女性は成長と共にからだの変化が起こり、平均12歳前後になると初経を迎えます。

その後は、月経(生理)と毎月の長い付き合いになります。

 

しかし、改めて月経について問われると曖昧な知識しかもっていないことが多いようです。

そこで、月経についての知識をきちんと身につけ、女性の体に起こる変化をしっかり知って欲しいと思います。

 

 

 

月経とはなにか?

月経は、女性の生殖器官から子宮内膜の一部が剥がれ落ち、排出される生理現象です。

この生理現象は妊娠のない月経周期の中で起こり、月経周期の中では月経期にあたります。月経周期は、一般的に25~38日が正常範囲です。この範囲内で前後しても問題ありません。

月経周期には、卵胞期、排卵期、黄体期、月経期があります。

通常、排卵があれば月経がきて、排卵があれば月経も順調にきます。
 

月経周期を確認しておきましょう。

卵胞が成長するのが「卵胞期」

育った卵胞が排卵する「排卵期」

子宮内膜を厚くする「黄体期」

子宮内膜が剥がれ落ちる「月経期」

にわかれます。

 

月経周期には様々なホルモンが関係し、基礎体温にも変化が起きます。

体温変化は、卵胞期には低温期、黄体期には高温期の二相性を描きます。

 

卵胞期、排卵期、黄体期、月経期のそれぞれについて、ホルモンや基礎体温などを見てみましょう!
 

 

卵胞期

卵胞期には、脳の視床下部から性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)が分泌され、下垂体を刺激します。

下垂体から分泌された卵胞刺激ホルモン(FSH)の作用で、排卵周期に入った10数個~20個ほどの卵胞が卵巣内で成長を始めます。

 

そのうち最も大きく、一番よくホルモンに反応したものが”主席卵胞”となって成長を続けます。

他の卵胞は成長が止まって小さくなり(閉鎖卵胞)、やがて黄体として体内に吸収されます。

主席卵胞のなかの卵子が最も優れた卵子と考えたいのですが、実はそうも言えなく、主席卵胞だから必ず妊娠に至るとも言い切れません。

卵巣の中で大きくなる卵胞内に在って(空砲の時もある)、成熟した卵子として排卵される卵子それぞれに質の違いがあると考えましょう。

 

年齢とともに、卵巣内に残る卵子の数も気になります。
卵胞(卵子)がどの程度残っているかは、AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査で予測できます。

AMH値が低ければ残された卵胞は少ないということですが、卵子の質まではわかりません。一般的に、卵子の質は年齢に大きく相関しているといわれます。

 

 

 

排卵期

主席卵胞が2㎝ほどに成長し、エストロゲン値が十分になると(250~300pg / ml程度)、卵巣が視床下部にそれを伝えます(フィードバック)。すると、視床下部から下垂体にFSHの分泌を減らして黄体化ホルモン(LH)をたくさん分泌するよう命令がいきます(LHサージ)。これにより卵胞が成熟し、LHサージの約36時間後に排卵が起こるとされています。

 

排卵が近づいているサインとしては、透明でねばねばしたおりものが増えてきます。
 

受精できる卵子を成熟卵子といいます。

すべての周期で排卵が起こるとは限らず、また自然妊娠の場合は、排卵された卵子が成熟卵子かどうかはわかりません。
卵胞が育つにつれて、卵巣から卵胞ホルモン(エストロゲン)が分泌され、その働きで子宮内膜が増えていきます。

 

 

 

黄体期

排卵後、卵巣内に残された卵胞は黄色くなり(黄体化)、黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌します。

エストロゲンによって厚みを増していた子宮内膜は、プロゲステロンの作用で着床しやすい環境に整えられます。

 

黄体の寿命は約2週間。なかには黄体期が10日ほどの周期もありますが、これが続くと黄体機能不全の可能性もでてきます。

黄体機能は、黄体の元になる卵胞の成熟と関わっています。


妊娠が成立すると、胎盤の元となる細胞(栄養外胚葉[TE])から絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)が分泌されます。

この作用で、黄体は妊娠黄体となってプロゲステロンなどを分泌し続け、次の周期の卵胞が成長せず、月経が止まります。

黄体には胎盤ができるまでの時期にあっても妊娠を継続させる重要な役割があります。

 

 

 

月経期

着床が起こらなければ、黄体の寿命が尽きます。

黄体は排卵から12日前後が過ぎると小さくなって白色に変わり(白体化)、卵胞の成長を抑えていたプロゲステロンの分泌が止まります。

こうして月経がきます
 

月経に伴う症状は様々であり、症状の有無や強さも人それぞれです。

例えば月経痛(子宮の異常などの原因がある器質性、ホルモンや心理的なものが原因の機能性)、月経の約1週間前からイライラや乳房痛などの不快症状が出ても月経開始とともに改善(または消失)する月経前緊張症(PMS)、月経周期が安定しない月経不順(頻発月経と稀発月経)、無月経(18歳をすぎても初潮がない原発性、それまであった月経が3ヶ月以上止まる続発性)、月経血量が異常に少ない(または多い)過小(過多)月経などです。

 

 

 

まとめ

月経が毎月正常に起こっているということは、体が健康的で、妊娠できる状態にあることを意味しています。

 

また、月経周期や排卵パターンは、不妊治療の計画やタイミングを決定する上で重要な要素となります。月経周期に問題がある場合は、それ自体が不妊の原因となることもありますから、その場合は早めに専門医に診てもらいましょう。

 

今回は「月経」をテーマにしましたが、自分自身の体を知るきっかけや、不妊治療などに役立てれば嬉しいですね。

 

 

 

 

 

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