相談

 

不妊治療の専門クリニックにて、初回説明会を夫婦で聞いてきました。その説明会では、排卵誘発剤のデメリットや副作用のハッキリとした説明がないままに、次回の予約を勧められたため、断って帰ってきました。

 

不妊治療中に、ある有名人が乳がんになってしまったとネットで知ったこともあり、女性ホルモンにかかわる排卵誘発剤の副作用を知りたいです。

 

検査の段階から9日間連続で排卵誘発剤を使用するとの事だったので、乳がんのリスクがどのくらいあるのか教えてください。

 

 

お返事

 

排卵誘発剤には、いくつかの種類があります。

 

卵胞を成長させるために、エストロゲンをブロックし、FSH(卵胞刺激ホルモン)を分泌させ続けることで卵胞成長を促すクロミフェンなどの服薬、またhMGやFSH製剤で卵巣を直接刺激して卵胞を発育させる注射剤、排卵が勝手に起こらないように抑える薬などもあります。

 

こうした排卵誘発剤を使うことで、エストロゲンレベルが通常よりも上昇します。ですが、排卵が起きている以上、身体の中でエストロゲンはつくられていますし、エストロゲンレベルも排卵付近では特に上昇します。

 

このエストロゲンが、乳がんの発生に深く関わっているとされています。

排卵誘発剤を使用することで、短期間ではあるものの、エストロゲンレベルの上昇が乳がんのリスクにつながると考えられ、多くの研究がされました。

 

しかし、概ね関連はしないという結果が発表されています。ちなみに、出産経験のない女性は出産経験のある女性に比べて乳がん発症リスクは高いとされています。

 

乳がんの発症は30代から増加し、40代後半から50代前半でピークを迎えるとされています。乳がんに限らず、初期の段階で発見できるように定期検診を毎年受けましょう。

 

どのような薬でも副作用はありますので、その点は十分理解したうえで、治療を決められると良いと思います。

 

不妊治療においては、乳がんを実際に経験されている方も治療をされています。

そのような場合には、エストロゲンの上昇を緩やかにする方法もあります。

 

治療を検討される場合には、医師からの説明を十分に受け、納得した形で治療を受けることが大切です。

そのような医師と患者さんのコミュニケーションがあると不安や心配も和らぎ、より安心して治療に臨めますね。

 

本コーナーは、不妊治療情報センターに日々寄せられる相談とそれに対するお返事を抜粋したものです。不妊治療で悩まれる方は全国に多くいらっしゃいます。私たちは、みなさまが少しでも不安や心配なく妊活や治療に臨めるように願っています。