなと思いました。
改めてドラマを観ようと思います。
そして続編があればきっと見ます。
加えて原作コミックを読破しようと目論んでいます。
面白かった。




「ゆとりですがなにか INTERNATIONAL」
キャスト:岡田将生、松坂桃李、柳楽優弥、仲野太賀、安藤サクラ、吉岡里帆、島崎遥香、高橋洋、青木さやか、木南晴夏、中田喜子、吉田鋼太郎ほか
脚本:宮藤官九郎
監督:水田伸生

ドラマは観ていません。
かなり話題になっていましたが…。
流石クドカンさんの脚本だなぁと感心しました。
彼の脳内を見てみたいと思うコトしばしばですが、今回もそう思いました。
こんな展開を思いつくなんて、凄い、のひとことしかありません。

恐らくですがドラマはまさに若かりし頃のゆとり世代の苦悩(?!)を描かれていたのだと推測していますが、この映画は「続編」的要素が強いと思います。
社会に出た頃、何かと言えばゆとり世代と揶揄された若者たちが、30代半ばを迎え、人生の岐路に立ち、さらに苦悩する…。
ゆとり世代は「野心がない」「競争意識がない」「協調性がない」らしい。
ゆとりがあるって決して悪いことじゃないのに「ゆとり世代」という表現にはマイナスイメージがつきまとう・・・、なぜ?

ゆとり世代3人組が主人公。
酒屋を継いだ坂間正和は嫁の尻に敷かれている自覚あり、経営も苦しく仕入れ先から契約を打ち切られようとしている。
小学校教師の山路一豊は35歳を過ぎても女性経験がなく、その劣等感から抜け出せずにいる。
中国で一旗揚げようと思っていたが事業に失敗し帰国した道上まりぶは仕事にありつけずフリーターをしている。
時代の流れに取り残されたように感じる3人は相変わらずつるみつつも、それぞれの問題を持て余して、焦って行動するも思うようにはいかない。
正和の家業を手伝うことで坂間家に入り込んだまりぶはちょっとした悪戯心から坂間家に隠しカメラを仕掛け、その日常映像をSNSで流し始める。
その余波はあらゆる事象と繋がって事件を巻き起こす。
どうする、ゆとり世代たち?!

基本的にはコメディかなぁと思いますが、ペーソスに溢れている気もします。
どんな世代の人も、大半は人生は思うようにはいかないもので、もがきながらあがきながら小さな幸せを手に入れて満足せざるを得ない、ような気がしている私自身が「小市民」でありごりごりの「庶民」なんでしょう。
悪くすると自分はそこそこマシな方だと勝手に思い込んでいるような・・・、まぁ、恥ずかしいと言えばそうですけど、自覚がなければ幸せなんだから、それはそれでいいのかも。
周りの迷惑は考えないことにして。
と、考えるとこの3人はとても幸せな部類かもしれないな。
家族とか友人とか、大切で信頼できる人がいるだけでかなり人生勝ってるような気がするし。
まぁ、実のところ、あまりにフツーな存在過ぎて、その大切さに気付ける人は少ないとも言えますが。
いずれにしても、まさに「なにか?」と言える人生は花丸ですね。
コメディらしく、鑑賞後感がほっこりするのもいい感じだと思います。
クドカンさんはどちらかと言うとバッドエンドを好み、そこそこえげつない脚本が多いイメージなので…。
まぁ、舞台と映像では異なるのかもしれませんが。

こんな感じなら、なんぼでも続編できそう、と思いました。
で、続編あったら見ると思います。