新しい下駄のお話です。
先日、船場センタービル9号館にある、和装履き物の専門店、「ちぐさ」さんでお買い物いたしました。
今年の夏用のお洒落な下駄です。
昨年夏は、ちぐささんで買った下駄が履き心地良すぎて、浴衣や着物の時だけでなく、洋服の時にも素足に履いていました。
初期の頃のサザエさんや、ワカメちゃんも、そんななりをしています。
また、夏だけでなく、他の季節でも、草履を履くよりもっとカジュアルダウンしたい木綿の着物、半幅帯の時などは、足元はやっぱり下駄にしていました。
想像していたのよりずっと、下駄は快適で、スニーカーの次くらいに、痛くならずにたくさん歩ける履き物でした。
あまりに履きすぎたので、今年も新しい下駄を新調することにしました。去年のも、まだまだ履けるけれども。
今回求めたのは、台の形が四角ばっているのと、微妙に傾斜しているのが特徴で、名前を「三味形」(しゃみがた)と言うそうです。
桐の白木と、サイドに施された黒い漆、そして、裏は朱色に塗ってあるところは、まるでルブタンのパンプスみたい。
お洒落だなぁ。
一目で、その粋な佇まいに惚れました。
ちぐさのおじさんが、
「この台にはこんな鼻緒が、ええよ。」
とパッと合わせてくださった縞の鼻緒、前坪が赤いビロードなのにも惚れました。
Lサイズの上、甲高幅広の私の足は、ほんまに履き物選びに難儀します。
だけど、おじさんは、
「ちょっと失礼。」
と言って、靴下の上から一瞬足を掴むと、
「わかった!」
と言って鼻緒をすげてくださいます。
そして、1度でピタリです。ちぐささんで買った草履も下駄も、痛くなったことなど一度もありません。
無駄のない鮮やかな手付きで作業してくださる間、横に腰かけておしゃべりしました。
「下駄の台は、産地は何県ですか?」
「高級品は静岡県。」
静岡県は、徳川時代から続く駿河漆器の伝統があり、仏壇に細工を施す職人さんのサイドワークで、下駄作りが盛んになったのだそうです。
「それでも、この業界、わしなんか若手の方よ。」
70代なのだそうです。
草履や鼻緒、和装の伝統の履き物作りに携わる人は皆さん高齢化して、90代のご夫妻で細々と営んでおられることもあるとか。
「それも、こんな風に店舗を構えて直接接客なんかしないで、作るばかりの職人仕事やけどね。」
後継者のいないところがほとんどだそうです。
「いちばんアカンのは、大手の企業が、中国で大量生産させた安物を売ってることや。」
人件費の安い国で、雑に作った下駄が、市場に多く出回っているのだそうです。
ちぐささんは、国産の台や鼻緒だけをこだわって使っておられます。
ちぐささんには、広報を担当なさっている、ご親戚の若い女性がおられて、私はおしゃれなインスタグラムが更新されるたびに楽しみに拝見しています。その方のお着物姿も素敵。
おじさんは、あちこちの催事に出張なさっていて、日本中にちぐさファンが拡大しています。その販路を広げたのも、この女性の功績だそうです。
気さくなおじさんと、しばしおしゃべりしているうちに、仕上がりました。夏が楽しみです。早く浴衣が着たいです。
晩ごはん。
信州土産の蕎麦をいただくための、天ぷらと、サッと湯通ししたなめこ。
「彩菜みまさか」のキノコは本当に美味しい。
サラダチキンと塩揉みしたキュウリとトマトにシーザードレッシング。
サラダチキンって、初めて使いました。テレビの「魔法のレストラン」で、料亭菊乃井の村田吉弘さんが紹介なさっていたレシピに登場していました。
里芋とイカの煮付け。山椒の葉を添えて。
酒は、「若波」。
食後のアイスはガリガリ君リッチのチョコミント味。
おいしいよ。