私と夫はつき合って数ヶ月で結婚した。

いわゆるデキ婚。


でも知り合ってすぐではなくて

知り合ってつき合うまで10年程経っている。

友達としての期間が長かった。


だからだいたいの人となりはわかってたし

つき合ってすぐ結婚するのにも

そんなに抵抗はなかったし

周りも祝福してくれた。


お腹に娘がいた事もあるが

私達は派手な場が苦手でもあり

結婚式はあげなかった。


その代わり私の好きな指輪を

プレゼントしてくれる事になった。


夫は仕事柄、指輪はできないし、

物をすぐなくす人なので

自分の分は買わずに

その分私の指輪にお金をかけたいと言ってくれた。


ペアリングじゃないのは

少し寂しかったけれど、

私の事を思ってる気持ちが伝わって

すごく嬉しかったのを覚えてる。



そんな夫の言葉もあって

大好きなジュエリーショップで選ばせてもらった。


シンプルな指輪と

ダイヤがあしらってある華やかな指輪

2本セットになっているのが気に入った。

2本だからつけられない夫の分も

私がつけようという気持ちだった。


オーダーをしてその日はお会計はなく帰った。


後日、朝起きたら

枕元に手紙と一緒に置いてあった。


手紙には


“”一生大事にする、絶対幸せにする“”


こんな言葉が並んでいた。


嬉しくて幸せで1人で指輪を眺めながら泣いた。


そんな思い出の指輪。



安くない物だった。


そんな物を当時の夫は

どうやって支払ったのだろう?


これまでの夫の借金話、

お金に対するだらしなさを見て

疑問に思ったのだ。


返ってきた言葉は

やはり私を絶望に叩き落とした。


👓「母さんに借りた」


あぁ、


この人は借りたお金で

私に一生の愛を誓ったのか



その日


私は10年間ずっとつけていた

結婚指輪をはずした。




オデコディープパッチ