次男の話。


今年度、中学2年になりました。

幼少期は、網戸に寄りかかり網戸ごと外に転がったこともありましたが、元気にしています。


うちの次男は良い子です。

良い子エピソードがたくさんある。

次男は、首が座ったとたん療育に同伴されまくった。

お喋りより先に、お兄ちゃんと私を助けてくれることを覚えた記憶がある。


道路でパニクる兄。もう抱き上げて療育に行くしかない状況。

でもtatataを抱えるためにはよちよち歩きの次男の手を、道路上で離さなきゃいけない。

どうしようかと頭グルグルになってしまった時、次男から私の手を振り払った。よちよちなのに。

慌てた私を振り返る次男。

私が一歩近付くと、一歩進む次男。

私が止まれば止まる次男。それが繰り返され、『ぼくは大丈夫だから、お兄ちゃんを抱っこしてあげて』と言われた気がした。


七五三の写真撮影。

自閉症あるあるで、見て欲しい所を見ないtatata。撮影に1時間くらいかかったような気がする。

和装の四歳次男はその間ずっと決めポーズをキープ。

撮影後、『ありがとう!あなたが一番頑張った』と声を掛けると、

「うん、ぼく、がんばった…」と、ツー…と涙を流した姿は忘れられない。


スーパーではよくtatataがパニックになった。

次男は、カートに乗っている時には状況がなんとかなるまで静かにじっと待っていてくれた。

歩きの時は、兄が投げ捨てた靴を拾つて「おにいちゃん、どーじょ!おにいちゃん、どーじょ!」と、お兄ちゃんを追いかけ一生懸命靴を履かせようとしていた。


tatataを連れて幼稚園の迎えに行くと、「これ、ぼくのお兄ちゃん!お兄ちゃんはね、算数が得意なんだよ!すごいでしょ\(^o^)/」と先生やお友達に毎回自慢していた。


次男がtatataを呼ぶときの「お兄ちゃん」は、本当に優しい声。

お兄ちゃんがワーワー状態になった時の次男は、穏やかな声で、優しく、「お兄ちゃん、どうしたの?」と声をかける。その後の言葉かけも、ゆっくり、ハッキリ。短い分かりやすい言葉で伝える。

それは中学2年の今でも変わらない。


うちの兄弟は、子熊の兄弟みたいにじゃれあっている。今も仲が良い。


うちの次男は良い子で。

見知らぬ人が両手に荷物をもっている事に気付くと、その人のためにドアを開けに行くような子だった。

そんなエピソードがいくつもある子なのに、『人に親切にしたことを書こう』という道徳の宿題が書けずに泣いてしまった事がある。

驚いて理由を聞くと、「僕は、人に親切にしたことがないから書けない」という。

心底驚いた私の「あなた、あんなことも、こんなこともしてきたじゃん!?」への次男の答えは、

「お母さん、あれは親切じゃないよ。あれは当たり前のことだよ。僕には書けることがない」でした。


うちの次男は良い子で。

良い子すぎて心配でした。

自分の気持をなかなか言わない。

期待される言葉を口にしているような感じもあり。

本当に本当の本人の言葉を、この子は出すことを怖れているようにも感じた。

優しく、お兄ちゃん大好きな良い子でなければいけないと、刷り込まれているような。


次男の幼少期、毎日『いい子いい子かわいい子。【いい子】って、言う事をきく良い子のことじゃないよ?大事なかわイイ子って意味だよ』と言葉かけしてきたけれど、うまく届けられなかったようで。

自分の事を話さない。

お兄ちゃん大好きなボクでなければいけないと強迫観念があったのかもしれない。


このままいってしまったら、大きな反動がくるのでは。

この子は【自分】があるのか?と、かなり心配してました。

それが、

中1夏の三者面談をキッカケに良い方向に変わりました。


担任の先生が『性格が東大級』と評価してくれました。

その時の私は、日本人らしく謙遜しそうになったのですが、

『これがtatataだったら、tatataが褒められてら、私は「そうなんです、先生!」と言ってきた』ということに気づき、言いました。

「そうなんです、先生。私もこの子には得難い素晴らしい気質があると思っています。」

三者面談で、本人の隣で、そう言いました。

この面談終了後、あれほど自分のことを見せがらなかった次男が、「お母さん、こっち来て」と校内を案内してくれて、「ここでいつも〇〇してるんだよ」「〇〇の時、面白かったんだよ。」とエピソードも語ってくれました。

あれから自分の言葉で話してくれるようになりました。

自宅よりも、私と二人きりになれる車内が話しやすいようで、ほぼ毎日30分〜1時間ほど「お母さん、今日も話そう」も誘ってくれます。

私を喜ばせる言葉ではなく、ネガティブな言葉も出せるようになってきました。

つい最近は、「僕が漫画読んでいると、何故かものすごく良いシーンの時にお兄ちゃんがワンワン激しくなるんだよ。隣の部屋なのに不思議なくらい毎回そうだから、ちょっとその時は『ウザい』って思っちゃったよ」という事も言ってくれました。

心底ホっとしました。

お兄ちゃんの全てを肯定しなくて良い。

嫌なら嫌だと感じるのは当たり前。それを、私に言えるようになってくれた。やっとここまできた。


まだまだ仲良くて、お兄ちゃんのことは好きでいてくれているから安心させてもらえてるんだろうけど。

家族だって嫌な部分は嫌だし、ムカつく事もあるし、それは普通のことなんだから、変な罪悪感は持たないでいてほしい。