以前、革靴Lv.1だった頃の話を書きました。
靴磨きの道具を買ってみたり、革靴をもう少し買い揃えたり、などしているうちにやがてその水準は脱したかなーと思っているわけですが、Lv.2になった瞬間ってどこだったのかなーと振り返ってみると、自分の場合、初めての黒ストチを買ったときだったのかなーと思っています。
ビジネスに冠婚葬祭に大活躍する、正道中の正道。黒の、内羽根の、ストレートチップの靴。
革靴にも場にふさわしいデザインというものがある、ということをそれまで考えたこともなかった私でしたが、どうやらそういうものを一足は持っていないとダメらしいと知った私は、いそいそとリーガルショップに繰り出したのでした。
今思えば、比較的小さなその店舗は、リーガルの商品の中でもごく一部のものしか置いてありませんでした。上位ブランドであるシェットランドフォックスの靴も無かったし、革靴好きの諸兄から高い評価を得ているモデル「01DRCD」もありません。ただ、当時の私にはそんなことわかりませんから、まあこんなものかと思っていました。
そして、その店に置いてあった商品の中で、黒ストチとなるとまあこれか、と選んだのが315RBDというモデルでした。
ソールはゴムで、製法はグッドイヤーウェルテッド。アッパーの革は、顔料でびっしり覆われている感じ。
最近見聞きする評判によれば、このあたりの値段域のリーガル製の靴は、あと1万円出すことでクオリティがグッと上がるそうですが、当時の私としてはあの革の感じも嫌いではなかったですし、割とロングノーズなシルエットも好ましく思っていました。
勢い込んで、リーガル純正のシューツリーまで買ってしまいました。たしか1万円くらいするやつ…。今思えば、何というか…もったいなかったかなーと…。当時の私としては、気合を入れて購入した黒ストチの形を正しく保つため、メーカー純正のシューキーパーなら間違いはないはず、という思いがあり…。
このシューツリーは今も手元にあります。使っています。
これらを買った頃から、どの靴がどういう場にふさわしいかなどを多少は気にするようになりましたし、たまーに靴磨きをするようにもなりました。これにて、革靴Lv.2というところだったのかなと。
さて、それでこの靴、315RBDが何年使えたか、なんですけども。
「3年」でした。
その間、あちこちぶつけてアッパーに傷ができてしまっていたり、爪先のウェルトとソールとがパックリ離れてしまったりしていたわけですが、何より自分にとって致命的だったのはヴァンプ部分にできたクラックでした。
そう、シワの底にパックリと溝ができたのです!ちゃんとケアはしていたつもりだったのにショックでした。今にして思えば、あれは革の表面の顔料の層が割れていたのかも知れません。やすりで削ってみたり、パテっぽいもので埋めてみたり、と色々試してみましたが、最終的に諦めて処分しました。そういうわけで、今もシューツリーだけは残っていますが、もう315RBDは手元にありません。
その後、通勤用革靴の数も増え、選ぶ靴もあまり顔料びっしりのものではなくなり(例外もありますが)、シューケアも気を遣うようになり、そして何よりコロナのせいで出勤機会が減って革靴の使用頻度が落ちました。そう考えると、かつてそれなりの登板頻度だった315RBDの寿命が3年だったのに対し、今所有している靴は、単純計算だとその10倍くらいは長持ちしちゃうことになりそうです。
だとすると、ですよ。
もしかして、自分の生涯必要なだけの革靴、もう買っちゃったのでは?
・・・と、最近思ってしまいます。
お金がかからないのは結構なことですが、新しい靴を買う楽しみが無いというのも、ちょっとな・・・。