「えー
エレベーター全然こないーー
これ急ぎの書類なのに ・・・ しょうがないなぁ」
私は 独りでぼやきながら
エレベーターホールの先にある 階段室への扉を開けた
「よっこいしょっと ・・・」
手すりを持ちながら ソロソロと階段を降り始めたところで
「コ・ミニョ!
階段を使うことは許可しないと 何度言ったらわかるんだ!!」
声のする方へ振り向くより先に
私は 抱きかかえられ そのまま常務室に連行されていた
「・・・ ったく そんなに大きな腹をかかえていたんじゃぁ
足元なんか見えないないだろう
そんなんで 階段なんか降りて 転げ落ちたらどうするんだ!
お前ひとりの体ではないんだ
ごめりんこではすまないんだぞっっ!!」
「・・・ すまりんこ」
「ちっ!」
盛大な舌打ちをしたテギョンさんを横目に
「ちっ!だって!!
君たちのパパは ガラが悪いでちゅね~w」
2人中にいるので
ことさらに大きなおなかをなでながら 話しかける
・・・ そうなのだ 私は現在 絶賛妊娠中
あと数か月もすれば テギョンさん共々 双子の親にジョブチェンジするのだ
ヘイさんのお爺様との一件の後
ヘイさんのお父様である社長は 職を辞した
表向きは業績不振の責任を取ってってなっているけど
あれは 多分 ・・・ いや 絶対に辞めさせられたんだろうな お爺様に
でも 告発されたり 雑誌に書かれたり 世間的に叩かれることもなかったので
そこは お爺様が暗躍して いろんなことをもみ消したんだろうと思う
さらに 大幅な人事異動があり
社長一族は 半数近くがいなくなり
私は 常務秘書となった
そして 他の人は結婚式場での騒動を知らないのをいいことに
テギョンさんとヘイさんの婚約がなくなったと さらっと公表されただけで
テギョンさんは 常務のまま据え置き
その代わりに テギョンさんとヘイさんのお爺様の関係も
当事者以外に知られることはなかった
多分 テギョンさんが知られたくないと望んだんだと思うんだけど
会社の人々は あれから一度も姿を見せないヘイさんが
浮気からの駆け落ちをし 破談になったため
その埋め合わせと言うか 償いとして
テギョンさんは常務のまま据え置かれているのだと思っているようだ
そして そんなこんなで会社がゴタゴタしている間に
私とテギョンさんは 結婚した
なんだ 秘書に手を出しやがってとか
ヘイさんと言い 私と言い 手近な女で済ませるんかーい!とか
散々言われたテギョンさんだったが
ヘイさんと婚約しているときとは違い
明らかに 幸せオーラをだして人間丸くなってるもんだから
逆に 「あの常務を陥落させた 勇者コ・ミニョ」と
私の株が上がってしまったw
・・・ そして 今に至り
私は 今日を最後に出産育児のために
この会社を去る
「なんか ・・・ 怒涛の展開でしたね
ヘイさんの浮気現場を うっかり見ちゃってから ・・・」
しみじみ言うと
テギョンさんは うんうんと頷きながら
「そうだな ・・・
会長への恨みを晴らすために この会社に入ったんだが
そのおかげで こうして優秀な 寝かせ付け係と出会うことができて
不眠症が治ったんだからな」
「そこは 最愛の妻と出会えて良かったでしょー!」
私のツッコミに くくくっと笑うテギョンさんは
「子供が生まれてから 俺も育休を取るつもりなんだ
だから 前倒しでいろいろと仕事を片付けている
もう少し寂しい思いをさせるが 我慢してくれ
さぁ ちょっと休憩だ」
私の膝に頭を乗せ ソファーに横になる
いつものように 体にブランケットをかける私を 上目遣いで見ながら
「これからは 毎晩3人を寝かせ付けるとか大変だな
出来損ないのシェヘラザード」
「子供たちは パパであるテギョンさんが寝かせ付けてください
私は テギョンさん専属のシェヘラザードですから」
昼下がりの常務室
私たちは クスクス笑いあいながら
残り少ない二人きりの時間を過ごしたのだった
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
お付き合いありがとうございます。
おまけの後日談でした♡
今回のお話しは
サスペンス劇場のように 最後に謎解き的にテギョンさんの過去を暴くーー
って感じにしたかったのですが
前半 おっぺけに振りすぎてしまい
なかなかの力技で 終盤のサスペンス部分に持って行ってしまいました
モタモタした展開で ホントーにすみません(涙)
相変わらずの 超絶ド亀更新でしたが
皆様 最後までお付き合いいただき ホントーにありがとうございました
次回作の脳内構想もしていますので
これに懲りずにお付き合いいただけたら嬉しいです♡
近々お知らせしたいと思いますので
また よろしくおねがいいたしまーす♪