そんなこんなで学校内で彼と会っても、私が見つめても、彼は冷たい視線をしてムッとしたかたくなな表情になり、目をそらすようになった
完全な私の片思いになった
でも本当に素敵な人だったのだ
ただ後から考えると見るからに性格悪そうだったし、後に仲良くなった男子の先輩達は皆、彼を悪くは言ってもよく言う人はひとりもいなかった
私はその翌年転校が決まった
転校と行っても一駅先の隣街だけど
遠からず近からず、でも環境の全く違う地域だった
転校しても『いつかまた時間ができたら、彼を一目でいいから見に行こう!』と常に考えていた
そして約4年近く経過し6年生になったある日、友達に事情をきちんと話し誘って、彼が進学した中学に見に行こうと言うことになった
その中学を門から校庭を見ていると何人かの生徒がスケッチをしていた
図工の授業なのか?
そして校舎に目をやると3階のとある教室は先生がいないのか、やたらに騒がしそうで、何人かの男子生徒は外を見ていた
昔の木造校舎だからベランダ等ない
むき出しの窓辺に男子生徒がたむろしていた
私は友達を門の外に待たせ、ひとりで校庭に入り、そこでスケッチをしている女子生徒に声をかけた
昔だからできた不法侵入(^_^;)
ところが驚いた「あの~」と私が言ったとたんに彼女はぶっきらぼうに私に言った
「あなた、○○さんでしょ?」
私の名字だ
「……」
そりゃ~驚いた!
何で初対面の彼女は私を知ってるんだ!?
そして彼女は続けた
「H君ならいるわよ、ほら」
とその窓から数人外を見ていた男子生徒を指指した
見上げた窓は、私の位置から陽が眩しくて、目を細めて見るのが精一杯だった
その男子生徒のひとりと目があった!
私は今でも彼のその驚いた表情は忘れられない
アランドロンのそれだからだ(笑)
その瞬間彼は叫んだ
私の名前を叫んだのだ
「えみー!」
私はびっくりした
びっくりしてすぐ下を向き、その場を後にして門の外の友達のところまで走り、驚いたので腰がぬけ、その場にしゃがみこんだ
「えみー!待てよ!」
彼は叫ぶのを止めなかった
「えみー!えみー!」
いつしかその教室の窓から生徒がみんな顔を出すは、他の教室からも次々に生徒が顔を出した
「えみー!」という声は、ふざけた他の生徒も叫び出し
他の教室の先生が窓から彼を注意し始めたりした
それでも彼は、校庭でスケッチしていた女の子に何やら指示していて、私をこの下へ呼ぶように言ったいるようだったが、女の子は首を横に振り続け拒否していた
『嫌だ!』という口元は遠目でもはっきりわかった
しかししばらくして、彼女は、しぶしぶ私のところへ来て言った
「H君がね、帰らないで、授業終わるまでとにかく待ってろってさ」と
彼女の顔も今でも私は忘れない
一緒に行った友達もその光景に言葉なく、ふたり共黙っていた
その後、彼は部活(バスケット部)の格好をして出てきたが、私が門の外にいるのを確認するとこれまた友達が私達のところに来た
門の周りは、その学校の生徒が私を見ようと人だかりができていた
相変わらず彼は人を使う
「バスケット部の練習は、校庭の反対側だから、そっちに来て欲しいって」
いちをその場所には行ったが、私はとにかくずっと心臓が止まりそうだったし、彼がまぶしすぎて目を合わす事ができず、彼と話したのは私の友達だった
本当に彼はまぶしかった
練習の合間に彼は、私達のところへ来た
友達の影に隠れていたけれど彼の声だけはしっかり聞いた
「どうして話してくれないの?
恥ずかしいの?
でも会いに来てくれたんだよね?」
私は小学生だった
いやいや、まともにこんな人を見る事なんかできません
でも、あの時、彼と話していたら私と彼の距離は縮まっただろうか
私は結局、小学生だったし暗くなる前に彼に黙ってその場を去り家に帰った
その私の行動は結果プライドの高い彼を怒らせる事になった
⬇️④に続きます