本日は、女性が妊娠できる期間について、詳しく見ていきたいと思います。

 

 

 

初経は妊娠能力を得た喜ばしい日

月経(生理)とは、子宮内膜が血液とともにはがれ落ち、体外に排出される体の仕組みで、初めて月経がくることを初経(初潮)といいます。

日本の平均初経年齢は12歳頃ですが、個人差があります。15~18歳未満で初経がきた場合は遅発初経、18歳以上で初経がこない場合は原発性無月経として治療をします。

 

生命は卵子と精子が出会わなければ始まりません。卵子と精子が出会うには排卵が必要であり、排卵は月経がなければ起こりません。初経は妊娠する体の準備ができた証で、以前はお赤飯を炊いたりして祝っていました。

 

初経から数年間はまだ体が未成熟のため、月経周期や出血量にばらつきがあり、排卵が起こらない場合もあります。排卵を伴う月経周期が整ってくるのは、20歳前後と言われています。

 

 

 

月経は毎月起こる妊娠の準備

月経は、必要なホルモンが正常に分泌され、卵巣や卵胞、子宮がそれに正常に反応し機能して起こります。 

1つの月経周期で排卵に向かう卵胞は10数個~20個ほどですが、排卵されず自然に消える卵胞もあり、1日にして30~40個の卵胞が減り続けていきます。

 

月経周期に沿って見た月経や妊娠に関わるホルモンや器官の働き

 

視床下部から分泌される性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)が下垂体を刺激する

卵巣で10数個~20個ほどの原始卵胞が卵胞刺激ホルモン(FSH)の作用で大きくなる(~5日目頃)

そのうち最も好反応のものが主席卵胞としてさらに成長する(7日目頃)

この間、子宮内膜は卵胞ホルモン(エストロゲン)の作用で厚くなる

黄体化ホルモン(LH)の作用で卵胞が十分育つと、排卵が起こる(14日目頃)

卵巣に残った卵胞は黄体となってホルモン(プロゲステロン)を分泌し、子宮内膜の着床環境を整える

着床がなければ黄体は吸収され、次の周期となる(28日頃)

 

 

 

妊娠できる条件

女性が妊娠して出産するためには、いくつかの条件があります。社会的に大人としての年齢にあることはもちろんですが、身体が健康であることが大切です。

 

そして、月経周期のホルモンバランスが整っていて、卵巣で卵胞が育ち、成熟した卵子が排卵して卵管采が卵子をキャッチし、卵管に取り込む必要があります。

取り込まれた卵子は卵管膨大部で精子と出会います。この精子は性交によって腟内に射出され、頚管粘液を通過し、子宮から卵管へと向かってきたものです。無事に精子が卵管膨大部にたどり着くことも必要です。そこで受精します。

受精卵は胚と呼ばれ、分割しながら発育し胚盤胞へと育ち、卵管によって子宮内に運ばれ、子宮内膜に着床することで妊娠が成立します。

 

これが、性生活の中で起こる自然妊娠の流れです。この流れのどこかに問題があると妊娠できません。卵子と精子を取り込み、受精卵が育つ卵管や子宮環境は、体外受精では不妊治療施設の培養室が、この女性の体内(子宮や卵管)環境をお手本として環境を整え、体外での生存発育が維持されます。

 

 

妊娠のしくみをみていると、人には妊娠することがプログラムされていて、とても当たり前のことのように思われますか? 

生殖年齢にある夫婦の約8割は治療をしないで妊娠していくのですから、多くの人が妊娠は神秘的だけれど当たり前のことと思うのも不思議はありません。しかし、1~2割の人は不妊症と考えられ、その場合は治療をすることで妊娠への道が開かれています。

 

<妊娠できる条件として1~11までのステップ>

この流れの一つでも欠けたら妊娠は成立しません!

 

1.卵胞が順調に育つ

2.腟内に十分な精子が射精される

3.精子が子宮頸管へ侵入する

4.精子が卵管を泳ぐ

5.排卵が起こる

6.卵子と精子が出会う

7.精子と卵子が受精する

8.正常な黄体が形成される

9.受精卵(胚)が順調に分割する

10.胚が子宮に運ばれる

11.胚が着床して妊娠が成立する

 

妊娠できない場合は 何が原因か?<問題となる要因>

 

卵胞発育不全、卵巣機能不全、多嚢胞性卵巣症候群、月経不順、 排卵障害、極度な体重減少、過度の運動、過度のストレス、 ED(勃起障害)、性交不能症、乏精子症、頚管粘液不足、抗精子抗体、卵管の癒着や閉塞(卵管狭窄)、感染症、精子の質、卵子の質、ピックアップ障害、黄体機能不全、子宮内膜障害、子宮内環境の異常、胚の染色体異常、卵管因子、胚と子宮の問題など

 

 

閉経は月経の終了 妊娠可能期間の終了

順調な排卵のある月経周期が整い、心身が成熟した20~30代前半が生殖適齢期妊娠適齢年齢とされています。ただ同時に、30代は婦人科系の疾患(子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣囊腫など)にかかりやすい年代でもあり、注意が必要です。また、月経の周期と周期の間で、月経ではない性器からの出血があるのは不正出血です。疾患の可能性がありますので婦人科を受診しましょう。

 

35歳頃から卵巣機能が低下し始め、また老化により卵子の質が低下してきます。40代では、月経周期が乱れる、月経日数や出血量が変化する、排卵のない月経周期(無排卵月経)が出てくるなどの変化が現れます。これは閉経が近づくサインです。閉経する頃に残った卵胞はわずか1,000個ほどです。

日本の平均閉経年齢は51歳頃ですが、閉経の10年ほど前から妊娠は難しくなります。閉経年齢は人それぞれで、早いと40代前半、遅いと50代後半の人もいます。早発閉経、閉経後は妊娠できません。

    

つまり妊娠可能となる現実的な年齢は、もちろん個人差はありますが、一般的には20~30代いっぱい(40代初めまで)といえるでしょう。

また、卵子の残り数を調べる目安ともなる検査(卵巣予備能検査)があり、これからの時代、この検査の早期検査の重要性も指摘されています。

 

 

 

ママになりたい「不妊の原因」が近日(3月29日)発売です!

i-wishショップ楽天市場店でもお取り扱いございます。 

 

新刊紹介

ママになりたい「不妊の原因」発売!

i-wishショップ楽天市場店で発売中です!こちらから

 

 

今号の読みどころ

少しでも早く妊娠していただけるよう願いを込めて、不妊治療情報センターが発行する「i-wish...ママになりたい」シリーズの新作「不妊の原因」ができました。

不妊の原因は人それぞれです。WEBの相談コーナーに寄せられる内容からも複雑な現状が感じられます。その思いもあり、今回は不妊の原因特集を組みました。

これから治療を受けられる方や関係する皆様にとって、少しでも参考となり、何か治療への取り組み方にもプラス変化が起きますよう、ぜひ、お読みいただければ幸いです。

治療中の方も、今の治療がどういう理由で行われているかの判断材料となることでしょう。

そのほか、全国の不妊治療専門施設の紹介、専門医への取材記事、応援レシピや相談集など、内容盛り沢山!

 

具体的な治療方法は通院先の先生に!ここでは、個人で知っておきたい妊娠出産への常識となるよう編集、将来的に結婚や出産意識が高まり、社会もまた出産育児環境を整える必要があるだろうことへのアドバイスとしても広く皆様にお読みいただきたい一冊です。