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ランダムスタート法…月経周期のいつからでも始めることができる方法

 

ランダムスタート法は、これまでの常識を覆す排卵誘発方法で、月経周期のいつからでも始めることができます。

自然な月経周期では、月経周期の始まりに通常5ミリほどに成長した卵胞がFSHに反応して成長を始め、LHサージで成熟して排卵を迎えます。しかし、卵胞は月経周期に関係なく、日々、成長しています。なかには、FSHに対して反応できる大きさに成長する卵胞が月経周期中にもあります。本来、これらの卵胞は閉鎖してしまいますが、この卵胞を成長させるために卵巣を刺激するのがランダムスタート法です。

このランダムスタート法は、一刻の猶予もない状況のがん患者が将来の妊娠に向け卵子を確保するための方法として始められましたが、最近では、がんの既往のない人にも行われています。

 

ランダムスタート法は、これまでの排卵誘発法と比べても有意差がないという、いくつかの研究論文もあり、卵胞の成熟、受精、着床にも問題がなかったと報告しています。国内でも、がんの既往のない人への体外受精治療周期にも導入され始めています。

また、ランダムスタート法をさらに応用した1周期に2回採卵を行う方法 (DuoStim)があります。

例えば、1回目はアンタゴニスト法(LHの代用はアゴニスト点鼻スプレー)で採卵し、2回目は、採卵手術の4~5日目から、アンタゴニスト法で再び排卵誘発を始め採卵をします。

 

1月経周期に2回採卵することで、確保する卵子の数を増やし、移植胚を増やすことが期待できます。ただし、この周期には胚移植は行えないため、全胚凍結し、翌月経周期以降に凍結融解胚移植を行います。

ランダムスタート法は、とくに卵巣機能が低下している人、高年齢の人などに有効とされ、2回の採卵手術のどちらも採卵数、卵子の質とも問題はなかったとする研究論文も発表されています。

月経周期に関係なく排卵誘発をスタートできること、さらに1回の月経周期で2回採卵できることなどの新しい排卵誘発法については、さらに症例を積み重ねることも必要ですが、実際に排卵誘発方法の1つの選択肢として導入する施設も増えています。

 

i-wishママになりたい 不妊治療と排卵誘発