深淵に潜む影
いくら24時間営業とはいえ深夜3~4時のネットカフェに訪れる客なんて珍しいものです、
一通りの作業を終え後は…モーニングパックの時間帯まで特にやる事もなく、
尚且つ相方も休憩とくればレジでボ~っと突っ立ってる訳ですが…、
そうだな…何もしないのもアレだし何かしようかと思った瞬間視界の隅に異質な物を見る、
そのモニターには監視カメラから玄関口まで上る階段の映像を映していた、
その階段の中間点の踊り場にその異質な物はあった、
何かモヤモヤした影の塊、
ちょうど人がうずくまった程度の大きさに見える、
それはなにか決まった形状を持たないかのようにぼやけた輪郭を蠢かせる、
……えーっと…なんだこれ?、
モニターが焼きついてるならこんな感じに動いたりしないだろうし、
さっきまでは何も無かった筈だ、急に出てくるなんて事はないだろう、
錯覚でもないよな…さっきからずっと見てるわけだし…、
眼の異常ならモニターの一部にだけ見えるってのは無いと思うし…、
これは…まさか…、
何かさぁ…同じような映像を以前テレビで見たことあんのよね、
ああ、アンビリバボーで見たよ、ええ、見た見た!、
来た来た!ついに来た!!35年目にして初めての体験!!、
心霊現象じゃないんですか!!!、
そうかー…心霊と宇宙人はもう死ぬまでには見れないと思ってたんだが、こんな所で見れるとは…、
この高まるワクワク感!!、
きっとこれはモニターにしか映らないタイプのソレかなんかなんだろうな、
とは思うのだが…、少し窓から覗けば確認できる位置なんだが…、
その…なんだ…やっぱり怖い…、
何か越えてはいけない一線を超えそうな気がするんよね…、
こう…モニター越しだから割と冷静でいられるのかも知れない、
そうだ!こんなにモニターにハッキリと映るんなら今のうちに写真を…、
と思ってふとモニターを見直すと…もうその場の影は消えていた…、
どこか別の場所に移動したのだろうか…、
移動したのが下ならいいが、もしかしたら上に…、
機械を通してだけ視認される何か…、
ひょっとしたらその見えない何かが私の近くで息を潜めているのかもしれない、
そう思うとあの影が消えた今でも恐怖を感じざるを得ないのだった…。
深淵に潜む影 完
「はぁ」
って事がT倉さんが休憩中にあったんですよ!、
いやぁ…よっぽど呼びに行こうかと思ったんですけどねぇ…、
「それ蜘蛛ですよ、昨日見ましたし」
え?、
「あ、ほら今出てきた」
影は有り得ない空中に再び姿を現した、
移動する様子を見ると確かに脚っぽい物が見える、
どうやらカメラのすぐ前に巣を張っているようだった、
「ね?蜘蛛でしょ?」
蜘蛛でした…。
はじめての心霊現象2010冬 完