毎日暑いので
毎日家の中で過ごしている。



不健康だなあと自分でも思う。



家から一歩も出ないのは
娘(3歳)もあまりに不憫だ。



そんなわけで
日がようやく傾いてきた頃に
近所のスーパーに
買い物へ出かけるのが
ルーティンになりつつある。







片道20分の一本道を
娘と手を繋ぎながら歩く。



整形外科の外階段を登って
スロープから降りるところは
どうしてもひとりで歩きたいらしく
手を離すのもすっかりお決まり。



そのあとは、
一昨年にできたアパートの垣根から
落ちてくる木の実を数粒拾って
それをふたりで分けっこして
握り締めながら、また歩く。




大人の足なら10分もかからない
なんの面白みもない道のりも
娘と一緒だとまるでハイキング。




花を摘んだり、虫を見つけたり
とにかくやることが盛り沢山なので
子どもはすごいなあと感心してしまう。









買い物が終わって帰る頃には
日もとっぷり暮れている。



「ママだっこして〜」を
なんとかかわしながら
娘の歩幅に合わせて
ゆっくりゆっくり歩く。



空には金星がキラキラ輝いていて
それを娘に教えてあげるのだけど
いつも星には興味のない娘。



街灯や車のライトがつくる
自分たちの影に夢中なのだ。



さっきまでくずっていたと思ったら
今はもう影が後ろに下がったり
前に伸びたりするのを面白がっている。








ふいに、娘が影を見ながら
「ママと娘ちゃんふたりだね」と言った。



私は生まれたときはひとりで
夫と出会ってふたりになって
娘が生まれてさんにんになった。



夫と出会う前も
ひとりで充分楽しかったのに、
夫と出会ってからは
ふたりでそりゃまあ楽しかった。



そしてなんと娘が生まれたら、
またまた楽しかったのだ(!)



一回も不足を感じたことがないのに
いざ増えてみると楽しくて不思議。



いつかはさんにんがふたりになって
ふたりがひとりになる。



ちょっと信じられないけど。









道路の亀裂を見つけた娘が
「穴がある!ママ!とぼう!」と
提案してきた。



娘がつくるあそびは
だいたいいつも面倒くさい。



ただ飛ぶのでは許されず、
ケンケンの要領で片足だけで
飛ばなければならないそうだ。



飛ぶ瞬間には「ほっ!」と言う
声も出さないといけないらしい。



車の通りの多い大通りは
定期的に舗装されていたが、
安全を優先して選んだこちらの道は
舗装されてないために
あちらこちらに亀裂が入っていた。



汗をダラダラかきながら
「ほっ!ほっ!ほっ!」と
やっているうちに
先ほどまでの物悲しさは
すっかりどこかに飛んでいってしまった。