相談

 

私は明日3回目のAIHを受ける予定なのですが、季節柄、主人が風邪をひいてしまったようです。


一昨日から具合が悪くなり、今日はだいぶ回復はしてきていますが、まだ本調子ではない状態です。このような状態で明日AIHをしても大丈夫でしょうか?毎月休みなく続けてきたので、できれば受けたいのですが、本調子でないために妊娠の可能性が低くなってしまうのではないかと心配です。

 

不妊治療を受ける中で必ずしも夫婦の体調がベストにならないことも多いと思うのですが、自然妊娠ではない分、「排卵日に体調をベストにもっていかなければ」と強い使命感みたいなものまで出てきて、神経質になっているみたいです。 「ベストな卵子でなければ、ベストな精子でなければ、もしも妊娠して子供に影響があったら…」と。
病院には、言われるがままの義務感のように通院しています。
私は、体調が万全なために主人を責めてしまっているみたいで、1回1回が大切なチャンスと思うほど余計に不安になってしまいます。

 

 お返事

 

ご質問ありがとうございます。治療が進まないとご不安になってしまいますよね。

治療をされる患者さん皆様、そのもどかしさをお心に抱えていらっしゃいますので、相談者さまのお気持ち痛いほどわかります。

少しでもお気持ちの支えになるよう、いくつか考えをお返事させていただきます。

 

はじめに、ご主人の体調と治療について不安になられているとのことですが、結論から言うとあまり焦らないでよいと思います。妊娠に向けての営みは、例えそれが人工授精という方法を取るにしても、体調とは無関係とは言えないかもしれません。ただ、それが「風邪」という症状だからダメだということのエビデンスが乏しく、はっきりとそう言えることではないからです。

ただ、精子については「熱に弱い」ということはわかっています。なので派生して「睾丸を温めないほうが良い」ということが考えられ、結果的に「サウナがだめ」「風邪による高熱のあとはダメ」という考えを持つ医療者は多いかと思います。

派生しての心配ということで「風邪だから」ということははっきりとわかっているわけではないのが現状です。が、風邪は感染するものでもありますから、その回避を考えることも大切です。

 

そこで、体調が悪いから1周期を飛ばすという考え方ではなく、ある程度万全な状態で治療に臨むという考え方が良いかと考えます。生殖補助医療はホルモンの治療でもあります。ホルモンのバランスは体の状態だけでなく心の状態も少なからず関わってきます。人によっては治療も長くなる傾向もあるため、「○○しなければ」と気を張り詰めてしまうと、相談者さまやご主人さまにとってプレッシャーになってしまい、治療の継続自体が負担になってしまうことも考えられます。

 

クリニック側は患者さま皆さまのご出産を目指し、効率的に動いてはいますが、それが患者さまにとってご負担になってしまうこともあります。これはクリニック側の課題とも言えますが、必要なことでもあります。しかし、患者さまがそれをプレッシャーに感じることは全くありません。勿論、「これはやってくれ」「こうしてみたいがどうだろう?」といったことは言われることはありますが、その都度【医師とご相談いただきながら】お決めいただけばいいと思います。

 

AIH以外にも可能性のある技術(体外受精など)はまだまだありますから、今は治療周期を伸ばすか伸ばさないかというジャッジよりも、一息いれてご主人様とお話をいただく機会、ご夫婦の時間にしていただいても良いかと思います。

そのほうが、次周期以降の治療に前向きに焦らず向き合うこともできると思います。

 

ご参考になれば幸いです。

 

本コーナーは、不妊治療情報センターに日々寄せられる相談とそれに対するお返事を抜粋したものです。不妊治療で悩まれる方は全国に多くいらっしゃいます。私たちは、みなさまが少しでも不安や心配なく妊活や治療に臨めるように願っています。