左京区、地下鉄東山駅から、いつも美術館や岡崎界隈へ行く時に好んで通る白川沿いの小径。涼やかな清流と季節の花、この時は紫陽花も咲き、人一人通れる程度の小さな橋も架かる、癒されるロケーションの静かな場所。

 

そんな場所に、以前からずっと気になっていたビストロ&ワイン「苑(én)」があります。2021年にオープンした比較的新しいフレンチレストラン。この日は美術鑑賞の途中にランチを食べようと、予め電話で予約してやってきました。確実に入店したい方は予約することをオススメします。

 

店内な古い京町家をリノベーションし、どこか和む雰囲気の落ち着いた空間。奥には中庭があり植栽も見え、そこを挟んでトイレがあります。建物は2階建で1階はカウンター席、2階はテーブル席。使い込まれたような雰囲気のテーブルや椅子、インテリアが目にも優しく、とても心地よい印象です。

 

ランチは3種類のA~Cコースが用意され、それぞれ3200円、3850円、4850円(税込)の設定。Aコースでアミューズ、前菜、メイン、デザートの流れになっていて、さらにB、Cでは小さなスープと野菜中心の前菜盛り合わせ、本日の鮮魚などがプラスされるコース。

 

メイン料理は黒板に書かれた5種類の料理からチョイスします。Aコースの前菜はその下の4種類の中から選びます。今回はBコースを注文し、メイン料理は牛ほほ肉の赤ワイン煮込みをチョイスしました。

 

しばらくしてお料理がスタート。
まずはアミューズ。少し甘くサクサクとした焼菓子ビスキュイ状のものを台座にしてクリーム、さらに生ハムで包まれています。手でつまんで食べてください、とのこと。生ハムの塩味と焼菓子の甘さがちょうどいい塩梅で、しょっぱなからワインが飲みたくなるような(笑)

 

続いて小さなスープはビーツの冷製。鮮やかなビーツの色目が印象的。とても舌触り滑らかで濃厚。ブイヨン、クリームのコクや深み、そして爽やかなビーツの味わいが重層する一品。

 

お野菜中心の前菜盛り合わせ。

デミタスカップを中心に時計回りに、カボチャの冷製スープ、グリーンリーフ、スモークサーモン、セロリのマリネ、パテドカンパーニュ、タラのクロスティーニ、ローストビーフ、スモークポーク、レンズ豆とポジャガイモマッシュ、紫キャベツマリネ、キャロットラペ。野菜は近所の農家さんから直接仕入れ、豚肉は京都ポーク使用とのこと。

 

野菜はもちろんですが、肉系や魚系もしっかりこの一皿に盛り込まれ、さらに一つ一つの料理が丁寧に仕上げられ、これをアテにワインを飲むにも十分な構成。

 

メイン料理の牛ほほ肉の赤ワイン煮込み。バゲットも添えられています。

 

シンプルな一皿で、ゴロンと塊状の牛ほほ肉、その下にサツマイモとズッキーニ、さらに今が旬のアスパラソバージュが添えらえています。

 

お肉はほろりと崩れるほど柔らかく煮込まれ、柔らかい繊維とジューシーさ。ワイン感もほどよく効いて、あぁフレンチ食べてるな、と思える一皿。つくしのような見た目のアスパラソバージュはアスパラガスに比べクセはなく繊維も柔らかく、旬の短い希少野菜だそうで、いいタイミングに出会えました。

 

 

軽く焼かれたバゲットもソースとよく合い美味。
全体的に程よい軽やかさが身体にも心地よい食後感の料理で、気軽にフレンチ食べたな、という満足度。

 

そして最後は小さなデザートにコーヒーのブランマンジェ。ソースにかかっているコーヒーがエスプレッソ並みのほろ苦さで大人の味わいのデザートでした。コースはこれで終了。コーヒー、紅茶、エスプレッソは別料金で注文できます。デザートは別料金というお店はたまにありますが、その逆パターンはちょっと珍しいですね(笑)

この後、店内は女性客で満席になり人気のほどがうかがえました。そして、ふらりと一人で立ち寄る女性客が私の他にもいて、気軽に入店できる雰囲気も◎。たまにフレンチが食べたくなったり、美術館へ行く時に立ち寄りたくなるロケーションも抜群のお店。オススメです!
 
 
名称:ビストロ&ワイン 苑(én)
場所:京都市左京区岡崎円勝寺町57−8
電話:075‐748‐1811
営業時間:11:00~LO14:30  17:00~LO23:00
定休日:月曜日