その食品機能ほんとうですか? その1 | 管理栄養士国家試験と研究と私

管理栄養士国家試験と研究と私

管理栄養士国家試験の合格に向けて、過去問解説をしたりします。研究や学会、食品や栄養のお話もします。

食品成分に関する研究は色々なところで行われています。

そして、色々な効果が報告されています。


でも・・・鵜呑みにしてはいけません。


研究には順序があるんです。

(必ずしもこの順序ではありませんが・・・)


まずは、ある食品について試験管で実験が行われます。

例えば、この成分は、血圧を上げる酵素の働きを弱める!とか。


この試験管の実験は、細胞で行われることもあります。

例えば、乳がん細胞に、ある成分を振り掛けると、がんが死滅するとか。


この細胞の実験で、がん細胞が死滅するとうれしいですよね。

がんが治るんじゃないか!?と期待してしまいます。

もちろん、がんに有効な可能性もありますが、そんなの一握り以下です。


ちょっと大げさな言い方ですが、ほとんどの食品には、がん細胞を死滅させる効果があるんです(ほんとうにちょっと大げさですが)。


でも、がんに効くためには

1.その食品成分を食べたら、ちゃんとそのままの形で吸収されなくてはならない。

2.吸収された食品成分が、ちゃんとがん細胞まで届かなくてはならない。

3.届いた食品成分が、がん細胞を殺す濃度まで濃縮されなくてはならない。


わけです。

こうなると、そう簡単にはいきません。


それを明らかにするために、動物実験が行われます。

動物実験で効果があると、だいぶヒトに近づいてきます。

でもネズミさんは人間ではありませんから、ヒトでも確かめる必要があります。


ネズミさんとヒトでは、栄養素の消化吸収の仕方が異なることもあるので。


ですから・・・

ある食品成分に効果がある!

と聞いたときは、それがちゃんとヒトでの研究結果なのかを確かめて、冷静に判断する必要があるんですね。