畑のおうち -2ページ目

畑のおうち

東京・町田で家庭菜園
イラストでつづる暮らし・地域・映画
日曜日はハンドメイドの日

5月15日の夕方。


親鳥はしきりとあちこちを見回しています。

ヒナたちの体力で過ごせる今夜のねぐらを見つけなければならないのでしょう。


ちびりちびりと移動して、学生マンションを過ぎて、戸建て2件分を進みました。

空き地の奧に、若木ですが梅の木が生えている所まで来ました。


すると、親はすーっと木に飛んでみせました。

すぐいっちゃんが木の根本あたりに飛び移りました。

2羽の親は何度も何度も木と柵を行き来してみせましたが、にいちゃんは動きません。

親は激しく鳴きながら行き来を繰り返します。

何十分ねばったでしょうか。

聞いたことがないほど激しく鳴いています。

間もなく日が暮れてしまうのです。

親は必死です。

と、飛べないにいちゃんはポンッと跳び降りてふきの下に走り、やっと静かになりました。


柵の根本にさんちゃんが立っていました。

学生マンションの砂利から段差を利用してやっと柵の根本まで上がってついてきたのです。

親はさんちゃんには無理をさせずに、そこにいさせました。

そうして、日没、親は去っていきました。
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つまり、こうです。

巣立ち近いヒナをつれて巣を捨て、ヒナが歩きやすい平坦なコンクリートをゆっくり進み(カラスなど肉食動物の目は、速く動く物をよくとらえますから)、ふきが密生しその上に梅の木が生えた所まで移動して、そこを巣の代わりとする。

ヒナが飛べないうちはふきの下、いくらか飛べるようになったら枝に移れます。

しかも、ここなら電線に留まったカラスの死角になります。

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ここまでわかった時、ある種の感動を覚えました。


きみしぐれは、巣箱をもう一つ用意してやろうかなどとも思っていたのですが、それでは巣立ちの時に丸見えになります。


親鳥の考えはもっと深く、緻密なものでした。

鳥瞰図とはよく言ったものです。

空から見て回って、どこに茂みがあり、エサがあり、敵がいて、巣立った後どこをたどって飛ぶ練習ができてという地形をすっかりのみ込んでいるのでしょう。

その上、一晩めに雨が降らないことも野生の鳥は知っていたのでしょう。

その思考の複雑さとヒナへの思いやりの深さは、人間の浅知恵とは比べものになりません。

この親にとっては、「巣を捨てること=負け」では全くなかったのです。

この親なら、平地でも子育てして巣立たせるんじゃないだろうか!

人間以外にこんなに信頼できる生き物を初めて知りました。


これが、記録を残そうと思ったきっかけでした。

(つづく)



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5月15日、実際に巣を捨てて移動し始めて2日目。


すぐ脇に草ぼうぼうの空き地があって、そこに入ればカラスから見つかりにくいようにも思いますが、ヒナたちは駐車場のコンクリートにいました。

柵の根本を伝うように我が家から遠ざかっていきます。

ついにお隣の駐車場の端に来てしまい、飛べる子は飛んで、飛べない子は飛び跳ねて、さらにお隣の学生マンションの柵へ移りました。

こう書きますが、ヒナたちの移動はとてもとてもチビチビずつです。


1羽、だいぶ遅れ始めた子がいます。

くちばしが損傷している上に頭に傷がある子です。

日陰に入るのもおっくうなようで、駐車場とマンションの間の数センチの隙間を跳び越えることができません。

昼過ぎまで、隙間の手前で立ちつくしていました。


様子を見にきみしぐれが近づくと、人間を警戒して渾身の力を振り絞って跳びました。

マンションの砂利の上に落ちると、親が急いでやってきて、エサを与えました。

もう1羽の親もやってきて、先の親にエサを渡して、受け取った親が弱った子にあげました。

他の子よりも多く弱った子にあげていました。
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他の2羽は少し先に待っています。

親は、飛べる子にもじっと待たせて、好きな所には行かせません。

ちょろちょろ動くと敵に見つかるし、できるだけ均一に育てて巣立たせるのでしょう。


飛べる子を「いっちゃん」と名付けました。

柵の中段にいます。


飛べないけど割に元気な子を「にいちゃん」。

いっちゃんのすぐ下のコンクリートにいます。


遅れてがんばっている子を「さんちゃん」。

必死に、ちびちびと、追いつこうと歩いています。


この日も夏日で、しかも風の強い日でした。

本当なら巣箱にいるはずのヒナたちが、強い日にさらされて風に耐えて、歩けない足で移動しています。

何度もカラスが通り、その度に親が号令を出してやり過ごしました。


ずっとこんな放浪を続けるのでしょうか。

なんとも心許ない生活です。

(つづく)



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5月15日の午前中、親はずいぶん長くヒナの所に通っていました。


3羽のヒナのうちよく動く1羽は、柵の中段に留まっています。

ちょっぴりなら飛び上がれるのでしょう。

と、そのヒナがひらひらと、とてもあやしい飛び方で、空き地をはさんだ対岸まで飛びました。

そこまではいいのですが、てっぺんの生け垣まではちょびり、ちょびり、としか飛び上がれません。

ずいぶん苦労しててっぺんまで上がりました。


すると、すかさず親が飛んでいって、こちら側に飛んで見せました。

ヒナは飛びません。

親は、再度、対岸からこちらへ飛んでみせました。

ヒナもまねして飛びました。


親は、1羽だけ少し飛べるからといって別な場所には行かせないようです。
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ですが、戻った後、3羽のヒナたちは、にじにじと駐車場の奥の方へずれて行きます。

飛べる子の移動が早く、ずいぶん奧まで行っています。

飛べない2羽はとぼとぼと歩きながら、かなり休みながら、でもやっぱりなんだか我が家から離れていきました。

それをなんだか寂しい気持ちで見ていました。

(つづく)
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(画像がおかしくなりましたが、直し方がわかんないので、そのままUPします。)




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5月15日の朝が来ました。


ヒナだけで過ごせるのかとても心配しましたが、6時前、ヒナの声がしました。

飛び起きて行ってみると、ちゃんと両親が来ていました。

後から考えると、6時前から活動するのはかなり早い方で、親も心配して早めに来たのでしょう。

しきりにエサを運んでいます。

ちゃんと3羽いました。
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まっすぐ巣にやってくる親もいるのですが、この親たちはとても慎重で、一度近くの枝や柵に留まってそれからヒナの所に来ます。


大きさはもう親子とも同じくらいです。

ちっちゃいヒナにちっちゃい親がせっせとえさをあげています。

ヒナの方が黄色く、背中側は緑っぽく薄い色です。

羽もしっぽもまだ短いし、まだすっくと立っていることができません。


こんなヒナがネコにも見つからず、雨も降らず、1晩越えられるなんてすごい、と思いました。

(つづく)



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5月14日の午後は、巣箱を出た3羽のヒナが1ヶ所に集まり、親鳥も来ていたし、普通なら巣箱の中で行われる子育てを観察ことになりました。


全身全霊で親を慕うヒナたちとかいがいしくヒナを世話する親鳥には、感動するものがありました。

親鳥には、巣を出てしまってあきらめる様子は微塵もありませんでした。


けれども、気がかりなことはもちろんあります。

巣がないのに、夜が来ます。

木々の枝葉に見立てた所に隠れていても、所詮は地面の上です。

ネコが見つければひとたまりもありません。


どうにも心配なので、仮の巣を作ってみました。

アケビのつるで編んだはけごの口を麻紐でからめて、カラスや猫が届かなくしました。

それを段ボール箱に入れました。

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もうヒナたちに触らないことにしているので、ただ近くに置いてみました。


親は一瞥もしませんでした。

親の経験則から、「安全だ」と確信している物以外受け付けないのでしょう。

親が信じているものは、木々の枝葉に紛れることです。

おもしろいと思うのは、ヒナたちがてんで勝手に見に来たりはしないことでした。

親の判断を信じて、すばらしい統制で木陰にいました。


日没近く、親鳥は飛んでいきました。

(親は巣の中では寝ないのです。)

飛べないヒナが3羽、地面に残されました。

(つづく)



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5月14日、用事があって出かけ急いで戻ると、お昼、ヒナは暑さに耐えてちゃんと生きていました。

我が家の庭ではなく、お隣の駐車場の柵の下にいました。

驚いたことに3羽います。

この3羽目は、どこにいたのか全くわかりません。


朝3ヶ所にばらけていたヒナを、親が鳴き声で集めたのでしょう。

暑い時間には無理して動かさず、少しずつ移動させたのでしょう。

場所も親が選んでいるようです。

日陰ができやすく、敵には見えにくい所。

そして、奧の草がさわさわいって、白い柵も細かく留まれて、梢に似ています。
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ここは、午後からは西日をさえぎってくれますから涼しく、ヒナたちも元気に鳴いています。

親鳥は2羽ともやってきて盛んにエサを運んでいます。


上空をカラスが飛ぶと、親は

「ピッ!」

と鋭く鳴き、ヒナは鳴かず動かず、見事に敵をやり過ごしました。


フンはその場にしたままです。

通常、シジュウカラは巣の中にフンをさせず、親鳥が外に捨てます。

清潔にするためとも、敵に知られないためとも言われます。

フンをさせているというのは、ここに長くいるつもりがないということでしょう。

少し寂しい気がしました。


お隣さんに訳を話して、数日だけ水まきをしないようにお願いしました。

初め

「シジュウカラってペットショップで売られてる鳥ですか?」

(それはジュウシマツ)

「カラスって小鳥を食べるんですか?」

と言っていたお隣さんも、協力してくださることになりました。

感謝です。

(つづく)




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5月14日、午前10時頃、それぞれ別々の場所にいたはずの2羽のヒナが割合に近くにいました。

なぜだかはわかりませんでした。


下の方にいるヒナはうこぎのイバラから出る時に引っかけたのか頭に切り傷ができていました。

上くちばしも損傷しています。

2羽とも眉間にケガをしています。


夏日となった日でした。

この弱々しいヒナが、強い日差しを受けて、ほんのちょっぴりできた日陰に立っています。

どこへ行こうとも動きません。


朝、盛んに声を掛けていた親鳥の姿もなくなりました。

もう持つまいと思います。

それでも、人間が手を加えるのはよくないと痛感したので、ただ見守ることにしました。

(つづく)

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※今日の記事はコワい話を含みますので、苦手な方はスルーしてください。



ヒナの声がしなくなってから、巣箱を開けてみました。

壁面を開けるタイプなので、うかつに開けてヒナが落ちてはいけないと思って、開けていなかったのです。


かなり高い位置に出入り口があるのですが、そこまでミズゴケがびっちりと15センチも敷き詰められていました。

だから飛べないヒナでも飛び降りることができたのです。


不思議なのは、3月末から巣作りを始めて5月の半ばまで、ミズゴケが青くみずみずしいことでした。

↓シジュウカラがいなくなって2日後には、ミズゴケはたちまち乾いて半分の高さにまで下がっていました。
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そんなことより何より、5月14日に開けた時は中は血の海で、人間の方が呆然としました。

3羽のヒナが死んでいました。

体はきれいなのに頭部がひどくやられていました。

眉間の急所をねらったのでしょう。

スズメは中をのぞいているだけではなかったのです。


これでは住めないと判断したでしょうし、ヒナたちも嫌がるはずです。

自分が中も確認しないで押し戻したのかと思うと、ずいぶん後悔しました。


スズメたちはこのすごい有様の巣にいそいそとワラなどを運び始めましたが、家主としては、巣箱を下ろすことにしました。

初めとまどっていたスズメたちも、やがて去っていきました。

(つづく)




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5月14日の朝。


またしても、ヒナが落ちているのを見つけました。

前日と同じように梅の木の下です。


ここで初めて、ヒナが間違って落ちたのではなく、親鳥が巣を捨てる決心をしたのだと気づきました。

巣を出ることは圧倒的に不利です。

それを覚悟の上で、スズメとのこれ以上の争いを避け、幼いヒナをつれて巣を出ることにしたのです。


スズメ来襲の翌朝に出ようとしていたのに、きみしぐれが親切なつもりでヒナを巣箱に戻してしまいました。

日中はスズメの猛攻を受けて出られません。

静まった夕方に再度出ようとしたのに、またバカな人間がヒナを巣箱に戻してしまったのです。



↓今朝見たヒナは、みけんの出血は治まっていますが傷ついたままです。

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親がエサを運んでくるとヒナはもそもそと移動してしまっているので、その度に梅の木に留まって地面の方を見ながら鳴いて、場所を確認していました。

すぐには見つからないので、とても手間がかかります。


間もなく、うこぎの根元にもう1羽いるのを見つけました。

親はその2羽を行ったり来たりして、それぞれにエサを運び続けました。


でも、この庭には猫もカラスも来ます。

(つづく)



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5月13日は、追い払う人間がヘトヘトになるほどスズメのしつこい攻撃が続きました。

シジュウカラはこの人間が自分たちを攻撃しないとわかったようで、スズメを追い払ったすきにエサを運び込んでいました。


日暮れ近く、ようやくスズメが引き上げていきました。

これがあと何日続くのでしょう。


と、目の前で何かがひらひらと舞い落ちました。

見るとまたヒナが巣から落ちたのでした。

急いで拾い上げると、鼻のあたりから血が出ています。

なんとも哀れです。

またイヤイヤをしましたが、巣に戻しました。


間もなく、もう1羽落ちているのを見つけました。

こちらも鼻のあたりから激しく出血していて、くちばしまで損傷しています。

もしかしたら、くちばしがうまく形成されないかもしれません。


ちょうどお隣に来ていた庭師の方も驚いて

「自分は野鳥保護の活動もしてるんですが、スズメがこんなに攻撃的だとは知りませんでした。」

と言いました。


シジュウカラのヒナは、両手で覆うと自分から潜り込んでくるくらいまだ幼いのです。

頭だけ隠して隠れたつもりになっています。

ほんわりと温かく、人間より体温が高いので、ずっと持っていると人間に熱を奪われてしまいます。
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また急いで巣箱に戻しましたが、この子も入り口でイヤイヤをしました。

そーっと入り口に寄せたり、親鳥の姿を見せたりして落ち着かせて入ってもらいました。


でも、何かが変です。

5回もヒナを拾うなんて。

(つづく)





・・・・今日、日曜ですが「まんちゅの小部屋」はお休みするというので、シジュウカラの続きをUPしました。


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