不妊治療情報センター・www.funin.info 刊行誌「i-wish...ママになりたい」の記事から紹介

 

 

大阪府・大阪市 オーク住吉産婦人科  

輝美 先生

 

タイミング療法から体外受精、男性不妊から卵子凍結と幅広く診療をされている医療法人オーク会。国内のみならず海外から治療に訪れる人も多いといいます。最先端の治療も積極的に導入してはいるものの、妊娠で大きなポイントとなるのは年齢です。今回は大阪と東京で治療にあたっている林輝美先生に、年齢による治療の違いなどをうかがいました。

 

晩婚化の影響で妊娠・出産も遅れがち

Q.不妊治療のスタートが40歳過ぎになってしまう場合、その理由は何でしょう?

A.現在は晩婚化が進んでいますが、結婚してしばらくは2人の時間を楽しみたいと思うのかもしれません。また、仕事で忙しく、妊娠への意識が置いてきぼりになっているのかもしれません。そして、そろそろ子どもがほしいと思うころには40歳近くになっているのではないでしょうか。そこから「夫婦で頑張ったけれど、なかなか妊娠しない。もしかして妊娠が難しいのかも」と感じて来院するころには40歳を超えていたという感じなのでしょうか。

なかには結婚は早めだったけれど、10年以上妊娠せず、40歳以上になって治療が必要かもと来る方もいらっしゃいます。

また、1人目のお子さんは早くできたけれど、2人目がなかなかできなくて40歳を過ぎてから来院するというケースも多いです。

 

35歳で来院したらゴールは早い

Q.35歳くらいから治療をスタートするメリットを教えてください。

A.35~38歳くらいまでに来院すると、妊娠・出産にいたるまでが比較的に早いです。基本的な検査をして、その方に足りないところや不具合がわかったら、それを補えば良い結果に結びつきやすいわけです。

不妊に結びつくような原因が見つからなかったとしても、タイミング法からスタートして、正確にタイミングをお伝えするだけで妊娠することもあります。つまり、タイミングがずれていて妊娠にいたらなかったと考えられるのです。

 

早めに来院すれば希望に沿った治療も可能

Q.では、35~38歳から治療を始めた場合の治療の流れを教えてください。

A.まずは、タイミング法からスタートします。併行して基本的な検査を実施していきます。この期間がだいたい2カ月です。検査で何かしら原因が見つかったら、原因に見合った治療を進めることになります。仮に卵管がつまっていて卵子と精子が出合えていなかったのなら、卵管形成術もしくは体外受精の適応になりますし、精子がほとんどいなかったのなら顕微授精という方法になります。

 

実際のところ、検査をしても原因が見つからない方のほうが多いのですが、その場合は3~4周期、タイミング法を実施します。4周期を過ぎて、タイミング法で妊娠するケースもありますが、ずっと同じ治療を続けるのは精神的にもつらいものです。また、モチベーションが下がってきてしまう方もいるでしょう。

ですから、4周期程度で切上げて人工授精にステップアップすることをお勧めします。人工授精も3~4周期が目安です。それでも妊娠しなかった場合は体外受精を考えましょうと、最初にお伝えしています。

 

この説明に沿って、ステップアップされるか否かは患者様次第です。体外受精を希望しないという方もいますし、タイミングを1~2周期おこなった後で体外受精に速やかにステップアップする方もいます。

このように早めに治療をスタートすると、段階を経た治療が可能です。患者様のご希望を尊重した治療ができるともいえます。

 

40歳以上なら体外受精を視野に入れて

Q.40歳過ぎの治療過程についてはいかがでしょうか?

A.40歳を過ぎてから治療をするとなると、時間の余裕がありません。そのため、最初にご案内するのは体外受精です。タイミングから人工授精を経て体外受精にいたる手順を踏むと、さらに妊娠が難しくなってしまいかねません。40歳以上になると、流産率も高くなってしまうので、なるべく早めに治療を進めることが重要なのです。

 

同じ治療は繰り返さない、毎回が真剣勝負!

Q.不妊治療でなかなか結果が出ずに悩んでいる方もいますが、医師の立場から伝えたいことは?

A.妊娠を期待して叶わなかったときの辛さは本当にしんどいと思います。医師の説明などもなかなか頭に入ってこないかもしれません。「どうして妊娠しなかったのだろう」「どこがいけなかったのだろう」と、いろいろ考えられると思います。いろいろ考えるのは医師も同じです。漫然と同じ治療を繰り返すことはありません。体外受精ひとつとっても、細かくみると方法は様々です。

ですから、1回、1回が真剣勝負で結果を求めていきます。たとえば「今回の胚は良好だったのに、子宮の状態が整っていなかったのかもしれない」などと、ひとつずつ考えられる理由を点検して、次の治療に生かしていくのです。結果が出るまでは苦しいと思いますが、どうかあきらめずに治療を続けてほしいです。

 

 刊行誌「i-wish...ママになりたい60号」の記事から紹介

 

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