朝日 4月7日 5面


経済同友会は6日、東日本大震災からの復興に向けた緊急アピールをまとめた。今夏に大幅な不足が予想される電力問題では、国の責任で使用制限を発動すべきだと提言した。桜井正光代表幹事は「企業が自主的に取り組むとしても、明確な法的根拠がある削減目標が必要だ」と説明した。(記事ここまで)



経済団体から、政府が検討する大口需要家への法律による使用最大電力の制限について支持が表明された。

経済同友会の復興に向けた声明の発表はこれが2回目。


自動車メーカーが節電で輪番操業を検討中(月:トヨタ 火:日産 :水:ホンダ 木:マツダ 金:スズキ)など、自主的な動きが始まっている。


輪番操業について、公正取引委員会の山本和史事務総長は、「参加や順守を強制せず、差別的でなければ、法律上、問題にはならない」との認識を同日の記者会見で示している。


当局が「摘発はしない」とコメントしたとしても、輪番操業は形式的には”カルテル”である

輪番操業を、オール民間リスクではなく、法的根拠が示された上で実施しなければ、関係する企業はなかなか計画を順守しにくい


(日本の独禁法が参考としているアメリカのシャーマン法では、価格協定、数量制限、シェア協定や市場分割協定などは、「行為自体が違法(per se illegal)」とされています。)


法律による使用最大電力の制限は、法令や行政指導に基づく輪番操業(操業制限)それ自体ではないが、今夏の節電対策に取り組む業界の後押しとなり、評価できるものです

日経 4月5日 7面


国土交通省が消費者庁に対して、販売業者による住宅建材の買い占めなどを禁止する法律の適用を検討するよう要請していることがわかった。(記事ここまで)




「生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律」は、「国民生活安定緊急措置法」とともに、オイルショックのさなか、1973年制定。生活関連物資等の価格安定などが目的。特定物資の販売業者の違反行為に対し、是正の指示・命令を発動する。(もっと遡る1946年、「物価統制令」が制定・即日施行されている。こちらは、戦後の混乱期の物品の価格、運賃、賃料その他あらゆる価格統制が目的。)




牛乳の紙パック、納豆のフィルム、合板、半導体、、、。資材・部品供給停止が、産業に広範な影響を及ぼしている。いまは、流通への規制の効果より、供給の早期復旧策のほうが直接の効果がありそうです


(とくに化学プラント、半導体工場は、停電回避による操業度アップの効果が大きいでしょう)




中越のとき、ピストンリング、という小さな部品が供給停止したため、多くの自動車メーカーが操業を停止。


この震災では、もっと大きな、失った機会を各産業が挽回しないとならない。合板など住宅建材の不足のため、仮設住宅整備にも支障をきたしている、という。




解決には、商取引の規制にとどまらず、緊急輸入、規制緩和など総合的政策が必要ではないでしょうか

日経 4月4日 1面

輪番操業で複数の企業間で操業日をずらす調整をすると、独禁法上のカルテルに当たる可能性がある。公正取引委員会はカルテル事件の担当部署に、節電目的の輪番操業をカルテルとして摘発しないよう徹底する。(記事ここまで)


カルテルは、競争事業者間の休戦協定を意味する。価格カルテルや数量カルテルが典型例。

(数量の制限には、生産量のコントロールにつながる設備の一時停止、稼働日数・稼働率の制限、生産計画の調整等も該当するため、輪番操業は形式的には”カルテル”に該当する。)


独禁法上のカルテルは不当な取引制限(法3条後段、2条6項)の1つ。構成要件は、1)競争に対する『実質的』制限や、2)公共の利益に反すること、等。


今夏、電力不足による停電を回避するという業界の取り組みに高い公益性が認められるため、2)の違法性阻却事由にあたるのでしょう



1)に関して、「(『実質的』という要件について)その意味内容は通常の判断能力を有する一般人において理解が可能であり」「判断するにあたっては、制限を受ける事業者の範囲、販売数量、価格等の制限の方法、内容等の具体的事実に基づいて競争の制限が実質的であるかどうかを判断する」と判示している。 (東京高判昭55 9 26 石油連盟生産調整事件)

実質的基準の場合、行為により規制も異なってくるため、省庁が公表するガイドラインを注視する必要がある。


2)について、『公共の利益に反して』という要件は、緊急避難のようなきわめて例外的な場合にのみ違法性が阻却される、としている。 (最判昭59 2 24 石油価格カルテル事件)



上述の2件の裁判で、石油連盟の生産調整事件について、東京高裁は生産調整行為は不当な取引制限(カルテル)に該当するが、被告人に違法性の意識がなかったとして無罪とし、元売り12社による価格カルテル事件について、最高裁は有罪判決を下した。