管理栄養士国家試験と研究と私

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管理栄養士国家試験の合格に向けて、過去問解説をしたりします。研究や学会、食品や栄養のお話もします。

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新年おめでとうございます

おはようこんにちこんばんはシラー

クリスマスが終わると一気に年末感が強くなりますよね。

年末のせかせかのようなのんびりのような
なんとなく普段何気なく通る道なんかいつもと違う感じ(今年もおわりか~みたいな)が結講好きなスベスベマンジュウガニです。


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脂質の性質とヒト体内における役割に関する記述である。正しいのはどれか。
(1)ステアリン酸は、多価不飽和脂肪酸である。
(2)トリアシルグリセロールは、両親媒性物質である。
(3)パルミチン酸は、プロスタグランジンの前駆体となる。
(4)ホスファチジルコリンは、リポたんぱく質の構成成分となる。
(5)コレステロールは、身体活動のためのエネルギー源として利用される。
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正解は・・・(4)です。


×(1)ステアリン酸は、炭素(C)数18の飽和脂肪酸です。
飽和脂肪酸は、二重結合を持たない脂肪酸で、常温で固体です。

飽和脂肪酸で(管理栄養士国家試験で)覚えておいてほしいのは、
パルミチン酸、ステアリン酸です。

パルミチン酸:炭素数16の飽和脂肪酸
ステアリン酸:炭素数18の飽和脂肪酸


覚え方は、『飽和はパス!』
飽和脂肪酸なんて覚えてられないぜえっ、『飽和はパス!』って感じです。


×(2)トリアシルグリセロールは疎水性(油と仲が良い、水と仲が悪い)です。

両親媒性は、水とも油とも仲が良いものをさします。
例えば、リン脂質は両親媒性です。
ちなみに、モノアシルグリセロール(グリセロールに脂肪酸が1つくっついている)は、両親媒性です。



×(3)プロスタグランジンの前駆体になる脂肪酸は、アラキドン酸です。

プロスタグランジンは、アラキドン酸から作られるエイコサノイド(炭素数20の脂肪酸から作られる生理活性物質)です。

日常に置き換えると、頭が痛いときなんかに出ている生理活性物質がプロスタグランジンです。
頭が痛くて、ロキ◯ニンなんかを飲んだりしますよね。
そういう鎮痛薬は、このプロスタグランジンの生成を抑制させているんですよひらめき電球

ちなみに、一応確認ですべーっだ!
アラキドン酸は、n-6系、炭素数20、二重結合4つの脂肪酸ですよ~。


ちなみにちなみに、
「あれ?炭素数20の脂肪酸から作られる生理活性物質…、もしかしてn-3系のEPA(エイコサペンタエン酸)からもプロスタグランジンは作られるの?!」
なんて思った方は天才ですシラー

そうなんです。EPAからもプロスタグランジンは作られます。
だけど、生理活性の強さはn-6系のアラキドン酸の方が強いんですよ。


◯(4)ホスファチジルコリンは、リポたんぱく質の構成成分となります。
ホスファチジルコリンはリン脂質の1つです。

ちなみに、「ホスホ」=リンを指します。ホスファチジル◯◯◯=リン脂質と覚えておくと便利ですよひらめき電球


話を戻しますDASH!

リポたんぱく質は油を運ぶカプセルのようなヤツで、リン脂質の膜で出来たカプセル・・・というような感じです。
リン脂質は、リンと脂肪酸がくっついた構造です、親水性(水と仲良し)のリンが外側、疎水性(油と仲良し)の脂肪酸が内側のリン脂質の膜に油(トリグリセリドなど)を包んでいます。

リポたんぱく質がどんなところで活躍しているかというと、血液です。
血液中で、油がそのまんまでは分離してしまいますよねむっ
油がリポたんぱく質に包まれていることによって、油が分離せずに血液中に存在できるという訳です。


×(5)コレステロールは、身体活動のためのエネルギー源として利用されません。
ちなみに、脂肪酸はβ酸化によってアセチルCoAを作り出すので、エネルギー源となりますよ。

コレステロールの働きで覚えてもらいたいのは
胆汁酸の材料になる
ステロイドホルモン(副腎皮質ホルモン)の材料になる
③細胞膜、リポたんぱく質の膜の構成成分(遊離型のコレステロール)

ちなみに、コレステロールにはエステル型と遊離型があります。
血液中にあるコレステロールは、ほとんどエステル型(コレステロールエステル)。
膜の安定化に役立っているのは、遊離型のコレステロールです。



いかがでしたか?
脂肪酸に関する問題でしたシラー
忘れていたところはしっかり確認しておきましょう得意げ


おはようございますニコニコ
先週はすこしヘビーでしたか?叫び


今週も、先週と同じ問題の続きです。
(1)、(2)の解説は、先週の解説を参考にしてくださいねひらめき電球

余力がある方は、自分で解説できるか確認してみてください!!


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内分泌疾患に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。

(1)バセドウ病では、血清甲状腺刺激ホルモン(TSH)値が上昇する。
(2)原発性アルドステロン症では、血漿レニン活性が上昇する。
(3)クッシング症候群では、糖新生が亢進する。
(4)甲状腺機能低下症では、血清コレステロール値が低下する。
(5)先端巨大症では、血清成長ホルモン(GH)値が低下する。
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正解は・・・(3)です。


では、(3)から解説します。


◯(3)クッシング症候群では、糖新生が亢進します。
クッシング症候群では、副腎皮質ホルモン(特に糖質コルチコイド=グルココルチコイド)の分泌が上昇しています。

糖質コルチコイド(グルココルチコイド)の主な働きは、血糖値をあげることです。

したがって、クッシング症候群では、血糖値をあげるために糖新生が亢進します。

ちなみに、糖新生は、糖以外(グリコーゲン以外)のアミノ酸や乳酸から糖(グルコース)をつくることをいいますよ得意げ


×(4)甲状腺機能低下症では、血清コレステロール値が上昇します。

甲状腺ホルモンには、コレステロールを胆汁酸に変換するのを促進する働きがあります。
したがって、甲状腺ホルモンの分泌が低下する甲状腺機能低下症では、血清コレステロール値が上昇します。

コレステロールから胆汁酸が作られるということはとても大事なので覚えておきましょう。
ちなみに、コレステロールの材料はアセチル-CoAですよ。


その他に甲状腺ホルモンで基本的におさえておかなければいけないこともまとめます。
甲状腺ホルモンは、ざっくりいうと、「身体を元気にするホルモン」です。

たとえば、甲状腺ホルモンがたくさん出る状態だと(甲状腺機能亢進症)
身体を元気にしようと血糖値をあげたりします。また、心臓の働きが活発になったり(頻脈)、エネルギー消費が亢進して体重が減ったり、汗がたくさんでたり、、、、します。


×(5)先端巨大症は、成長ホルモン(GH)が出過ぎてしまう病気です。
したがって、先端巨大症では、血清成長ホルモン(GH)値が上昇します。


ホルモンの働きを覚えないことには、得点UPにはつながりませんむっ
ホルモンの働きを覚えて、そのホルモンが分泌されすぎたら?分泌が少なかったら?と疾患につなげていってくださいねニコニコ


今年の管理栄養士国家試験過去問解説も残すところあと2回です。
では、また来週~~~