TEAM NACS solo project 5D2 FIVE DIMENSION II
2023年4月29日(土・祝)13時開演
森ノ宮ピロティホール

キャスト:須賀健太、馬場ふみか、前野朋哉、ゆうたろう、瀬尾ノリタカ、黒岩司、波岡一喜、戸次重幸
作・演出:戸次重幸

そうかそれで幾つの大罪か?ってことか。
幾つなんだ。
なかなかシチュエーションが理解できないままに物語が進む。
休憩なしの2時間半なので、先にパンフレットをちょっとでも読んでてよかったよ。
結論から言えば、どんでん返しの結末、それも一つじゃなかったんだよね、返されるのが。
もう、ぐるんぐるんでよくわかんない。
それは、憤怒なのか、それとも??

家を出る時は快晴だったのに、観劇後劇場を出た時は雨・・・、思えば今日はとにかくツイてない。
今日も、というべきか。それでも天気予報を素直に信じて傘は持っていたので困りはしなかった。
席がまた、いつものように、遠い。
裸眼(というか、眼鏡してるけど)では表情なんて全然わかんない。
ほぼオペラグラスを握りしめてる感じだった。細かな感情表現は表情に依るところも大きいし。
何より、隣の人、なんか変わってた、というか、気持ち悪かった。
40~50代の印象だったけど、顔をマトモには見られなかったのでそれもよくわかんない。
先に座っていたその人は私との境のひじ掛けに肘をついてスマホをいじっていた。
ひじかけは両方とも自分のもの、と思う人はそこそこいらっしゃるので「またか」とは思ったけど、それにしても、私の席まではみ出してるよ、腕が。
人が来たら少し遠慮するよねフツー、とか思ったけど彼女のフツーはそうじゃなかったみたいで。
座った右腕の前方に彼女の腕・・・?!なんで、と思ったけど、変に声かけて絡まれるのもイヤなので、さり気なくひじ掛け手前にカーディガンを丸めてバリアをする。
上演まで時間があったのでパンフレット読んでたら、なんと彼女はカーディガン越しにぐいぐい腕を押し付けてくる!
いやぁ、驚きましたし、気味悪かった。私の常識では太刀打ちできないから、気づかないフリを通す。
それがもう、めちゃ来るので、パンフレットを境目に差し込んでみました。
するとぐいぐい来ても私にはあまり伝わらないせいか、始まったから諦めたのか、その後は特に何もありませんでした。
もう、ホントに席運悪すぎ。

本題に入る前に疲れた・・・。
拘置所の一室らしいところに死刑囚が6名集められ、ゴシップ雑誌の記者である大谷唐純(おおたにからすみ)が取材の形で彼らのディスカッションを引き出そうとする。
曰く、それぞれの罪についての思いを本人が語り、それについての意見を他の死刑囚が語れと。
これは編集長の神崎仁美が大谷に命じたミッション「ホンモノの殺人者による殺害方法のブレインストーミング」の実現。
ところがそこは百戦錬磨の(?!)死刑囚たち、とても一筋縄ではいかない。
すぐに喧嘩はするし、大谷を「おおや」と呼ぶし、ストレスをためているせいか、言動が自由過ぎる。
それぞれの殺人は残虐なものが多く、その動機は暴食、傲慢、強欲、怠惰、嫉妬、色欲と様々。
大谷が差し入れを持参することでなんとか話し合いに持ち込む中、一人、また一人と、死刑囚は死刑を待たずに命を落としていく…。
4人が残された時点でお互いの距離を近づけるために犯罪ではない自分たちのことを話してみると、なぜか4人とも誕生日も血液型も家族構成も同じで・・・?
謎は深まるばかりの中、さらに驚きの展開が・・・。

パンフレットは縦置き縦開きの変わった装丁でした。
それぞれの死刑囚のプロフィールが出演者の紹介となっていて、対談もあり、なるほどな構成。
もちろんパンフレットを読んだだけではどんでん返しにはたどり着けないけど、舞台上でもパンフでも伏線は散りばめられていて、落としどころは途中で見えた・・・、と思ったけど、ちょっとズレた。
扱っているのは「解離性同一症」で、つまりは多重人格、精神障害のひとつ、というところでしょうか。
大谷という名前をおおやと呼ばせることにも意味があると。
そして、問題を抱えているのは、死刑囚たち=大谷だけでなく、編集長と呼ばれた神崎もまた、セラピストでありながら・・・、と、なかなか複雑でした。

そこそこヘビーで重いテーマと状況の中、笑いの要素を取り入れて、もしかしたら喜劇なのかと思わせるような進行が戸次さんっぽいかも。
というか、TEAM NACSってそういう印象がある。
このテーマ重いでしょ、っていう。
でも笑うところあるよね、っていう。

最後は観客に判断をゆだねるような終わり方で、私的には「やっぱり」と思った。
だって、これって、答えが多すぎるというか、つまりは「正解」がわからないというか。
須賀健太くんは見事でしたね。間も良かったし、うまく演じ分けていたと思う。
馬場ふみかさんはそれの上を行く見事さでした。
なかなか女優さんにはハードルの高い役だったと思う。
チームワークがとても良いようにみえました。
ゆうたろうさんが奇麗過ぎてドキドキしました。

カーテンコールでは、戸次さんが少しご挨拶。
なんだか楽しそうです。
いや、重いでしょ、お芝居は。