『果たされた運命』③

 

 

 

ウィルソン夫人が病気で亡くなり、帰国の時期が来たと思うキャンディでしたが、母を亡くし悲しみに暮れているエディとアリソンを放っておけず、季節は冬を迎えます。

その間、偽名を使いアルバートさんと手紙で近況を伝え合いました。

 

 

キャンディはいよいよアメリカへ戻らなければと強く思うように。その頃、エディにアリソンと共にボストンへ行かないかと誘われます。

誰にも知られることなくエリーを育てられる安全な場所はポニーの家だと気付き帰国を決めたキャンディは、今までの御礼と称して一緒にポニーの家でクリスマスを過ごしてからボストンへ向かってはどうかと提案。エディは受け入れます。

 

いよいよ船はアメリカへ向けて出発。

そこで偶然にもパティと再会。

キャンディは全てをパティに打ち明けます。

パティはとても驚き、決して口外しないと約束。

パティも誘いポニーの家へ。

 

ポニー先生、レイン先生に温かく迎えてもらったキャンディは

幸福感に包まれるのでした。

 

先生たちはエリーをアリソンの子供だと思っていましたが

とうとう真実を告げる時が・・・

 

「私はテリィを愛しています。本当に心から彼を愛しています、そして彼も私を愛しています。私はそれを恥じてはいません。誰も自分の愛を恥じるべきではありませんよね?」

 

「あなたは何を伝えようとしているのですか?」

 

「・・・アリソンが抱いていた赤ちゃんは私の子供です。・・テリィと私の子供・・」

 

テリィは何も知らないこと、伝えようとした時には既にスザナと結婚していたため手遅れだったこと、自分を助けてくれたエディとイギリスに残ったことを話すキャンディ。

 

テリィに隠した理由を問われ、

「怖かったから。私は何をすべきかを分かりませんでした。彼が遂にスザナと結婚したと知った時、私は二人の間に割って入ることは出来ないと自分に言い聞かせました」

こう言いながらすすり泣くのでした。

 

ポニー先生はキャンディを抱きしめ、レイン先生は彼に話さなければならないとは思わないか、と訊ねます。

「言えません」

 

「いつまで隠すつもりですか?」

 

「誰も何も知らないでしょう?誰もがエリーを孤児院の子供だと思うはずです。私は一緒にここにいるので何も問題ありません」

 

「永久に隠すことは出来ないですよ。真実はいつか明らかになります」

 

「分かっています。でも、まだその時ではありません」

 

ポニー先生は心配しなくていい、好きなだけここに居ていいと言い、

レイン先生はキャンディが母親になったことに、嬉し涙を浮かべました。

 

 

その頃、テリィと会ったエレノア・ベーカーは、息子が元気がなく体調が優れないことに気付き、できることはないかと訊ねます。

 

「解決策は何もない。スザナはもう長くは生きられないんだ」

「・・・何を感じたらいいのか分からない。自分の中に何の感情も残っていないと思う」

 

「キャンディのことを考えているの?」

 

「・・・彼女のことを考えない瞬間はなかった・・・」

 

彼女を取り戻すつもりかと問われ、「わからない」と答えるのでした。

 

 

母と別れひとり歩いていたテリィは、偶然顔見知りと出会います。

ニールとその妻でした。

テリィはすぐにその場を去りたいと思いますが、何か言いたげなニールが気になり、お茶の誘いを受けます。そして、キャンディがポニーの家にいることを知ります。

 

すぐにでも会いに行きたいと思うものの、今はできない。テリィは二度と見失わないと決心し、彼女に会う方法は見つかるだろうと確信します。

 

 

ポニーの家のクリスマスは、エディとアリソン、アーチーとアニーとその息子、パティ、アルバートさんも加わり、賑やかに過ぎていきました。

 

あっと言う間に休日は終わり其々が去っていきましたが、キャンディはエリーとポニーの家の皆に囲まれ、寂しくはありませんでした。

 

 

一方、テリィの休日は全く楽しいものではありませんでした。

スザナは眠ったままの状態。

 

キャンディに手紙を書こうと机に座りますが決断できずにいると、メイドからスザナが目を覚まし会いたがっていると呼ばれ、会いに行きます。

 

「最後の願いをきいて欲しい」と言うスザナ。

「分かった」と答えるテリィ。

 

スザナは「キャンディに会いに来て欲しいと伝えて」と告げます。

 

テリィは耳を疑い、「なぜキャンディに会う必要があるのか」と訊ねますが、

「何も聞かないで、死に瀕している私の願いをきいて、時間があまりないから早く」と。

 

テリィは困惑しながらも願いを叶えるべくキャンディへ手紙を書きます。

 

 

間もなく1歳の誕生日を迎えるエリー。そんな中、テリィからの手紙を受け取り、

ここに自分がいることを知っているの?と震え出すキャンディ。

 

 

 

キャンディ

 

この手紙を書いているのは、君に大きなお願いがあるからなんだ。

スザナが重い病気で、君に会いに来て欲しいと言っている。

是非来て欲しい。

 

テリュース

 

 

 

キャンディは彼女のことしか書かれていないことに、悲しみがつのります。

テリィは彼女を愛していて、私への想いは忘れてしまった。もう私を愛してはいない。

涙を流しますが、ニューヨークへ行くことを決めます。

 

ポニー先生のテリィにエリーの事を話したらどうか、という言葉に、まだその時ではない…と。

 

 

到着したキャンディは直ぐにテリィの家へ。

 

「キャンディ・・・来てくれてありがとう」

そう言ってじっと見つめるテリィ。

 

スザナの部屋へひとり通されたキャンディは、彼女の様子に驚愕。

 

スザナは息を切らしながら、キャンディに来てくれたお礼と話したいことがあると言います。

 

「彼はまだ・・あなたを愛しているわ。・・いつもあなたを・・愛してる。彼はあなたを忘れていないわ。・・他の女性を愛する男性を愛するのは・・私にとって・・大きな間違いだった。どうしても取ろうとしたのが・・大間違いだった。・・結局・・彼は・・私のものではなかったのよ・・・」

スザナは泣きます。

 

「スザナ、やめて。良くなるわ」

 

「良く・・ならないわ。・・彼は今でも・・あなたを愛してる。・・私は・・彼を見るたびに・・彼の目にそれが見えるの。・・彼は決してあなたのことを・・忘れることはできないわ。・・とにかく・・私は彼に何も与えることができなかった。・・私は彼との子供がとても欲しかったけれど・・・できなかったの・・・」

 

一瞬自分の秘密が暴露されたのかと思うキャンディ。

 

「キャンディ・・・彼と一緒にいることを約束して。・・・一緒に幸せになると・・約束して欲しいの。・・私の・・あらゆる努力にもかかわらず・・・私は・・・彼に・・悲惨と不幸以外の何も・・・与えられなかった・・・」

 

「スザナ・・そんな辛辣なこと言わないで。あなたは彼を愛しているから、あなたは悪くないわ」

キャンディにも涙が・・・

 

「約束して、自分が与えられなかったものを彼に与えて」と掠れた声で何度も懇願するスザナに、とうとうキャンディは

「約束するわ」と答えます。

 

彼を呼んで欲しいというスザナは、テリィと二人きりに。

しばらく経ち出てきたテリィの表情を見たマーロウ夫人は部屋へ駆け込み、悲鳴と泣き声が…。

 

テリィとキャンディは無言で見つめ合うのでした。

 

 

スザナの葬儀に参列したキャンディ。

二人は何度か顔を合わせますが、何も話しかけることはなく、キャンディにはテリィが自分に無関心に見え、そして傷ついているように見え、キャンディの顔には苦痛が見えました。

 

葬儀後別れを言わず立ち去ったキャンディ。本当は追って来て欲しいと心から願っていたにもかかわらず、テリィを必死に追いかけている人だと思われたくはなかったのです。

二人の関係は既に手遅れで、テリィは一人になりたいと思っているのかもしれない。

スザナと約束したものの、テリィの気持ちは分からない。

レイクウッドでの一夜から二年も経っているし、彼にとっての状況は変わったのかもしれない。

そう思いながらも、テリィが来てくれることを望むキャンディでした。

 

 

テリィは葬儀後キャンディの宿泊ホテルの前で立ち尽くしていました。何と言ったらいいのか分からず、会う勇気がなかったのです。

逃げるように墓地を後にしたキャンディを目にし、自分には会いたくないのだろうと思い、彼女に拒否されたらと躊躇していました。

しかし、突然これまでの不幸を思い出したテリィは、キャンディの部屋へ。

 

 

 

 

 

 *カバー画像お借りしました🙇