子どもたちは夜と遊ぶ 下 | 海外ドラマにfallin love

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いつのまにか完全にレビューブログになってしまいました(笑)

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上巻を読み終えて・・・


すぐに下巻を買いに行きました。



下巻のほうは、ストーリー的にはもちろん結末へ近づいていくのですが、


上巻よりも、”あったかさ” を感じます。


そして上巻に比べて恋愛色が濃くなってきました。


帯にあった「一方通行の片思い」の意味がわかってきます。


というかこの作家さんすごいです。


文章が巧過ぎます。でもまだ20代の作家さん・・・。


本当にすごいですね。



そしてストーリー。


「θ」は絶対に許されない過ちを犯したけれど、


それに耐えられなくなってくる。


でもそのきっかけは、思っても見なかった・・・


”周りのあったかい手” なのです。


この作品はイメージ的に黒なのですが、


黒もたくさんたくさん他の色を混ぜれば・・・


いつかは違う色になるということなのかもしれません。


いい意味で。



ストーリー全体的には、


ミステリー(サスペンス)っぽい展開が強くなってきます。


そして核心へ近づいていきます。


そういう中で、


登場人物たちがどう関ってくるのか。


それぞれどんな想いを抱いて結末を迎えるのか。


そんな気持ちでどんどん読み進めていきました。


けれどやっぱりこの作品はただのハッピーエンドで終わりません。


終わらせられません。



「θ」はあったかい手を見つけた。


初めて自分で触れたいと思う人を見つけた。


けれど「θ」がやったことは消えない。


戻れない。


それを誰よりも知っている「θ」はどんどん、


深みに落ちていきます。


せっかくあったかい手を見つけて幸せを捜し求められる道を・・・


見つけたけれど、


その道へ行きたかったけれど、


できない。


この作品の中では、


”ただいい人、やさしい人”なんていません。


ありのままの1人の人間が描かれています。


醜い部分も、エゴも、そしてあったかい部分も全て。


そして人間の描写がまたすごくうまい。です。


それぞれの一方通行な片思いに引き込まれていきました。


”片思い”なんていう表現は簡単すぎるかもしれないけれど、


本当はそういう簡単なものなのかもしれません。


この作品を”恋愛もの”というジャンルでくくることなんてできませんが、


下巻に入って・・・


この作品にこんなにも巧く、それぞれの恋愛感情が入ってくるとは思いませんでした。


でもそれは余計にこのお話に引き込まれる要因となります。


「好き」「愛してる」そんな会話も、言葉もほとんどでてこないけれど・・・


それぞれの人物の想いが強く伝わってきました。


これはこの作家さんの魅力だと思います。


そして結末。。。


犯人は・・・こんなことってありえるのかな。


とは思いましたが、


すごく優しい結末だったと思います。


みんなそれぞれ救われたから。


けれど失った4人の命は戻ってこない。


そこはとても寂しいです。


あとθがもう戻ってこないことも。


「θ」の周りには、


たくさんのやさしさがあった。


けれどそれに気づいて、手を伸ばそうとしたときには・・・


もう遅かった。


もっと早く気づいていれば。


もっと早く話していれば。



そう思わずにはいられません。


でもそれがこの・・・お話なのです。


けれど、結末は本当に・・・


想像していたよりもすごく優しく、あったかいものでした。



でもこれは続編を出してほしいです。


今度は殺人とかじゃなくて、


ただ純粋な恋愛物語として。


月子の恋愛。狐塚の恋愛。の行方がみてみたいです。


この辻村深月さんの描く恋愛一色の小説。


それも、とてもよさそうだなぁと思いました。



最後に・・・


なんだかリアルでありえそうな雰囲気もするストーリーでしたが、


作品中の中の会話で、


「絶対に泣かせたくない。笑っていてほしい。


そう思える人が必要だ」


というような会話。


とても心に染みました。


ありきたりで、単純かもしれないけれど、


”大切な人”がいる人はブレたりしないのです。


負けそうになっても、押しつぶされそうになっても・・・


どうにかなるのです。


私も大切な人がいます。


人だけに関らず、失いたくないものがあります。


それがときに、悩みの種になることもある。


けれどやっぱり大切なものは大切で。


失いたくないものは、失いたくない。


そういうことも感じました。



それに”殺人ゲーム”をする「θ」と「i」を許すことなんてできないけれど、


「θ」の気持ちが痛いほど伝わってきて、


そして一人ひとりの感情も交差して・・・


とても切なさを感じました。


こんなに切ない気持ちになったミステリーは初めてです。



この作家さんの作品、読んで損はないです。


これは断言できますね☆


上巻の半分ぐらいをまず読んでみて下さい。


もう途中で止めることはできなくなると思います。


とてもおもしろい作品です。


(もちろん、笑うの意味ではなく)