一日に何度かLINEがなる。



友だちからのラインは稀なので
大抵は家族からか仕事関係。



夏になると父からのラインが
ぐっと増える。



「今朝、玄関先にショウリョウバッタ
がおられました❗️
もう十分育ってます❗️❗️」

「今朝のナナフシ様かなりデカい❗️」



見つけた虫やら空の写真
仕事で行った先の写真など
結構どうでもいい内容のものが
丁寧に写真付きで送られてくる。



父はTwitterをやったらいいと思う。








そんな感じで
ぬめーっとした日々なのだけど
たまに心ときめくラインが
突然に送られてくる。



大抵は母から。



この夏(まだ終わってないけど)
いちばんときめいたラインは
「うなぎ食べに行かない?」



速攻で返信して、身支度を整え
娘(3歳)の手を引っ張って
家を飛び出した。



娘が「どこにいくの?」と聞くので
「いいところだよ〜!」とだけ伝えた。



娘は「こうえんだといいな!」と
3歳児の期待を膨らまし始めたので
「公園ではないよ」とも伝えた。








途中、母と合流。



娘はばあばが大好きなので
さぞ喜ぶと思っていたら
やっぱり喜んでいた。よしよし。



事前になにも伝えてなかったから
娘はばあばに会えたのは偶然と思っており
「ばあばもいっしょにいいところいく?」
と誘っていていた。








うなぎ屋さんに到着。



マスクをしていても
香ばしいにおいが伝わってきて
それだけで食欲をそそる。



さっそく席に着いて
うな重をふたつ注文した。



ノンアルコールビールも。



娘はうなぎは好きではないらしく
いいところがうなぎ屋さんとわかり
ぷりぷりと怒っていたので
それをなだめるために
帰りにアイスを買う約束をした。



帰りにアイスを買えば
静かにしてくれるなら安いものだ。








15分くらい待って
うな重が運ばれてきた。



ノンアルコールビールは
すでに飲み干しかけていた。



うな重の蓋を開ける瞬間が好きだ。




たっぷりの湯気の中に
充満するうなぎの香りは幸せのひとつ。



娘にもこの幸せを感じてほしくて
「顔を近づけてごらん」といって
娘のいる側からそっと蓋を開けてあげた。



見ていないが、たぶん母も
蓋を開けてにおいをかいでいたと思う。



「う〜ん、いいにおい!」と
3人で感動したあとは
マスクを外して黙々と食べた。



はしでそっと触れるだけで
柔らかくほぐれていく。



うなぎも美味しいし、
タレの絡まったごはんもまた絶品。



たまにお互いに
目を合わして、見開く。



「美味しいね」という目と目の会話。




味わうのに忙しいし
今はコロナなのでこれで充分。






「うなぎはすきじゃない」と
言い放った娘も
隣でばくばくと食べている。



娘はあまり食べないだろうから
私のを少しあげればいいやと
たかをくくっていたが
気付けば半分食べている。



子どもがごはんを美味しく
沢山食べてくれることは
母親にとっての幸せのひとつ。



うなぎは半分に減ったけど
心はホクホクしていた。



半分になったうなぎを見て
母が自分の分を分けてくれたので
有り難く頂く。



娘が私の大切な娘であるように
母にとって私は大切な娘なのだ。



ちなみに今日はいなかったが
もしここにおばあちゃんがいれば
きっとおばあちゃんは母に
うなぎを分けていたと思う。








美味しかった。



ごちそうさまでしたをして
お店を出る頃には
お腹も心も満たされていた。



娘は先程の約束をしっかりと覚えており
ソフトクリームまでペロリと完食した。




いい一日だった。