ブロードウエイミュージカル
2022年11月11日(金)14時開演
オリックス劇場

キャスト:小池徹平、城田優、ソニン、玉置成実、勝矢、ひのあらたほか
脚本:ハーヴェイ・ファイアスタイン
音楽・作詞:シンディ・ローパー
演出・振付:ジェリー・ミッチェル
日本版演出協力・上演台本:岸谷五朗
訳詞:森 雪之丞

日本での初演(2016年)と再演(2019)を見ました。
元は2005年公開のイギリスとアメリカの合作映画で、ブロードウエイでミュージカルが上演され、さらに日本版が2016年に初演されたそうです。
初演では、三浦春馬くんの美しさ(特に、足!)に圧倒されたことが、強烈な記憶です。
再演もその先もあるならぜひ見たいと思っていました。
念願かなって再々演!
ですが、そこに三浦春馬くんの姿はなく…。とても悲しくて寂しい。
春馬くん以外のローラなんて想像もつきませんでした。

が、城田優さんはとても素敵で、確かにローラでした。
もちろん、春馬くんとはまったく別だし、春馬くんに代わることはできないんだけど。
そして優劣をつけるようなことでもなく、初演と再演のローラも、今回のローラもそれぞれに素敵だった、っていうだけのことで。
本当に素敵だったけど、やっぱりもう一度春馬くんを見たかったと、叶わないとわかっていても思わずにはいられませんでした。

キャストの多くが初演も再演も出演されていたこともあり、チームワークはバッチリに見えました。
初演からの6年の月日の流れを思わせず、誰もが同じ若さとエネルギーを、もしかして若返った感じで、期待を越えて楽しませてもらえたと思います。
マイナーチェンジはいくらかあったのだとは思いますが、それがどれとはよくわからず。
この作品は2005年のイギリス映画が原作とされていますが、その内容は1999年に英国BBCのドキュメンタリー番組で取り上げられた実話がもとになっているそうです。
道理でどこかリアリティがあるなぁと感じたワケです。

主人公の一人のチャーリーは、幼い頃からずっと、イギリスの田舎町で老舗の靴工場を営む父から靴の美しさを何度も聞かされて育つ。
ところが工場を継ぐ気はないチャーリーは恋人と一緒にロンドンに行ってしまう。
ほどなくして父が亡くなり、しぶしぶ工場を継ぐために田舎に戻ったチャーリーに、世間も従業員も冷たい。
膨大な返品をさばくべく再び訪れたロンドンで、もう一人の主人公ローラと偶然出会う。
ドラァグクイーンのローラの壊れたブーツをヒントに、頑丈なブーツを作ってミラノの展示会に出展する決意を固めるチャーリーは、センスのいいローラにデザイナーとして工場に残って欲しいと懇願する。
チャーリーに協力することを決めたローラは工場の人々に馴染もうとするがうまくいかない。
ボクサーだった父の期待に応えられずに悩むローラの苦悩と努力に、チャーリーは共感し友情が芽生える。
徐々に周囲にも受け入れられる中、理想の「キンキーブーツ」が完成する。
ミラノの展示会に向けて、工場中に活気に溢れ、緊張感がみなぎる。
数々の挫折も困難もなんとか乗り越えて、晴れのその日、チャーリーとローラは無事、キンキーブーツをお披露目できるのか。

チャーリーを支え続けるローレンの献身的な愛、自分の常識以外の状況を受け入れられずに頑なになるドンの心をほぐすローラの想い、皆が力を合わせて何かを成し遂げる達成感や喜び。
この作品には本当にいろんなものが詰まっているなぁと改めて感じました。

また、この作品の大きな魅力のひとつ、音楽とダンス。
キンキーブーツが完成した喜びに、工場中の人々がベルトコンベアーの周りに集まって歌い踊るシーンは何度見てもとても楽しい。
そしてラストの全員が美しいシルエットのキンキーブーツをはいて、ランウエイで見せるダンスの見事なこと。
期待通りの、または期待以上の、楽しい再々演。
次の公演も、ぜひ見たいと思っています。