今回は、i-wish ママになりたい vol.73「年齢と不妊治療」の特集記事より、「年齢と治療法~PGT-A、PGT-SR」について詳しく見ていこうと思います。

 

 

加齢に伴う染色体異常の増加と妊娠への影響 

 

卵子も精子も受精した胚も生殖細胞です。子どもを作る時に、生殖細胞は父母の遺伝情報を伝える大事な役目を持っています。その役目を担う染色体に異常がある場合があります。

異常があると、受精障害や受精後の胚の発育不良、着床後の流産の原因となり、異常の発生率は、加齢とともに高くなってきます。体外受精時の流産率は、治療平均年齢に近い37~38歳で25%ほどで、これ以降の年齢ではさらに増えます。そのため、反復して流産に至る場合などでは、染色体が正常かどうかを調べる着床前胚染色体検査(PGT)が進んできています。

 

着床前胚染色体異数性検査(PGT-A) 

受精して胚盤胞まで育った卵(胚盤胞)には、胎盤になる栄養外胚葉(TE)と胎児になる内部細胞塊(ICM)があります。このうち、栄養外胚葉5~10 個を取り出して遺伝子検査をして異数性を調べます。23対の染色体に過不足があれば、移植を避けることで流産を回避でき、正常数であれば移植して妊娠が期待できます。

一面、正常数の胚を得るのに複数回の検査をすることになれば、費用面や精神面でのダメージ、胚盤胞へ与えるダメージが懸念されること、誤診率が5~15%あることが心配視されています。

もともと年齢とともに増える流産率を下げるための治療ではなく、移植にあたって個々の胚を検査し、その移植において安心できる妊娠の確率を高めるものです。そこで良好な結果が続けば、今後の普及にも期待ができるでしょう。検査システムの進化も進むことでしょう。

 

着床前胚染色体構造異常検査(PGT-SR

PGT-A 同様に、検査して胚の染色体の構造異常を調べるものです。夫婦どちらかの染色体に転座などの構造異常があれば、胚の染色体数の過不足や部分的な過不足が起きやすく、流産や不育症に結びつく可能性が高まります。

 

遺伝子検査ゲノム解析の将来 

人は自分の体の情報をどれだけ知っているのでしょうか。人の体はおよそ37兆個の細胞でできているといいます。 

細胞核内には、父方、母方の精子と卵子から受け継いだ23対46本の染色体があります。染色体のDNAに含まれるすべての遺伝情報がゲノムです。

ヒトのゲノム遺伝情報は、それを読み 取るための国際プロジェクト「ヒトゲノム計画」によって、2003年に解読を完了したことが知られています。そして 今や1人分のゲノム解析が費用的には、10万円、時間的には1日でできる時代です。このような背景があって、着床前の胚の検査も進んできています。

今後さらにゲノム解析が進展し、新技術が医療に応用されることで、生殖医療への恩恵や不妊治療に悩まれる患者さんへの朗報があるのでしょうか?‌あるのなら、その技術導入が待ち遠しいものです。

 

 

新型出生前診断/NIPT

妊娠したら、次にお腹の中で育つ赤ちゃん(胎児)の状態が気になります。 最近は、NIPT(新型出生前診断)といって、お母さんの腕から採血して染色体検査ができる出生前診断があります。赤ちゃんへのリスクもなく、また、流産のリスクもありません。

陽性または陰性、異数性検出の有無、遺伝子の部分欠失または部分重複、微小欠失症候群などがわかりますが、すべての染色体の疾患や先天性欠損症を検査するという基準があるのではなく、検査機関によって内容に違いがあります。エコー検査に妊娠が確認できたら検査できることや、性別がわかる利点もあります。

最善の選択

「赤ちゃんが欲しい」と夫婦・パートナー同士が思い立つも、2人の力では限界を感じた。そんな時に、子どものいる将来を優先的に考えて最善の選択をするのに、ある意味、分かりやすい時代なのかもしれません。少子化問題対策の良案も施工されなければならないですし、不妊治療の進歩もあるからです。

治療がうまくいかない時にも他の選択が開けるでしょう。年齢と不妊治療の関係には、絶えずその選択の壁があると思います。

その時に足りていないこととして、社会の子どもを受け入れる手厚い姿勢と、不妊治療施設での家族設計への案内があるかと思います。「これだけのことが今の不妊治療では可能だけど、それ以外に、例えば養子縁組があり、何処どこで相談に乗ってくれます」などの情報提供です。 

早めの案内があれば、社会で「子どものいる家族が増え、子どもを抱きしめることのできるパパとママも増える」かと思います。

 

 

詳しくは、i-wishショップ楽天市場店で取り扱い中の

i-wish ママになりたい vol.73「年齢と不妊治療」をぜひご覧ください!

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乞うご期待!

少しでも早く妊娠していただけるよう願いを込めて、不妊治療情報センターが発行する「i-wish...ママになりたい」シリーズの新作「不妊の原因」ができました。不妊の原因は人それぞれです。WEBの相談コーナーに寄せられる内容からも複雑な現状が感じられます。その思いもあり、今回は不妊の原因特集を組みました。

これから治療を受けられる方や関係する皆様にとって、少しでも参考となり、何か治療への取り組み方にもプラス変化が起きますよう、ぜひ、お読みいただければ幸いです。治療中の方も、今の治療がどのような理由で行われているかの判断材料となることでしょう。そのほか、全国の不妊治療専門施設の紹介、専門医への取材記事、応援レシピや相談集など、内容盛り沢山!