もう朝の五時になろうとしている。

来月は三回忌だ。

飛行機のチケットは購入した。

今年の六月、父が83歳で他界した。

その時棺桶の中で眠っている父に初めて伝えた。

お父さんの大好きだった孫が向こうで待っているんだよと。


この時間になると、あの日の事を鮮明に思い出す。

もうすぐ二年が経つというのに、それはまるで昨日の事のように鮮やかに思い出される。


この時間は息子の遺体を発見し、救急隊員たちが慌ただしく家の中へ入ってきていた。

少し遅れて警察車両と共に複数人の警官たちも到着。


息子はまだ首を吊ったままで、私は少し声を荒らげて「早くあの子をおろしてよ!」と泣き喚いていたっけ。


先程息子の写真を前に般若心経を唱えた。

月命日くらい会いに来てくれてもいいのに…


ここ最近、どうやら更年期障害が始まったのか、やたら情緒不安定な日が続いている。

突然目頭が熱くなり涙がポロポロと溢れたり、突発的にマンションから飛び降りたくなったり、睡眠薬を飲んでも三時間程で目が覚めたり…


実家から持ってきた息子の遺品が入っている箱を開けてみる。

乳白色の小さな乳歯、生前愛用していたDIESELの財布、学生証、ゲーム機、携帯電話、臍の緒…

どれに対しても愛着しかない。


会いたい。

私の願いはたった一つ。

会って思い切り抱きしめたい。

そして二度と離さない。


データフォルダの中の幼かった頃の写真はどれも満面の笑みを浮かべていて、まさか15歳という若さでこの世を去るなんて、しかも自らの意思で...


遺書がない自死。

私はどう解釈すればいいのか?

一体誰を責めれば気が済むのか?


狭いワンルームマンションで、冷えた弁当を食べながら生きる意味を考える。


いつ死んでもいい。

でも自死だけは老いた母を悲しませるからしてはいけない。

早く癌にでもなればいいのに。

病死なら寿命だから仕方ない。

誰からも責められる謂れは無い。


私は今49歳。

あと何年生きるんだろう。

毎日苦しい。

数日前に初めてODをしてしまった。

睡眠薬なんかで死にはしない事くらいわかっているけど、とにかく寝逃げをして時間の早送りをしたかった。

目が覚めても何も変わっていないのにな。


今日は花を買いに行こう。