「生きる」(監督 黒澤明 143分)
話の内容は、命懸けで公園を作った市民課課長の話
市民が陳情に来ても、部署をたらい回しにされる撮り口が良かった
病院の事をよく知ってる患者から、「胃がんだったら軽い胃潰瘍と言われ、余命半年」と言われた後、医者に同じ事を言われ、主人公が胃がんだと自覚するのが良かった
胃がんのショックで街中をフラフラ歩いて、大型のトラックやバスに轢かれそうになる撮り口が良かった
飲み屋で知り合った小説家と、預金から引き出した5円の大金で、パチンコしたり、ダンスバーに行ったり(酒飲んでると演奏しているトランペット3器がフレームインしてくる撮り口が印象に残った)、ダンスしている人達が各階にいるダンスフロアの階段を上がったり、ピアノ演奏で主人公が涙目で「命短し恋せよ乙女」を歌ったら踊っていた客達がドン引きして踊るのをやめたり、ストリップに入ったり、バーで酒を飲んだり(バーのカウンターの後ろの鏡に映るバーで飲んでる主人公達を撮る撮り口が印象に残った)、大勢の人達が画面手前のバンドの演奏で踊る中で踊ったり、娼婦を買ったり(主人公が車から降りて車道を横断して、走ってくる車が3台次々と止まる撮り口が印象に残った)、大金の5円で豪遊する主人公達の演出撮り口が楽しかった
市役所を辞めたおネェちゃんとの、パチンコ、遊園地、スケート(2人で一緒にスケートで転ぶシーンを入れていたのが印象に残った)、映画、そしてお座敷の食事、というデートの演出撮り口が楽しかった
おネェちゃんを家に連れて帰ったら、息子夫婦がおネェちゃんを主人公の愛人と勘違いして、主人公と話し合うのが印象に残った
喫茶店で主人公がおネェちゃんと話し合い、ナゼそんなにイキイキしているのか?聞いたら、おネェちゃんが「働いて物を作って(稼いで)食べて生きてるだけよ」と言われて、自分も公園を作ろうと決意し、喫茶店から出る時に、他の客達が「ハッピーバースデー」を歌って送り出すように見える(主人公にではなく、他の客に対して歌っているのが主人公に対して歌っているように見える)シーンは、「主人公が生まれ変わった」みたいな感じを出したかったのかな?とボクは感じた
主人公がいない時の、役所の職員達が主人公についての噂話を話し合ってる撮り口が印象に残った
作るまでは部署をたらい回しにしたり、ヤクザを使って主人公を脅したりまでして、反対していたのに、公園ができて評判が良いと、自分達の手柄にする役所のお偉いさん達が酷かった
公園を作った主人公の葬式に、市民の主婦達が泣きながらお焼香をあげるというのは、「死んで、心から泣いてくれる人がいるか?が生きた功績の証」みたいな感じを出したかったのかな?とボクは感じた
酒を飲んでいた時は、主人公の遺志を継いで、部署をたらい回しせず、責任を持って市役所の仕事をしよう、と盛り上がっていた同僚の職員達だったが、シラフになり再び市役所の仕事をしていたら相変わらず部署をたらい回しにして仕事をしない、というのが酷かった
雪の降る公園で、「命短し恋せよ乙女」の歌を歌いながらブランコに乗ってる主人公の超有名なシーンの、寂しい感じがとても良かった
最後、完成した公園で遊んでる子供を呼ぶ母親の声で終わるラストも印象に残った
全般的に
忙しくしてるが仕事は何もしていないという、カフカのような役所の不条理を撮ろうとしたのが、ボクは楽しかった。セリフでなく撮り口で魅せてくれたらもっと良かったけれど
命があとわずかと知って豪遊するシーンの撮り口は楽しい所が多々あって、ボク的に良かった
おネェちゃんとのデートシーンも、スケートして2人一緒に転ぶシーンを入れていた所に、黒澤明監督らしい「武骨なユーモア」が感じられて、ボク的に良かった
時間も少し長く感じ、顔の表情のアップなど演技過多な所もあったけれど、多くの映画好きな人達が、黒澤明監督作品の中で傑作として挙げるのも納得の、「生きる」事を考えさせられる作品
やはりシネフィルを名乗るなら、チャップリンと黒澤明監督作品は抑えておかねばならないと改めて感じた。ボクはやはり「自称シネフィル」
