着物を着ていた前日に、降られなくて助かりました。
ホテルのロビーに用意された簡単な朝ごはんをいただくテーブルで、京都で前日行われた高校生駅伝の結果が1面トップニュースになっている信濃日日新聞の朝刊を見つけました。
男子は佐久長聖高校が優勝、女子は長野東高校が準優勝と、長野県勢が大健闘したことを報道しています。
佐久長聖高校!
たしかつい最近、現在私が勤めている学校の卒業生のひとりが、その学校の陸上部のメンバーで活躍していると、職員室で聞いたばかりです。
中のページを繰りましたら、大きな写真入りで、彼が4区を走り、区間賞をレコードしたと書いてありました。
次の走者に襷を渡す、走りきって歪んだ顔ではありますが、紛れもなく朗らかなあの少年の面影が。
なんと嬉しいニュースでしょう!
この新聞はコンビニで買い求め、彼の6年生の時の担任の先生へのお土産にいたしましょう。小学生の彼のたぐいまれな脚力に目をつけ、さまざまな伸ばしてあげる機会を仕掛けてこられた恩師です。
昨年、トップで襷を受け取ったのに、抜かれてしまって優勝を逃し、苦杯を飲んだ彼の見事なリベンジに、今頃大阪でも大喜びなさっていることでしょう。次なる目標は箱根駅伝だといっていることを伺ったばかり。
お正月のテレビで、ほろ酔いで彼の走りを見られるなんて、楽しみですね。
さて、夫はここから車で志賀高原へスキーに。
私は善光寺辺りをうろうろして、午後に長野電鉄湯田中駅での待ち合わせまで、ひとりでフリーです。
そういうときはいそいそ美術館に行きたいところですが、あいにく今日は月曜日。
たいていの美術館は休館日ですので、町歩き&&ショッピング&ひとりクリスマスランチとしゃれこもう。
まだ人気の少ないうちに、善光寺まで歩きましょう。
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少し雨がぱらついていますが、本日は洋装ですので平気。長野駅からは、ずどーんと善光寺の参道の坂道があって、道に迷うこともありません。
参道の両脇の商店の店舗がどれも立派です。まだ、店の戸はどこも空いていなくて、そのために端正な佇まいが際立つようです。
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毛糸の帽子を被ったり、手袋をして寒さに備え、ランドセルを背負った子供たちが元気よく走っていきます。
子供たちの通学の見守りをしているおばちゃんに、まだ冬休みでないのかと尋ねたら、26日まで学校なのだそうです。
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濡れて光る石畳を、珍しい雨コート姿の僧侶が寺から去っていきます。
拝観料を支払う窓口もまだ空いていません。
おそらく朝のお参りが日課であろう、地元のお年寄りたちに混じって、私も暗い本堂の中へ入ると、朝のお勤めの最中で、灯明に照らされ、何十人もの僧侶が声を揃えて読経していました。
太い声が唱和するときの空気の震えは、荘厳な寺院建築とあいまって、いかなる人々をも救いへ誘う特別な利益がそなわっているように感じられます。
私ったら、なんでクリスマスの朝にお寺参りしてるんだろ?
長野の街をぶらぶらして、午前中のおやつ。
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各種土産物屋さん巡り。
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可愛いもの見つけちゃった。
雪に閉ざされる季節に、お百姓さんが豊富な木材を加工して細工したという伝統工芸品です。
おやつは食べたのに、昼時になるとまたお腹がすいて、参道の途中にある落ち着くレストランで、クリスマスランチをいただきました。
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かつてはこの地で本陣を営んでいた藤屋旅館の、歴史ある洋館を、レストランとブライダルスペースにリノベーションした人気のスポットです。
クリスマスらしくデコレーションされた店内は、カップルや家族連れで混み合っていました。
予約もせず、ふらりとひとりで訪れた旅人もゆったり過ごせるように接客してくださいます。
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レストランフロアに学生の研修旅行の団体が案内されて、さらに賑やかになってきたタイミングで、
「落ち着くお部屋でお茶をご用意できますが…。」
と申し出てくれました。
通されたのは和室で、白壁の蔵に、ヤツデや楓の植栽された中庭の眺めを独り占めできる縁側のソファーです。
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昭和にタイムスリップし、実家に戻ったように落ち着くポケットみたいな場所で、お腹いっぱいのくせに、すすめられて美味しい安納芋のタルトをいただきました。今日は食べ過ぎ。
いっぱい歩いてるからいいか?
さて、長野電鉄のスノーモンキーという愛称のA特急に乗って、移動です。
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特急料金は普通列車より100円プラスするだけ。
コンフォータブルな座席で、車窓のリンゴ畑の雪景色を眺めていたら、うとうとし始めて、あっという間に終点の湯田中駅に着きました。
暖かい待合室でしばらく待っていると、ボンネットに雪を積んだ夫の車が迎えに来てくれました。
今宵のお宿は渋温泉。
外湯巡りが楽しめるひなびた情緒ある山の中の温泉街です。
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いくつもある外湯はそれぞれに源泉が違うので、さまざまな泉質を楽しむことができます。
しかし、この温泉街の宿に宿泊した人にだけ、共同浴場の鍵が渡されるシステムで、通りすがりの観光客は入泉出来ないのです。
ヒートテックの上から浴衣にどてら、さらに羽織も重ね着して、下駄と傘を借りて、出かけましょう。
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お風呂の前に寄り道です。
ちょっとした吹雪の中、転けないように注意を払って、雪の積もった橋を温泉街の対岸に渡り、石段に坂道を登ります。
そこまでして行きたいのは、玉村酒造という由緒ある酒蔵。
ずらりと並んだバーカウンターで、気がすむまで試飲をすることができます。
同じ蔵で醸しても、それぞれに個性豊かで、奥深い。
雪の中、なん組もの外国人も、これを目当てにやって来ました。
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2階はギャラリーに。
小野竹喬、上村松篁、伊東深水など、そうそうたるメンバーの作品の多くは、どれも気楽なタッチのスケッチです。
この地に逗留して、温泉に入り、飲み食いした代金のかわりに、画家たちが置いていった絵のコレクションだそうです。
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こちらは、志賀高原ビールも人気です。
夕暮れの温泉街。
お風呂をはしごする度に、たくさん着込んでいたものも、少しずつ薄着になって行きます。
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千と千尋の神隠しの舞台みたいな建物の宿もあります。
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宿での食事がこれまた素晴らしかったのだけど、不本意ながら完食出来ませんでした。
昼間のケーキ2個の祟りです。
さて、明日は旅の最終日。
私は好きな画家の絵に、会いに行く予定です。