世の中に
たえて桜のなかりせば
ということばから始まる和歌があるのをご存じでしょうか、
伊勢物語の主人公、在原業平の詠んだ有名な歌じゃね。
原文は
世の中に
たえて桜のなかりせば
春の心は
のどけからまし
訳は
この世の中に
桜というものが存在しなければ
人々はもっと、穏やかな気持ちで
春という季節を過ごせたろうに
というもの。
そう、
この世に桜というものが、なければ
わたしたちは、もっと平穏に生きていたと思うわ。
花園の駅から近いこの、大きいお寺の中にある、退蔵院という院に、
この、しだれ桜はおります。
去年の初冬、退蔵院へ行ったときに、
見上げた空一面に広がった、葉の落ち切った
しだれ桜に圧倒されて
いったいこのひとは、春になったらどんな表情をするのやろうと
ものすごくものすごく、
あんまり天候にめぐまれなかった今年、
朝は寒くて寒くて、おまけにしぐれていて、
でも、やから、早い時間の退蔵院はあんまりひとけもなく
こんな満開の桜に会えた。
退蔵院は、ソメイヨシノはほとんどなくて、枝垂ればかり。
しかも、1本だけやなくて、大きい大きいしだれが3本。
勢いよくのびた枝に
これでもかというぐらいに咲き誇った桜。
まるで、枝垂れの枝が光のシャワーを描いているようで
曇りなのに明るく降り注いできた気持ちになったよ。
て思った瞬間は、わたしは一度もないなあ。
出会わなければよかったのに。という出会いはあるかもしれんし、
この人を好きにならなければよかった、という思いもあるのかもしれん。
でも、桜がなければいいのに、なんてことは
来年も、笑顔で会いましょう。
それまでお元気で。











