てんげる治療院 山﨑ゆか裡です。

 

立秋が過ぎ、台風が過ぎた八ヶ岳は

まだ日中の気温は高いものの

日が沈むと虫がなき、

なんだかすっかり秋の雰囲気です。

 

 

さて、11日から13日の三連休、

ここ八ヶ岳・キブツハウスに神奈川歯科大学大学院統合医療学講座の川嶋朗先生と蒲原聖可先生をお招きして

 

「川嶋・蒲原先生と語るこれからの医療Part2」

というイベントを開催しました。

 

 
 

 

ここでの議題のメインは

「エンディング・ヴィレッジ構想」について。

 

エンディング・ヴィレッジ構想は昨年の夏に

キブツ八ヶ岳に川嶋先生から持ち込まれたお話です。

今年はそれをより具体的にイメージするための

お話会と意見交換会になりました。

 

 

エンディング・ヴィレッジとは。

 

川嶋先生が東北のある村を訪ねた時のこと。

「姨捨山(おばすてやま)」伝説のあるその村の跡地にあった看板の説明は

決してお婆さんを捨てたところではなかったのだそう。

 

そこは、

子育てや社会的な役割を終えた女性が

子供の邪魔にならないようにと自らが里山に集い、

田畑で食べ物を作ったり

衣類を作ったりしながら

みんなで共同生活をしていた場所だったとか。

 

決して「楢山節考」ではなかったのだそうです。

(あの息子が母親を背負って山に捨てに行く、という映画)

 

時には里に降りて子供達の手伝いをしたりもし、

共同生活を営む村では

お互いを看取りあって最後を過ごしていたと。

 

 

川嶋先生が強調することの一つに、

莫大に膨れ上がる医療費の問題があります。

 

高齢者の医療費負担が1割で、

そうでない日本人の医療費は3割で、

その他の9割、7割は他人の援助で支払われているという事実を考えたことがありますか?

 

現在の医療費は国民総生産を軽く超えている。

それ以上にかかってくる医療費は、

将来の子供達が負う負債になっていることを

考えたことがありますか?

 

子供たちに借金を肩代わりさせてまで

命を生きながらえることをどう思いますか?

 

エンディング・ヴィレッジの話は

これらへの問いかけでもあります。

 

姨捨山は、

子供たちの負担にならないように、

生きている間の共同生活をしながら

お互いがお互いを看取り合う村だった。

 

日本人はこんな温かい心を持つ民族だ、と

川嶋先生は感動したのだそうです。

 

子供たちに借金を肩代わりさせてまで

「病気を治す」ことよりも、

やがてくる死を見据えながら

お互いを助けながら今を生きるという姿勢を

考えてみませんか?という問いかけに

あなたはどうお答えになるでしょうか。

 

 

八ヶ岳南麓の北杜市に育ちつつある

キブツ八ヶ岳というコミュニティで

この「姨捨山」のモデルケースができないだろうか。

 

それが昨年の夏に

川嶋先生から持ちかけられたエンディング・ヴィレッジ構想でした。

 

川嶋先生ご自身も

エンディング・ヴィレッジの考え方から

現在の神奈川歯科大学大学院統合医療学講座を実現するに踏み切った経緯があるそうです。

 

「治す」医療から「癒す」医療へ。

 

子育て真っ最中の若い人たちは

病気を治す必要性は色濃い意味があるかもしれません。

 

ある程度年齢を経て、

身体も病を得がちな劣化が始まっていて、

病と共存する状況があったとしたら。

 

莫大な費用をかけて病を治すことを目指すより、

心身を癒しながら

今生きているこの時間を活かすことの方が

QOL(人生の質)を上げるのではないだろうか。

 

命はこの世に生まれたならば

必ずいつか死を迎えます。

 

年齢に関わらず、

死を見据えて人生を生き切ること。

 

メメント・モリ(死を想え)という言葉もありますが、

生きている時間を充実させるためにも

死を見据えることが大切に思います。

 

現代社会では兎角、死を忌み嫌い、

あってはならないものの如く扱う結果が

医療費の増大に繋がっていると川嶋先生は言います。

 

どこでも死は遠ざけられ、

学校でももちろん教えられることはありません。

 

みんないつか死を迎える命、

ここに集った仲間内でお互いを大事にしあって

楽しく生きていきましょう、というコミュニティ。

 

お互いが癒し合い、

お互いが看取り合うコミュニティ。

それがエンディング・ヴィレッジです。

 

滝沢泰平さんが旗を振るキブツ八ヶ岳では

エンディング・ヴィレッジプロジェクトへ向けて

具体的に話し合う機会をたびたび設けています。

 

この三連休の講演会も

そこへ向けたステップアップになりました。

 

本当は無料公開して皆さんに見ていただきたい講演ですが、

先生方に謝礼をお支払いしたいという意図で

アーカイブも有料とさせていただいています。

 

ご興味ある方はぜひ、

川嶋朗先生のエンディング・ヴィレッジの話を

聞いてみてください。

 

11日【生まれて旅立つまでの人生航路とこれからの医療】

・川嶋朗先生「人生100年時代に求められる医療」(1時間)

・蒲原聖可先生「健康に過ごすための年代別栄養素」(1時間20分)

 

12日【エンディング・ヴィレッジに向かうために】

・川嶋・蒲原先生と滝沢泰平さんの三者対談

・会場からの質疑応答、ご意見

(2時間30分)

 

各日2500円(両日5000円)

 

 

アーカイブのお申し込みはこちらまで↓

 


 

 動画の感想などもいただけたらと思います。

 

 

助け合いのコミュニティが日本に広まりますように。

 

いえ、そもそも日本は助け合いのコミュニティだらけの国です。

その日本の良いところがより強調される社会となりますように。

 

キブツ八ヶ岳では

統合医療での治療と癒しのシステムをこれから構築していくことになっています。

 

その経過はまた順次、お知らせしますね。

 

川嶋・蒲原先生と滝沢泰平さん、統合医療学講座学生5人で記念撮影
 
 
最後の懇親会までご参加の皆さま、ありがとうございました!貴重な意見交換と感想をいただきました。