”これから不妊治療をはじめる方や、転院を考えている方へ”

後悔しない病院の選び方をスリーステップでお話します。

 

 

 

STEP 1 自宅や職場から通いやすい病院をピックアップしよう! 


 まずは自宅や職場から通いやすい病院をピックアップしてみましょう!
 通院に時間や交通費が多くかかると、それだけで身体的、金銭的負担が増えてしまうため、交通機関、最寄駅などの細かな確認も大切です。

 目指す治療方法がある場合でも、その治療ができる通いやすい病院、通院に無理がない病院からピックアップすることをおス
スメします。

 とくに体外受精を受ける場合には、採卵手術後や胚移植など、帰りの体調が心配なこともあるので、家に帰りやすいこともポイントです。
 また、候補の病院はできれば複数ピックアップするのがよいですが、地域的に難しい場合には、少しずつ範囲を広げて考えてみるようにしましょう。

 

病院やクリニックを探すときには「不妊治療情報センター 病院検索」を活用してみてください!

 

人工授精までできる治療施設や体外受精までできる施設があり、それらが都道府県ごとに一覧で掲載されています。

 

 

STEP 2 候補の病院・クリニックのホームページを見てみましょう! 

 

① 医師のあいさつやメッセージを読んでみましょう!

 医師のあいさつは、重要なチェックポイントです。

 どのような治療方針か、どのように患者さんを迎えているかがわかります。また、経歴を見ることで、どれくらい不妊治療に携わってきたか、どのような研究をしてきたかもわかります。
 資格としては産婦人科専門医(※日本産科婦人科学会認定)であること、また生殖医療専門医(日本生殖医学会認定)であることが望ましいでしょう。※日本産科婦人科学会認定は、日本専門医機構認定に変わりつつあるようです。どちらの認定記載でも同等と考えられます。

 

② スタッフの紹介を見ておきましょう!
 医師以外のスタッフを紹介している病院もありますので、それもチェックしておきましょう。
看護師には、不妊症看護認定看護師(日本看護協会認定)・生殖医療コーディネーター(日本生殖医学会認定)

胚培養士には、生殖補助医療胚培養士(日本卵子学会認定)・臨床エンブリオロジスト(日本臨床エンブリオロジスト学会認定)・生殖補助医療管理胚培養士(日本卵子学会及び日本生殖医学会認定)

 といった資格を持つ人がいます。将来的には国家資格化が目指されていて、現在の資格がなくてはならないわけではありませんが、どのようなポジションにいるか、どのような活動をしているかなどを参考にすることができます。
 また、院内についても受付や待合室、診察室や内診室、手術室、安静室などの紹介がある場合は、合わせて見ておくことでどのような雰囲気なのかがチェックできるでしょう!

 


 

③ 治療方法について確認しておきましょう!
● 体外受精ができること
 産婦人科なら、どこでも不妊治療ができるというわけではありません。

 これから不妊治療をはじめる場合は、どこまでの治療が必要なのかはわかりませんが、より専門的な検査、治療を受けるために体外受精の治療との関連性が強いこともあるため、できれば体外受精ができる病院を選ぶとよいでしょう。
 体外受精ができる病院では、妊娠を妨げている要因や原因、どうすれば妊娠できるのか、その治療方法についてより専門的な医療を受けることができます。

 

● 男性不妊に対応しているか
 妊娠は夫婦・パートナーとふたりで目指すものです。どちらのどこに不妊原因があるかわかりません。男性にも原因がある可能性がありますので、男性不妊外来・男性不妊の診療ができる病院だと心強いです。

 男性不妊外来がなかったり、男性の診療がないところでも、提携している泌尿器科についての案内があるかを確認しておきましょう。

 

● 治療の選択肢が多いか
 不妊治療には、さまざまな治療方法があり、検査やこれまでの妊活歴、不妊治療歴などから治療方法が選択されます。

 タイミング療法、人工授精、体外受精という治療方法だけでなく、対応できる治療や手術、検査など幅広く見ておくことも安心材料になります。もしも、その治療や手術、検査が必要になった場合に、通院する病院でできなければ転院を検討することもあるでしょう。

 そのため、なるべく治療については選択肢の多い病院を選ぶことが大切です。

 

● 治療以外のサポートがあるか
 治療以外にも、栄養・食事指導、運動指導やカウンセリングなどが充実していることもポイントです。妊娠していくためには、栄養や健康管理が大事なことです。それに関する情報が得られるのであれば好条件と言えるでしょう。

 最近では、漢方、ヨガ、カウンセリングなどに力を入れている病院も増えています。不妊治療をしていくと少なからずストレスがかかってきます。その際、気分転換ができるヨガや、誰にも話せないことを聞いてくれ、専門的なアドバイスをして寄り添ってくれるカウンセリングが充実していれば、治療を進めていく上でとても心強いでしょう。

 クリニックによって特色があるので、調べて自分に合いそうなクリニックを見つけましょう!

 

④ 医療費の公開があるか確認しておきましょう!
 2022年4月から不妊治療・体外受精にも保険が適用されました。

 しかし、不妊治療・体外受精のすべてが保険適用になったのではなく、保険が適用される検査や治療と適用されない検査や治療があります。特に自由診療分の治療内容や医療費については、多くの病院で医療費が公開されていますので、オフィシャルサイトで公開されているかを確認しておきましょう!

 

⑤ 治療件数や成績を見てみよう!
 多くの病院では、治療件数、妊娠数、出産数、またはその率を公開しています。

 ただし、それぞれ病院によって算出の方法に違いがあり、年齢を区分していたり、生化学妊娠(妊娠反応がある)を妊娠としたり、臨床的妊娠(胎嚢が確認できた)妊娠だったりします。

 そのため、さまざまな病院の成績を一概に比べることは難しい面もありますので、算出方法に注意して判断することも大切です。

 

 

 

STEP 3 勉強会や説明会に参加してみよう! 

 

 最近では、多くの病院で不妊治療・体外受精に関する勉強会を行っています。

 勉強会では、治療に関する考え方や方針などの話があり、説明する医師の話し方や態度からは人となりを見ることもできるでしょう。
 初診前や通院していない人も参加できる会も多いので、通院するしないに関わらず、いくつかの勉強会に参加してみることで、自分たちがどのような治療を望むのか、どのような考えの医師となら一緒に治療へ臨めるのかを考える良い材料となります。
 また、勉強会は病院選びのためだけでなく、妊娠や出産、不妊治療に関する知識を得るための場としても、とても有効です。

 


 

① ふたりで参加しましょう!

 ふたりで参加することで、同じ時間に同じ話を聞き、情報を共有すること、そして、その後の話し合いの土台になります。

 とくに男性は、妊娠、出産に関する知識が浅く、不妊治療には関心がない、治療するなら妻に任せておけば良い、と考える人も少なくありません。赤ちゃんになる遺伝子の半分は、受精時に精子が運んだものです。

 男性は、女性に精子を預けて、自分の赤ちゃんを産んでもらうわけですから、男性も専門家から専門的な話を聞いて情報を仕入れることは大事です。男性は、妊娠・出産は女性の問題と考えているのであれば、改めることが必要です。
 

② ふたりで決めましょう!

 実際に通院する病院はふたりで決め、初診はなるべくふたりで行ける日を選びましょう。

 ホームページや勉強会などの情報から病院を選んでも、実際の診察となると「あれ? 違ったかな?」と感じることがあるかもしれません。

 ウィンドウショッピングのように病院を変えることは感心できませんが、初診を受けたら「絶対に、ここへ通院しなければならない」と考えずに、治療周期ごと見直す、または見直しの目安を決めておくのも良いかと思います。ただ、保険診療化で治療の違いがないように感じているかもしれませんが、実際にはどこかしら違いがあるものです。また、不妊治療は1回の治療周期で妊娠が成立する、出産につながるとは限りません。体外受精の治療を受けている場合には、最初から3〜4回の治療周期をかけて妊娠が成立するものと腹積りをしておくと良いかもしれません。
 

※注意※

 体外受精を保険診療で受ける場合には回数制限があります。転院すれば、ゼロからカウントされると考えている人もいるようですが、治療回数はトータルになります。虚偽の申告をした際は、全額負担になりますのでご注意ください。転院の際には紹介状を持って転院することをお勧めいたします。

 

 

勉強会や説明会を探すときは「不妊治療情報センター」を活用してみてください!

 

勉強会や説明会の最新情報が掲載されています。そのほか、不妊治療に関する情報もたくさん掲載されていますので、是非、活用してみてください!

 

 

最後に 

 

 さまざまな理由から転院を考えている方は、セカンドオピニンを求めてみるのも1つの方法です。その際は、これまでの治療のメモをとり、検査結果票なども持参するとよいでしょう。
 転院先を決めたら紹介状がほしいことを担当医師に伝えましょう。転院することに気兼ねすることはありません。

 相性の良い病院・クリニックに巡り合えることが何よりです。そのために私たちも少しでもお役に立てたら幸いです。