休日の飼育係
当時、小学生だった頃の話。
その頃、私の一家は伊豆半島に住んでおり
病院勤務をしていた為、その近くにある
病院関係のつてで相場よりかなり安価で借りられるアパートを紹介され一家で住んでいました。
転校先の小学校も家からとても近く、
本当に必要最低限のお店しかないような
そんな片田舎でしたが、自然にも恵まれ
とても伸び伸びとした環境下で生活は
とても充実していました。
転校先の学校生活も落ち着いてきた頃、
当時、飼育係をしていた私は翌日の土曜日の朝に鶏とウサギの飼育管理をする為に早めに就寝しました。
当日、朝から小雨が降っており空模様も曇天。
朝からどんよりとした空気の中、悪天候でも
学校へ行き動物の世話をしなければならないと
完全に思い込んでいた私は、雨天の日は行かなくてもよいのに1人学校へ笠をさし向かいました。
案の定、時間になっても過ぎても誰も来なかった為にしばらくしてから岐路につきました。
学校に着いた辺りから何故か誰かに見られているというか、後をつけられているような気配を
子供ながらに感じていました。
不気味だなと怖い思いを押し殺して、
自宅に通じる地下1F階段前まで戻ってきて
そこからは傘を閉じて降りないといけないほど階段がめちゃ狭い為、傘を折りたたみ階段を降りようとした際にふいに後ろを振り返ると
ほんの数秒の、一瞬の出来事でしたが
紫の着物姿をした老婆の腰から下の姿が
見えたのです。
見た瞬間、恐怖のあまり雨に打たれながら
しばらく身動きができずにいました。
しばらくしてから我に返ったのと同時に
恐怖が一気に襲ってきてその後は
急いで階段を降り、ダッシュで自宅へかけていき家の中へ入り、家族に今遭遇した出来事の一部始終を話しました。
当時すんでいた町というのは、
地元の方の話を聞く限りでは
そういった類の話は聞こえてこないのですが、
正直明るみに出ていないような事が
実際にはあったのではないかと個人的には思っています。
父親の勤め先の病院の同僚で
見える人がいるという話を父から聞かされた
事があるのですが、病院前の正門の前に
夜中「軍服を着た兵隊が銃を携え門の前を行進している場面を目撃した」という話を本人から聞いたという内容を聞かされた事もあり、
この土地でも何かあるのだろうなと思ってはいました。
さほど怖くない話だったかもしれませんが、
この伊豆の田舎町に住んでいた頃に経験した
怖い話はまだありますので、次回お楽しみに。