さて今回は、私の大好物であるガルジョンマーの、「ライン」(?)についてです。

 

 

 リーガル製のジョンストン&マーフィー、通称ガルジョンマーには、アリストクラフトとか、クラウンアリストクラフトとかいった、複数のラインが存在します。

 「ライン」と呼ぶのが適切なのかどうかよくわかりませんが、ジョンストン&マーフィーの中でどの程度の位置づけのものなのかを表す称号みたいなものですね、たぶん。

 

 ただ、あいにく私はこれまでガルジョンマーのカタログのような資料を見たことがなく、販売されていた当時に各ラインがそれぞれどう位置づけられていたかがよくわかっていません。

 同時期に販売されていたライン同士でないと、どちらが上級ラインか(値段が高いか)は公平に比べられないでしょうけども、分かる範囲の情報をもとに想像を巡らせています。

 

 私がガルジョンマーの中で一番多く目にする気がするラインは、アリストクラフトとクラウンアリストクラフトなわけですが、これらは本家米国のJohnston & Murphyのラインを踏襲したものです。で、本国のJohnston & Murphyにはどういうラインがあってそれぞれどういう位置づけだったのかというと、これに関して大変参考となるのが米国のヴィンテージシューズファンDavid Kreinheder氏が作成したこのページ。

 Johnston & Murphy 1992 Catalog | vcleat

 ここでは、1992年のJohnston & Murphy(米国)のカタログから各モデルの値段を検証した結果として、ライン(lines)の序列はこうだったと指摘されています。

 

 Johnston & Murphy HANDMADES > Crown Aristocraft > Aristocraft > Heritage > Optima

 

 HANDMADESというのは十部仕立て(フルハンドメイド)の逸品らしく、そりゃもう良い品だったようですね。1992年時点でお値段1,000ドル、2016年時点では1,700ドルのようです。私の知る範囲では、ガルジョンマーにはHANDMADESというラインはありません。いくらガルジョンマーが本家米国のジョンマーを凌ぐという評判だといっても、さすがにこのラインは別格でしょう。

 

 Crown AristcraftAristocraftがガルジョンマーに踏襲されているのは上述のとおり。ガルジョンマーのインソックでは、CROWN ARISTOCRAFTとかARISTOCRAFTという具合に、全部大文字で表記されています。クラウンアリストクラフトが、アリストクラフトよりも上のラインだということは、言えそうですね。ちなみにAristocraftというのは、たぶんaristocrat(貴族階級の人、極上の物)+craft(工芸品)の造語ですね。貴族が使うような極上の工芸品ということでしょう。

 

 Heritageというラインも、数は少ないようですが、ガルジョンマーに踏襲されています。LE9xシリーズがHERITAGEだったようです。このHERITAGEはARISTOCRAFTの下と考えてよいでしょうね。

 

 あとは、こういう名前が特に何もつけられていないただのJohnston & Murphyというラインが、日米ともにありますね。これはHERITAGEより下と考えてよいでしょう。

 

 米国には存在するけど、ガルジョンマーには存在しない、というラインもあります。例えばOptimaというラインは、たぶんガルジョンマーにはありません。

 

 逆に、ガルジョンマーには、あるけど、米国の本家Johnston & Murphyには無いんじゃないかというラインもあったりします。例えばこちら。

 SIGNATURE(シグニチャー)というラインです。

 インソックのロゴをアップにしてみるとこんな感じ。

 うーん、ちょっとピンぼけでしたね、すみません。

 筆記体の「Johnston & Murphy」の下に「SIGNATURE」と書かれています。

 

 以前調べたところによると、リーガルがジョンマーの製造・販売を止めたのは2008年頃だったわけですが、一説によるとSIGNATUREはその直前である2007年の後半から短期間のみ展開されたラインだったようです。

 

 

 こちらがそのSIGNATUREラインに属するモデルの1つで、型番はLS61。アッパーは水染めコードバンになります。そう、LS46とは違って、染料染めなのであります。ですので、雨の日には履かないようにしています。ちなみに紐はオリジナルではなくて、紗乃織靴紐に付け替えています。

 

 もしガルジョンマーの各ラインが、CROWN ARISTOCRAFT > ARISTOCRAFT > HERITAGE、という序列を体現したものだとしたら、SIGNATUREはどういうコンセプトのラインだったのでしょうか。

 私は、この序列の中のどこかに位置するのではなく、何かしら特別な存在だったように思っています。

 

 LS61のように水染めコードバンを使ったモデルが属していることを考えると、SIGNATUREが序列の中のどこかに位置するのかどうかはともかく、高級なラインであることは間違いないでしょう。それに加えて、ユニークな造りを取り入れた挑戦的なモデルを揃えたラインという位置づけでもあったのではないか、と、私は思っています。

 例えばLS46は、靴底が、黒いクレープソールにハーフラバーを装着してあるという独特な仕様です。また、SIGNATUREには牛革のモデルもあるようですが、それらもアッパーのデザインが独特だったり、どこかいわゆる正統派とは異なる仕様が組み込まれているような気がします(全モデルを確認できているわけではないですけど)。

 

 きっとまだ私が見たことのないSIGNATREが、色々とあると思うんですよね。

 どんなモデルがあったんだろうなー。

 

 迷路はまだまだ続きそうです。