神馬英傑伝 第三編 『せめて闘う姿を見たかった』 | Miko(神湖)の呟き処「功夫迷的独白」

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本格派武打明星(武術アクションスター)である吴樾・吴京・李連杰などの作品レビュー(ネタバレあり)、マウス絵、日記
         

さてさて、ラストまでを書いていきますぞ。

原題:馬鳴風蕭蕭 2006年

鉄海棠が25周忌に行われる総会の準備をしていた頃、卓君明は成玉霜の下を訪れ、七里橋での決闘の目撃者だったもう一人の人物の存在を知る。
卓君明は成玉霜が辺境の人間のようだったという話を元に、青州競馬の参加者だった虬九を訪ね、双龍会の辺鉄山だと判り彼に証言を頼むが、なかなか良い返事を得られない。

その頃、辺鉄山が目撃者だったことを鉄拐快刀の情報で掴んでいた鷹千里は辺鉄山の息子を誘拐し、息子を帰す代わりに総会で七里橋での事を証言し、鉄海棠を殺すように命じた。

鷹千里は西部の門派を引き入れたのは自分なのに、新しい総令主の座に瀋傲霜を座らせることを認められなかったのだ。

鷹千里も企んでたんだね。
まぁ、春華哥がこの程度のワルでは終わらないとは思ってたけどね。

卓君明は馬天賜から白馬門の弟子たちを救うための解毒になる犀の角の粉末を受け取った。
郭白雲はこうなることを予測して、すべての金を天竺に送り、馬天賜に薬を作らせることを指示していたのだ。

初めの方で、郭白雲が馬天賜に金を預けていたのはこのためだったんだね。
ということは、、、あの方も正気に戻れるってことかな。

卓君明は白馬門ヘ行き小眉に鄔大野の持つ令牌を手に入れさせ、司空遠を連れ出すと解毒剤を飲ませ定魂神針を吐き出させた。

解毒剤のお陰で司空遠も正気に戻りました。
今の白馬門の事態を知り、英傑と卓君明とともに再建しようと動き出します。

いよいよ25周忌の総会が始まり式典を盛り上げようと辺鉄山と二匹の龍舞が構えている。
辺鉄山は龍の背中に乗り七里橋での出来事を暴露し、手にした刃つきの笠を持って鉄海棠めがけて飛び上がり首を斬りつける。

しかし下で見ていた鷹千里は鉤爪を投げ辺鉄山を殺してしまい、卓君明はすべてが鷹千里の策略だったと判る。

瀋傲霜が作ってくれた烏蚕でできた首巻きをしていたお陰で鉄海棠は助かったのだ。
そして鉄海棠は鷹千里のとっさの行動を褒め副総令主に任命するのだが、鷹千里は不服そうだった。

次に鷹千里は手下の欧陽山を使いすべてを知る卓君明を消そうとする。
陶芸仲間の翠蓮はそこに現れた卓君明を庇い刺されてしまい、卓君明への想いを告げ息を引き取った。
卓君明と翠蓮

彼女の存在がここまでではっきりしていなかったんだけど、卓君明のことを出会ったときから愛していたとは卓君明も罪な男です。

日月渓谷で鷹千里から受けた怪我と英傑への想いを断ち切れないまま街に戻ってきた彩綾は、紅水晶酒楼の前で倒れてしまい、鉄拐快刀が呼んだ医師に看てもらうが、鉄拐快刀の狙いに気づきふらつく身体で剣を構える。
とそこへ卓君明が現れ連れ出してくれた。

蔡家酒店に運んだ彩綾を必死に看病する卓君明だったが、身体より心の病が酷くどんな名医にも治せないと言われてしまう。
彩綾を慕う卓君明は全財産を投げうってでも治すと街に貼り紙を出すが、その貼り紙をひとりの男が見ていた。

その夜、蔡家酒店で寝ていた彩綾の下に現れた笠の男は、彩綾に内力を与え治療を施す。
男は英傑だったのだ。

彩綾を休ませ部屋を出ると卓君明と会った英傑は彩綾のこれまでの想いを聞かされるが、師匠の復讐はするが彩綾を娶ることとは別だという。

彩綾を好きな卓君明は納得できない様子だが、技を会得した英傑と白馬門の再建するため動き出すことにした。

小薇と英傑を祝福しようとしている彩綾は健気です。
本当は自分も英傑を愛しているのに、英傑が師匠の言いつけに従って自分と結婚しようとしていることに気づいてるんだね。
わがままお嬢様みたいだったけど、自分の置かれてる立場に気づき、まさに玉観音の名に恥じない女性に成長した感じです。
玉観音

神算子と朱佩瑤は「白馬山荘から撤退せよ」と華山でお告げを受けたと瀋傲霜に話すと彼女は素直に従い出て行った。

とそこへ神算子たちを追いかけてきた小豆子は庭で鄔大野と鉢合わせをしてしまう。
慌てて逃げ出す小豆子に鄔大野は意外にも優しく対応し、食事まで用意してくれ英傑に対するこれまでの態度を悔いていると言いだしてきた。

司空遠に続いて鄔大野も?って思ったけど、なんかこいつの笑みには含みがあるな~なんて、、、

そして神算子は瀋傲霜が白馬西宗の総令主にするという話を英傑に伝えに行くが、英傑の返事が白馬西宗ではなく白馬門を復活させることだと知った瀋傲霜は、神算子と朱佩瑤を捕らえ火刑にすると怒り出す。

二人が木の上に縛られ火が点けられそうになるが、鄔大野が瀋傲霜に剣を突きつけ神算子たちは解放された。
鄔大野と瀋傲霜

白馬山荘に来ていた英傑と卓君明は、師匠の霊前で自らを縄で縛った鄔大野が土下座している姿を目にする。

鄔大野は英傑に「300回の鞭打ちで償いたい」と懇願する。
改心したことを喜んだ英傑たちは一緒に白馬門を取り返そうとその夜、鄔大野が設けた席を訪れた。

鄔大野は成玉霜から預かった翡翠の駱駝の入った木箱を英傑に渡そうとするが、何かに気づいた卓君明が止める間もなく、英傑は蓋を開けてしまった。

中から漏れた白煙を吸った英傑は朦朧とし、卓君明も鄔大野に点穴され動けない。
白煙の毒は瀋傲霜にもらった情毒で、すべての命令に従う効果があるという。
鄔大野は英傑の体を探り魚龍百変図を手に入れた。

しかし英傑は気を集め立ち上がると魚龍百変功の形を取り、鄔大野の刀を取り上げ背中に貫通させた。

その隙に魚龍百変図を奪い逃げた瀋傲霜を追う英傑。
英傑が技を会得したことを知った瀋傲霜は秘図を返そうとするが、図の下には金蚕絲を忍ばせていた。

英傑はそれを見破り魚龍百変功で返すが、そこヘ小薇が立ちはだかり、その隙に瀋傲霜は逃げ去ってしまった。

やっぱり鄔大野は改心なんかしてなかったね。
素直に英傑についていけば、死なずにすんだのに。
鷹千里が言ったように彼は「腰抜けのワンタン」だったね(笑

英傑と小薇の再会は実に一年ぶりだった。
しかし言葉を交わすごとに二人の置かれた立場の違いに気づいていく。
英傑は白馬門を復活させるために戻ったと告げるが、小薇は真実を明かすよう父親を説得しに行くと風雷堡に向かう。

その頃、瀋傲霜は英傑が繰り出した魚龍百変功と僅かに目にした秘図を思い出し、再現しようと絵筆を執っていた。
瀋傲霜に会うことを避けられた小薇は父親の下を訪ね様々な疑惑を問うが、狡知に長けた父の言葉に巧く丸め込まれてしまった。

元気になった彩綾が街で宿代や食事代が誰かに支払われていることを知り、そこで雪山派の扎西王子だと思いつく。
同じく鉄海棠に恨みを持つ王子は彩綾とともに鉄海棠を討つ計画を立て、鉄海棠に謁見する。

献上品の絹を手に鉄海棠の前に立つ王子と王女に扮した彩綾は布の下に剣を忍ばせ鉄海棠の目の前で布を手に飛び上がると、その布を首に巻き付け引きずり落とす。
しかし王子は鷹千里の鉤爪を受け殺されてしまった。

彩綾は必死で鉄海棠と闘うが、鉄海棠に躱されてしまう。
とそこへ成玉霜が彩綾を救いに来るが、瀋傲霜の投げた金蚕絲を背中に受けてしまった。

瀋傲霜の金蚕絲を受ければ助からないことを知っている成玉霜はずっと誕生日に観音像を贈り見守っていたことと鉄海棠への仇討ちを託し息絶えた。

そこへ鉄海棠が現れ、郭白雲を騙し討ちしたことも噂で成玉霜を殺したことにも関与していないと話し、彩綾に従うように諭してきた。

鉄海棠と言う男の卑劣さが益々際立ってきた感じ。
自分も白馬門の弟子だったとか、成玉霜を巡って郭白雲と争ったとかいろいろあるけど、結局この人は武林を制したいだけなんだね。
ただ娘に対してだけは良い父親だと思ってたけど、秘図を手にするためなら、娘の気持ちまでも利用しだしてきたし。

髪飾りまで武器っぽい

鉄海棠への仇討ちを断念した彩綾は首を吊ろうとするが鉄海棠に見つかる。

鉄海棠に瀋傲霜に罪を与え成玉霜の葬儀をしたいと言われるが、彩綾はそれを拒み馬車に監禁され風雷堡へ連れて行かれそうになるが英傑が現れ彩綾を救出する。

魚龍百変功を会得した英傑はホントのとこはスッゴいはずなんだけど、武器の馬用の鞭を構える姿が『プロゴルファー猿』に見えちゃって(笑

彩綾を逃がしてしまった鉄海棠が鷹千里たちと成玉霜の葬儀の相談をしているのを知った瀋傲霜は嫉妬心から鉄海棠を罵り責め立てる。

耐えかねた鉄海棠が瀋傲霜に手を上げると、瀋傲霜は風雷堡には関わらないと部屋に籠もってしまった。

鷹千里は鉄海棠と瀋傲霜が気まずくなったことに漬け込み、瀋傲霜を慰めるふりをし暗示薬を酒に混ぜ飲ませてしまう。
「鉄海棠を永遠に手に入れるため、殺せ」と暗示をかけられた瀋傲霜は、修行に夢中になっている鉄海棠に襲いかかった。

とっさに鉄海棠は瀋傲霜の金蚕絲を会得した魚龍百変功で返し、跳ね返され打ちつけられた瀋傲霜は息絶えた。

泣きながら瀋傲霜を抱き起こす鉄海棠の下に鷹千里が現れ、鉤爪を投げつける。
急所を狙われた鉄海棠も瀋傲霜に寄り添うように吐血して倒れる。

成玉霜が死んだときは涙を見せなかったのに、瀋傲霜が死んだときは泣いてたということは瀋傲霜には愛情があったのかな?

物音を聞き駆けつけた長老たちは二人は流行病で死んだと小薇たちに告げ、葬儀が行われる。

鷹千里が葬儀を取り仕切り始めると、欧陽山が鷹千里に総令主になるよう口添えし、鷹千里が総令主に就くことが決まりそうになる。

すると祭壇上の棺が揺れ動き鷹千里に襲いかかってくる。驚く鷹千里を追いかけた棺から腕が伸びると、その手は鷹千里の喉笛を掴み、郭白雲を弾指飛針で殺したのは鷹千里だと言う声がした。次の瞬間、壁に投げつけられた鷹千里はそこで死を遂げた。
鷹千里、死す

鉄海棠は内力を使い生き返ったのだ。
以前にも増し配下の者たちの心を掌握した鉄海棠は、いよいよ英傑を誘き出す計画を実行に移す。

宇内の特使、鉄孟能は英傑を小薇の婿として迎えたいと結納の品を携え白馬山荘を訪れる。

英傑は愛する小薇と亡き師匠との誓いを貫いて彩綾を娶るか悩むが、小薇のことは忘れて彩綾を娶ることに決める。

そして婚礼の儀式が行われ誓いを立てようとした時、剣を持った小薇が現れ、英傑は卓君明が止めるのを聞かず追いかけてしまう。
その姿を見た彩綾は英傑の本心を知り諦めることを決意する。
婚礼の儀

追いかけちゃだめだよね。
彩綾が最後まで「いいの?」って聞いたときに「決めた」って言ったのにさ。
なんか英傑にもいらいらしてきたよ。
婚礼の席で司空遠も卓君明も自分の気持ちを抑えて祝福してたのに、いざ小薇が来たら彩綾をほったらかして行っちゃうなんてさ!

鉄海棠はなんとしてでも英傑を誘き出そうと武林の総会を開き、そこで郭白雲を騙し討ちにしたのは鷹千里だったと告げ他の門派の支持も得るが、そこに現れた英傑が自分も決闘を見ていたと言うが誰も信じない。

そこへ真実を知ろうと小薇が剣を手に立ちはだかるが、鉄海棠に背中を気で押された小薇は毒の塗った剣先で目の前にいた英傑の胸を突き刺してしまう。

鉄海棠はとどめを刺そうと逃げた英傑を追いかけるが、そこに男が現れ連れ去ってしまった。
英傑を連れ去ったのは朱空翼で、英傑に気を与え傷口までも消してしまった。

英傑を探し宇内に来た彩綾と卓君明だったが、鉄海棠から小薇の手で殺されたと告げられる。
小薇は鉄孟能たちのお陰で罪を免れるが、傷心のまま瀋傲霜の墓を訪れる。
庵主におみくじの結果を聞いた小薇は英傑が死んでしまったことを悟り、首を吊ろうとする。
しかし偶然、母の墓参りに来ていた彩綾に助けられ一命を取り留める。

一度は家に帰った小薇だったが、英傑を殺してしまったというショックから寝込んでしまう。
小薇を心配する鉄孟能は小薇と結婚したいのならこれを飲ませろと鉄海棠に定魂丹という記憶をなくしてしまう薬を渡されるが、英傑の死がはっきりするまで様子を見ることにした。
鉄海棠には薬を飲み記憶をなくしたふりをした小薇はこっそり家を抜け出し、英傑を探しに行った。

しかし騙されていたと知った鉄海棠は鉄孟能を責め、鉄孟能も鉄海棠の卑劣さに失望し自決してしまう。

鉄孟能は哀れだな。
孤児で幼い頃から鉄海棠に世話になったとは言え、小薇を愛していることで利用され、言いなりにならなければ殺されかけるんだから。

鉄海棠は最後の手段として、白馬門への襲撃をかけ英傑を誘き出そうとした。
英傑が駆けつけるとそこには門弟や侍女が皆殺しにされていて、門の上では旗を握りしめたまま息絶えている司空遠が立っていた。

司空遠、死す

おいおい、待て~!
いきなり死んでるってないんじゃないの?
門弟たちはともかく、司空遠は回想でも良いから闘うシーンがあってもよかったし、せめてどうやって殺されたくらいのショットがあってもいいんじゃないのかい!!

司空遠の画像検索をしたときに↑の画像があったんだけど、まさか死んでるところだとは思っても見なかったよ!(怒

英傑が生きていたことを知った彩綾は小薇に草原へ探しに行かせるが、英傑は日月渓谷にいた。

そこで英傑を救った朱が、馬天賜に似ていることに驚いた彩綾は、朱佩瑤の探してる父親が同じく馬天賜に似ていると言っていたことを思い出し、二人を会わせることにした。

無事父親と再会できた朱佩瑤は卓君明と都へ向かうが、卓君明が英傑の下へ行きたがっていると察して向かわせる。

そして武林の覇者として門派の信頼を受け、黒水仙を手に入れたことで技に極みを増した鉄海棠は白馬門から戻った英傑たちと最後の決着をつけるため戦う。

英傑の衣装がまたもや変わりました。
額の飾りも変わって侠客らしくなってきましたぞ!
寇大侠

黒水仙も鉄海棠に従っていたふりをしていただけで、鉄海棠を蹴り飛ばすと英傑を背に乗せ闘い始める。

蹴り飛ばされた鉄海棠は弾指飛針を忍ばせると英傑に投げつけるが、英傑はその針を手に掴み取り魚龍百変功を食らわせた。

倒れた鉄海棠は門派の者からも責められ罵られ、息も絶え絶えだったが、足下に落ちていた刀を英傑に向け蹴り飛ばす。
とそこへ小薇が駆け寄り英傑を庇い胸に刀を受けてしまう。

英傑は小薇を抱きしめると背中を押しその刀を跳ね返させ、鉄海棠にとどめを刺した。
英傑と小薇

一方、手下たちと戦っていた卓君明と彩綾も手下たちを殺し、その場を去ろうとしていた。

しかし、生き残っていた手下の矢に卓君明は撃たれてしまうがそこにまたもや朱が解毒剤を持って現れる。

そして、、、
黒水仙に乗った英傑と小薇が笑いながら草原に向かって走っていく。
その少し遠くには、彩綾がひとり佇んでいた。

劇終

う~~~ん。

武侠物にありがちな「死んでるか生きてるか」っていう結末です。
普通に考えればあの刺さり方から見て小薇は死んでると思うのですが。
卓君明は朱大侠がきっと助けてくれたでしょう。

だって鳩毒という猛毒に刺された英傑も救ったんだから、弓矢くらいどうってことないよね。

あと意外だったのは、彩綾が英傑のことを出会ったときから好きだったってとこかな。

なんかね、ミコが観た武侠物の中でもお粗末な類かなって最後まで見て感じました。

途中までは面白かったんだけど、後半のグタグタ感とくだらない繰り返しが続いて飽きてきてたし。

朱佩瑤の父親探しも必要だったかのかと思うし、『結ばれない恋人の運命』がテーマなのであれば、最後を濁して欲しくなかったし。

それと英傑がすべてを賭けて必死に師匠の遺言を守り会得した魚龍百変功で『へいしゅいしぇーん(黒水仙)』と共にとどめを刺すのかと思いきや、そうじゃなかったし。
へいしゅいしぇーん!

まぁでも、最後に小薇が父親の犠牲になるのでは?という予想は裏切らなかったというか。
武侠物というよりは愛情劇だったと思えば良いかなと言うことで。

最後はミコのマウス絵でお別れです。


そして、、、

眉毛のない坊主頭の『名悪役』と言えば、中国ドラマや映画好きの方ならほとんどの方がご存じだったと思う計春華さんが今月11日に肺ガンでお亡くなりになりました。(享年、57歳)


りんちぇの少林寺シリーズを始めとして、京哥の少林武王、樾哥の連城訣、卓哥の七剣下天山とミコが大好きな作品で活躍されていた俳優さんでした。
まだお若いだけにとっても残念です。
ご冥福をお祈りいたします。